2014/01/31(金)1月に読んだ本

 1月に読んだのは8冊。以下の通り。★は5個が最高。

「弱くても勝てます 開成高校野球部のセオリー」(新潮社 高橋秀実)★★★★
「世界にひとつのプレイブック」(集英社文庫 マシュー・クイック)★★★★
「叫びと祈り」(創元文庫 梓崎優)★★★★
「ドゥームズデイ・ブック」(ハヤカワ文庫・コニー・ウィリス)★★★★
「アル中病棟 失踪日記2」(イースト・プレス 吾妻ひでお)★★★★
「死なないやつら」(講談社ブルーバックス 長沼毅)★★★★1/2
「桶川ストーカー殺人事件 遺言」(新潮文庫 清水潔)★★★★★
「小さいおうち」(文春文庫 中島京子)★★★1/2

 ノンフィクション3冊、小説4冊(ミステリ1、SF1、ドラマ2)、コミック1冊。ミステリが少ないが、「桶川ストーカー殺人事件」は非常に優れたミステリのように読める。事件の特異性、まるで海外ミステリのような犯人像、探偵のような記者、逃走する主犯などなど小説以上にドラマティック。もちろん前面には卑劣な犯人と警察への強い怒りがあるが、読み物として一級品だ。記者らしく短い文を重ねた文体が効果的だと思う。記者の教科書であり、「事件ノンフィクションの金字塔」というコピーは嘘じゃない。

 現在読んでいるのは清水潔「殺人犯はそこにいる」(面白すぎる)とマンジット・クマール「量子革命」(手ごわい)で、どちらもノンフィクション。どうも最近、HONZの影響があるようだ。

2014/01/15(水)ストリートビューの善し悪し

 Googleのストリートビューに自宅が写っていて驚いた。うちは市内でも田舎の方にあって、家の前の道路は細い上に行き止まりになっている。こんなところまでGoogleの撮影車両は来ていたのか。しかも家の近所で散歩中の自分の姿が写ってた(撮影車両には全然気づかなかった)。撮影日時は昨年3月だった。

 ストリートビューが凄いのは住所を検索すれば、地図にピンポイントで表示でき、その家の外観も確認できること。以前、仕事で初めてお会いする人の家にお邪魔することがあった頃はゼンリンの住宅地図で確認しながら行き、どんな家かを電話で聞くことがよくあった。今はストリートビューで確認できてしまう。表札が読み取れる家も多い。

 一昨年だったか、佐野眞一の「東電OL殺人事件 」(amazon)を読んだ際、事件現場がどんなところかをストリートビューで確認したことがある。事件当時そのままの外観なのが興味深かった(事件は1997年、撮影は2009年11月。今は2013年6月撮影の写真に変わっている)が、こういうのを見られるのは東京だからだろうと思った。今は全国の多くの地域でこれと同じことができるようになったわけだ。

 便利と思う半面、これは悪用もできるなと思う。住所を知られたら、その人がどんな家に住んでいるかまで分かってしまうのだ。クレジットカードなどの信用情報調査などにも活用されるのではないか。豪勢な邸宅に住んでいても資産ゼロに近いなんてことがあるのは「となりの億万長者 〔新版〕 ― 成功を生む7つの法則」(トマス・J・スタンリー、ウィリアム・D・ダンコ)でも指摘されているのだけれど、とりあえずネットで手軽に家を見られてしまうというのは善し悪しだ。メールアドレスが漏れても迷惑メールが来るぐらいだが、住所を知られるとリアルな事件に結びつく可能性もある。住所は最大の保護を図っておくべきなのだろう。以前のような配布はしていないが、電話帳などに掲載している人は要注意だ。

2014/01/09(木)2013キネマ旬報ベストテン

 発表された。邦画洋画とも1位が認知症の女性をめぐる話であるのが面白い。僕は「愛、アムール」よりも笑いを盛り込んだ「ペコロス」の方が好きだ。岩松了が明らかにカツラと分かる竹中直人の頭を見つめる視線の意地悪さなど、森崎東監督らしいと思う。「そして父になる」と「もうひとりの息子」も子供の取り違えをテーマが同じだ。家族の問題というのは世界共通のテーマなのだろう。

【日本映画】
(1)ペコロスの母に会いに行く
(2)舟を編む
(3)凶悪
(4)かぐや姫の物語
(5)共喰い
(6)そして父になる
(7)風立ちぬ
(8)さよなら渓谷
(9)もらとりあむタマ子
(10)フラッシュバックメモリーズ3D
次点 フィギュアなあなた

【外国映画】
(1)愛、アムール
(2)ゼロ・グラビティ
(3)ハンナ・アーレット
(4)セデック・バレ
(5)三姉妹 雲南の子
(6)ホーリー・モーターズ
(7)ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日
(8)ザ・マスター
(9)熱波
(10)もうひとりの息子
次点 嘆きのピエタ

 順当な結果と思うが、個人的には大好きな「世界にひとつのプレイブック」が入っていないのが残念。これ、年末にTSUTAYA TVで見て面白かったので1年ほど前に買った原作を読んでいるところ。主人公は双極性障害らしいが、知的障害も加わっているかのような言動をする。元教師なのだから少し違和感があるのだけれど、それを除けば、映画同様に面白い。