2006/04/12(水)黒木和雄監督死去

 6時すぎに共同通信のサイトを見て知った。75歳だったという。突然だったので驚いた。遺作は8月に岩波ホールで公開される「紙屋悦子の青春」になるのか。

 何度かお会いしたことがある。物腰は低いが、芯はガチガチに硬派の人だった。徹底的に反戦の思想を貫き、それが結実したのが戦争3部作だったのだろう。僕は「美しい夏キリシマ」(キネ旬1位)は「祭りの準備」よりは劣ると思うけれど、自伝的要素を含んでいることを考えれば、これを代表作に挙げても構わない。

 次の「父と暮せば」の充実度も反戦の強い意志が根底にあったからだと思う。近年の作品は傑作ばかりだった。庶民を主人公にした作品が多かったので存在は地味だったけれど、巨匠と言って差し支えないと思う。長年、映画化を希望していた山中貞雄の生涯を題材にした作品が撮れなかったのが心残りか。合掌。