2015/05/24(日)草食投資隊@宮崎

草食投資隊のネクタイ

 草食投資隊による無料の長期投資セミナーが24日、宮崎市のMRT MiCCで開かれた。草食投資隊はコモンズ投信会長の渋沢健さん、セゾン投信社長の中野晴啓さん、レオスキャピタルワークス取締役CIOの藤野英人さんの3人で5年前に結成、長期投資の啓発活動を行っている。宮崎でのセミナーは初めて。熊本や鹿児島でのセミナーは過去に開かれたことがあり、それに参加しようかと思ったぐらいなので、宮崎での開催はうれしかった。投資の知識ゼロの家内を誘って参加した。

 参加者は30人。募集定員も30人だったから参加率100%だ。前日に行われた大分でのセミナーは有料(2000円)で別に主催者がいて、定員100人に対して60人ぐらいの参加だったとのこと。宮崎でのセミナーは大分での開催に合わせて開いたようだ。宮崎会場の定員が少なかったのはそういう事情なのでしょう。

 3人がそれぞれ長期投資に関して話した後、質問コーナーという流れ。3人とも著書を読んだり、日経の連載を読んだりしている人たちなのでなじみがあるが、実際に話を聞くのは初めてだった。渋沢さんは理知的な方、中野さんはイケメンの外見には似合わないぐらい熱い方、藤野さんはナイーブな方との印象を受けた。藤野さんはプロフィルを見ると、富山県出身だが、藤野家のルーツは福岡で、さらにそのルーツは宮崎なのだそうだ。より親近感がわきます(藤野さんの本では 投資家が「お金」よりも大切にしていること (星海社新書)(amazon) がお勧めです)

 長期投資の期間について渋沢さんは一声30年、中野さんは一生続ける、というのが持論。投資信託への毎月の積立投資が前提で、こういうドルコスト平均法はほったらかしにしておいていいので楽だ(リバランスはしなくちゃいけません)。僕はこれに加えて最近流行のバリュー平均法もやっているが、投資額が少ないうちはあまり意味をなさないような気がしている。ある程度積み立てで増やした後にバリュー平均法に移行するのが(無理に移行しなくても)良いのだろう。セミナーは2時間みっちり。熱気があって密度の濃い内容でした。老後の不安があるから投資するという現実的な(そして不安商法のような)理由よりも投資の社会的な意義をきちんと押さえていたのが良かったと思う。

 宮崎セミナーの開催はセゾン投信からのメールで知った。参加者の多くは3社の投資信託で積み立てをしている人らしい。雑談タイムに両隣の人と話したら、いずれもそうだった。つまり参加者は投資の基本的な知識はある人ばかり(離れて座った家内の隣には独立系のファイナンシャルプランナーの人がいたそうだ)。セミナーの内容からして、まったく投資をしていない人がもっと多ければ良かったのにと思う。知識がある少数の人が対象ではもったいない内容だったのだ。中野さんは銀行でムダに遊んでいる890兆円の預金を投資に振り向ける必要性を熱弁したが、こういう話は投資していない人に聴かせたい。宮崎での再度の開催をお待ちしております。

 写真は会場で販売していた草食投資隊のネクタイ(giraffe製)。表はグリーンのストライプ、裏は青空のイメージ。ストライプは好きなので、迷わず買ってしまった。

2013/06/06(木)GPIFは株価暴落の主犯か?

 時々読ませてもらっているインデックス投資ブログの「ホンネの資産運用セミナー」に「レベルが低いGPIFの運用弾力化に関するハフィントンポスト記事 」という記事があった。ハフィントンポストの「GPIF 年金の運用を見直し、杓子定規な無理な売却・買い増しを無くし損失を防ぐ」という記事について「編集部とライターは基本的な資産運用を理解していない可能性が高い」と批判している。元の記事を読んでみると、確かに資産運用に詳しくない記者が書いたのだろうなあと思う。記事の作りも産経ニュースとロイターとWikipediaの記述を組み合わせてお手軽に作った感がありありだ。

 しかし、それよりも僕が気になったのはハフィントンポストの記事の下にあったコメント。「GPIFの年金運用見直しが課題として上がった原因は、5/23の大暴落が原因のようですね。というのも、まさにその運用割合が株価が上がってしまったために、割合が19%を突破したために年金が4兆円もぶん投げてしまったそうです」。5月23日の株価暴落の原因はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が4兆円分の株を売却したからだという意味で、これと同じような書き込みはYahoo!ファイナンスの掲示板にもあった。

 こうしたコメントのソースは見つけられなかったが、常識的に考えて4兆円もの株を1日で売るわけがない。マーケットインパクト(株価への影響)が過大なものになるし、それは売却側にも跳ね返ってくるからだ。100兆円以上の資産を運用するGPIFは世界最大の運用機関だから、リバランスはそれを考慮しながら行っているはずだ。

 具体的な数字を見てみる。東証ホームページの投資部門別売買状況には週間の売買状況の資料がある。5月20-24日のデータを見ると、GPIFが大部分を占めるとされる信託銀行の売却額は8816億円だ。5日間でこれなのだ。いったいどこを見たら1日で4兆円というとんでもなくデタラメな数字が出てくるのか、訳が分からない。

 もっとも、この週に信託銀行(つまりGPIF)は4658億円も売り越しており、暴落の主犯とは言えないにしても一翼を担ったのは否定できない。投資支援サービス会社のFISCOは「年金基金のリバランスによる4000億円超もの売りが値下がり幅の大きさにある程度つながったようだ」と指摘している([Miniトピック]日本株暴落の原因が「外国人が大幅に売り越しに転じたため」というのは嘘(Fisco) )。

 この記事が指摘しているように、外国人投資家のこの週の売り越しは44億円に過ぎない。国内の生保・損保は53億円、都銀・地銀等は164億円の売り越し。一方、個人投資家は4080億円も買い越している。当然のことながら株式市場では買う人がいなければ、売ることはできない。その意味で個人投資家は株価暴落の一番の被害者であると同時に一翼も担ったということになる。

 なぜ個人投資家は買い越したのか。上げの局面、あるいは上げに転じると思って買った人も多かっただろうが、信用取引が個人投資家の6割強を占めるという事情も影響しているだろう。株価が上がると思って信用取引で株を買った人は大幅な下げで損失が膨らむ。泣く泣く損切りせざるを得なかったが、逆に空売りをした人にとっては、暴落は絶好の買い戻しの場面だっただろう。それを考えると、個人投資家の中には暴落で儲かった人もいたはずだ。もちろん、海外のヘッジファンドも利益を上げたに違いない。

 ちなみに5日付の日経電子版は今回の暴落の主因について「ヘッジファンド、CTA、個人、銀行……。総強気で買い上げてきた多様な投資主体が一斉に売ったというのが今回の相場急落の主因だろう」と書いている(『株価急落「高速取引犯人説」は本当か』)。よく暴落の原因とされるコンピューターによる高速売買は5月23日には売り買いがほぼ同数だったそうだ。

2013/04/29(月)キャッシュ管理

 パーソナルファイナンスサービスのMoneyLookを昨年から使っている。銀行や証券、各種ポイントなどのサイトに自動ログインして残高や明細を取得してくれるソフト。これにはキャッシュ管理という家計簿機能があるが、毎日の記入が面倒と思い、これまで使っていなかった。資産運用は家計管理からと、どんな投資関係書籍にも書いてあるので使うことにした。家計簿としては当たり前のことだが、1カ月に自分がどれぐらい消費しているか、今月あとどれぐらい使えるかがよく分かり、使いすぎを防げる。外出先から専用アドレスにメールを送ることで、使った項目を追加できる。これなら記入漏れの防止につながるだろう。

 MoneyLookはデータをローカルのパソコンに保存する方式だが、キャッシュ管理に関してはサーバー上に保存しているのだろう。だから、項目ごとに他のユーザーの過去1カ月の平均支出を見ることができる。皆さん、貯蓄は1カ月にどれぐらいしているのかと思って見てみると、8万円余りだった。MoneyLookのユーザーは貯蓄に熱心なようだ。投資という項目はないので、貯蓄に分類している人が多いと思う。ローンは7万円余り。保険は3万円余り。他の項目に関しては給料日が過ぎたばかりなのであまり参考にならない。給料日前日なら1カ月間の消費動向が分かるだろう。

 家計簿に興味がわいたのでスマホのアプリを捜してみた。評判の良い「Zaim」と「かけーぼ」をインストール。記入しやすく、カスタマイズしやすいのは断然、「かけーぼ」の方。よく考えてある。「Zaim」は将来的にパソコンでも記入できるようになるそうなので、そうなると最強かもしれない。今はOCN家計簿と連携できるが、記入は常にアプリからじゃないと、反映されない。MoneyLookがスマホにも対応してくれると、言うことないんですけどね。有料でもいいから、アプリを出してくれないだろうか。うきうき家計簿はスマホでも表示と記入ができる。消費項目の追加・変更ができるのが優秀。これが現時点では最強かな。

 今月はクレジットカードに多額の支払い(車検と次女のiPhoneの代金)があったので、給料日からわずか3日目で赤字に突入。まだ3週間以上あるのにこれでは気が重い。

2013/04/26(金)MARS

 MRIインターナショナルという金融会社が顧客から集めた資産の一部を消失した疑いがあると、マスコミ各社が報じている。既に日本語のホームページは詳細な内容がなくなっているが、Googleのキャッシュには残っていた。MARS(診療報酬請求債権)投資商品のリスクとして以下の説明があった。

 「MRIシリーズ商品はMARSを運用対象としています。本商品はMARSの買取価格変動による市場リスク、法規制や制度の改定によるカントリーリスクの影響を受けます。従って、元本保証はされていません。本商品はクローズド型商品である為、契約の解除はできません。当社が例外的に解約に応じる場合には利息の支払いはありません。本商品は米ドルで投資した場合、為替差損益が発生します」

 契約の解除ができなかったり、解約すると大幅に元本割れするような金融商品に手を出してはいけない。それ以前に、この会社、集めたお金をほとんど運用していなかった可能性もあるようだ。これが発覚するまでに15年もかかったというのにあきれる。

 経済学者の吉本佳生さんは2007年に週刊ダイヤモンドでMRIの問題点を指摘していたそうだ(MRIインターナショナルによるMARS投資が投資詐欺であることがやっと暴かれるようだが……: 損益は糾える縄の如し(吉本佳生ブログ))。吉本さんと言えば、一昨日、書店に行ったら、新刊の「日本の景気は賃金が決める」があったので買った。既に橘玲さんらがネットに書評を書いている。僕も早く読もう。

 異次元緩和によって国債長期金利が最低になったので、運用に困った生保は外債投資を拡大する方針だ。個人が海外投資する場合はこういう怪しいところもあるので十分注意したいところ。高いリターンをうたっているところはまず怪しいと思った方がいい。しっかりした会社のETFか投資信託にしておいた方が無難だ。ひふみ投信の藤野英人さんはFacebookで「金融庁はこれをやってたんだなあ。次はあそこか」とコメントしている。次はやっぱりあそこなのかな(^^ゞ

2013/04/13(土)甘利越え

甘利明経済再生相が「3月末までに日経平均は1万3000円」と言ったのは2月初め。それより少し遅れて日経平均株価は1万3000円を越えたので“甘利越え”と言われるようになった。もちろん、石川さゆりの「天城越え」のもじりだが、ユーモアのある人が替え歌を作った。一番だけ引用させていただく。

隠しきれない デフレ香が
いつしか日本に しみついた
誰かに盗られる くらいなら
バブルを起こして いいですか
値乱れて サプライズ
九十九折り 常連の買い
株上がり 円落ちる 肩の向こうに
あなた…… 兜町(しま)が燃える
何があっても もういいの
くろだと燃える 火をくぐり
あなたと越えたい 甘利越え

これ、思わず笑ってしまう。「隠しきれない デフレ香が」という歌い出しからクスクスだ。フルコーラスはかんべえの不規則発言にある。かんべえさんとは双日総合研究所の副所長・吉崎達彦さんとのこと。

驚いたのはこのページの作り、今時珍しくCSSを使っていず、HTMLだけで作ってある。インターネット普及初期のころはこういうページ多かったですね。ソースを見てみたら、なんと作成ソフトはMicrosoft FrontPage Express 2.0だった。これ、Windows98にインストールされていた無料のHTML作成ソフトで、僕も何度か使った。しかし10数年前のソフトなので、今では手に入れるのも難しいだろう(マイクロソフトの配布はとっくに終了しているが、探したら、ダウンロードできるページはあった)。かんべえさん、古いパソコンを使っているのだろうか。それとも、わざわざ新しいパソコンにインストールしたんだろうか。それがとても気になる。