2005/05/07(土)「失踪日記」

 「失踪日記」表紙借りて読む。漫画家の吾妻ひでおがホームレス、アル中、ガス会社の孫請け会社の肉体労働者となった体験を描く。「全部実話です(笑)」とある。それぞれのトリビアな部分が面白くて一気に読んだ。物足りない部分があるとすれば、それは原因の追究があまりないからだ。漫画ではそうした精神的な部分を描くのは難しいのかもしれない。

 失踪の理由は簡単に説明されている。漫画が描けなくなった(アイデアに行き詰まった)からだ。吾妻ひでおの場合、経済的な理由ではなく、日常からの逃避でホームレスになったわけだ。締め切りに追われた生活というのは精神的によくないのだろう。だから、仕事を離れてリフレッシュすることは重要なのだが、なかなか普通の会社ではそうもいかない。そういう場合、酒を飲むことは逃避の代替行為としての意味合いが大きくなる。アル中になることとホームレスになることの間に大きな隔たりはない。

 ついでに言えば、映画を見たり、本を読んだりするのもそうした代替行為の一環である。まあ、映画や本の中毒になったところで、社会的な立場に影響はないのですけどね。