2004/10/24(日)「花と爆弾」

 ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判(2)「花と爆弾」小林信彦が週刊文春で連載しているエッセイの昨年分をまとめたもの。今年4月の発行。毎年、夏頃までには買う本だが、会社の近くの書店が閉店したので、買えなかった。週に一度ぐらい寄る郊外の書店ではこの本、見かけなかった。仕方がないので楽天ブックスに「ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判(2)」と一緒に注文したら、取り寄せで1週間ほどかかった。昨日届いたので一気に読む。

 このエッセイ、「人生は五十一から」というタイトルで続いていたが、今年に入って「本音を申せば」というタイトルに変わったとのこと。週刊文春はあまり読まないので知らなかった。連載をまとめたものとしては6冊目にあたり、過去のコラムとだぶる部分もあるが、東京の町のこと、映画のこと、政治のこと、イラク戦争のことなどが綴られている。

 映画に関しては「レッド・ドラゴン」「シカゴ」「踊る大捜査線2」などが取り上げられている。映画に関する文章が少ないのはクロニクルという連載の趣旨を尊重しているためだろう。

 著者も70歳。孫のことを書いた「K君が現れた日」など読むと、その年齢を強く感じる。以前なら、70歳の作家が書いた本はあまり読む気にならなかっただろうが、未だに小林信彦に変わる作家が現れないので仕方がない。小泉首相をはじめ政治に関する文章で「太平洋戦争の時代でもこんなことはなかった」という指摘は説得力があり、今の日本がどんなにひどい状態か痛感させられる。それだけ、僕らは悪さに鈍感になっているのだろう。

 「ファビュラス…」は日記をよく読ませていただく柳下毅一郎、町山智浩両氏の映画に関する対談(漫才)。最近3年間の映画を取り上げている。やや誇張されているが、言っていることは真っ当です。「スパイダーマン」の出す糸が精液のメタファーだという指摘は面白いな。