2015/09/25(金)Fire TV予約

 amazonプライムビデオが唐突に始まった。タブレットのamazon Fireが発売される30日に合わせて始めるのではないかと思っていたが、予想より少し早かった。今月初めに数年ぶりにプライム会員に復帰した(無料体験中)のでさっそく見てみた。動画は合計1511タイトル。内訳は外国映画320本、日本映画456本、テレビドラマ219本など。Netflixなど他のサービスに比べると見劣りするが、プライム会員のおまけみたいなものだからなあ。それにテレビドラマの場合、1シリーズ1本と数えているので1話1本として数えれば、かなり増える。

 映画は旧作中心だ。「野火」の市川崑版とか日活アクションとか、東映ヤクザ映画とか、「トラック野郎」シリーズとか。日本映画の方が多いのが意外で、アメリカ映画が多いのではないかと思っていた。旧作が多いのは個人的には歓迎で、レンタルして見るまでもないような作品はこれを機会に見てみようかという気になる。いっそのことB、C級作品を多くするのもありか、と思う。傑作といわれる作品は既に見ているものが多いのだ。旧作が多いのはどこかのネットメディアが書いていたが、中高年向けも意識しているのだろう。

 動画配信サービスの場合、アメリカのテレビドラマ目的に加入する人も多いと思う。「ウォーキング・デッド」はあるが、「ブレイキング・バッド」はない。新作では「ミスター・ロボット」と「フィアー・ザ・ウォーキング・デッド」がある。これはもっと充実してほしいところ。日本のドラマはTBSとテレビ東京のもの。「悪魔のようなあいつ」があったのはうれしい。

 画質はHDなのでパソコンやタブレットで見るのには十分。パソコンをテレビにつないで見てみると、WOWOWの画質に比べると落ちる。でもWOWOWメンバーズオンデマンドよりずっと良い。パソコンで途中まで見て、テレビで続きを見るという見方もできる。ただし、視聴デバイスを変えると、停止した位置より少し前から始まるようだ。わざとそうしているのかもしれない。

 まあ、おまけとしては満足できる内容だったのでAmazon Fire TVを予約した。これはサービス開始に合わせて発売するだろうと思っていた。スティック型とどちらにするか迷ったが、4Kに対応している方を選んだ方が良いだろうと思う。NetflixとHuLu、YouTubeにも対応しているのが便利だ。

2015/08/03(月)マデリーンとマデリン

 見逃していたヒッチコックの「三十九夜」をWOWOWメンバーズオンデマンドで見た。ヒッチコックが得意だった巻き込まれ型サスペンスの原型で、殺人犯に間違われた男が無実の罪を晴らすために警察から逃げながらスパイを追う。「北北西に進路を取れ」(1959年)はこの映画のリメイクと言っても良いぐらいプロットが似ている。原作はジョン・バカン。主演はロバート・ドーナット。

 ドーナットは逃走の途中でひょんなことからマデリーン・キャロルと手錠でつながれることになる。マデリーンはドーナットのことを殺人犯と思っている。2人は互いに反発するが、同行せざるを得ないシチュエーションだ。マデリーンは田舎の宿でドーナットが寝ている間に手錠を外す。その直後、ドーナットが言っていることが真実と分かる。ラストシーンは事件を解決したドーナットとマデリーンが手をつなぐ後ろ姿。2人の間にはロマンスが生まれたわけだが、ドーナットの手首にまだ手錠がはめられたままなのが面白い。男にとって結婚は1人の女に手錠でつながれるようなもの、と暗示しているのだろう。皮肉なヒッチコックらしいショットだ。

 マデリーン・キャロルが良かったのでKINENOTEで検索してみた。検索結果を見てびっくり。なんと2012年の「最高の人生のはじめ方」に出ていることになっている。「三十九夜」は今から80年前、1935年の映画で、この時、マデリーン・キャロルは20代後半ぐらいに見える。2012年の映画に出たとしたら、100歳を軽く超えていることになる。いくらなんでもこれはおかしい。マデリーン、いったい何歳なんだ?

 IMDbで調べると、「三十九夜」に出ているのはMadeleine Carroll、「最高の人生のはじめ方」の方はMadeline Carroll。マデリーンとマデリン、名前にeがあるかないかの違いなのである。KINENOTEの検索はマデリーンとマデリンの両方にヒットするらしい。というか、マデリンで検索しても部分一致でマデリーンしか出てこない。KINENOTEさん、間違ってますので修正よろしくお願いしますよ。

 映画人の中には同姓同名の人もけっこういる。IMDbはその場合、名前に(I)、(II)という風に付けて区別している。KINENOTEもそうした方がいいのではないか。

2013/06/30(日)「発情アニマル」と「鮮血の美学」

 映画オタクであるというデイヴィッド・ゴードン(「二流小説家」)の第2作「ミステリガール」に「アイ・スピット・オン・ユア・グレイブ」という映画のタイトルが出てくる。「1978年にメイル・ザルチ監督がイタリアで製作した知る人ぞ知るスプラッター映画」と説明があるので、これ、「発情アニマル」のことだ。レイプされた女性が加害者の男たちを血祭りに上げていくという復讐劇で、タイトルから分かるように日本ではポルノとして公開された(ので、僕は見ていない)。「悪魔のえじき」というタイトルでDVD化されているそうだ。

 これには「アイ・スピット・オン・ユア・グレイブ」(2010年)という原題そのままのリメイク版があって、たしかWOWOWで見たと思ったが、違った。僕が見たのは「鮮血の美学」(1972年)のリメイク版「ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト 鮮血の美学」(2009年)の方だった。なぜ、この2本がごっちゃになっているかというと、「鮮血の美学」はレイプされて殺された娘の復讐を両親がするという話なのだ。イングマール・ベルイマンの「処女の泉」(1960年)をモチーフにしたもので、ウェス・クレイブンが監督しているが、やっぱりスプラッターな内容である(といっても、これも僕は見ていない)。混じるのも無理はない。

 リメイク版の方はけっこう面白くて、IMDBの評価は6.5。旧版(5.9)より評価が高い。日記を探してみたら、「志の低い作品だろうとバカにして見始めたら、サスペンスフルなバイオレンス映画としてまずまず良く出来ていて少し驚いた」と書いている。「発情アニマル」の方も旧版が5.5、リメイク版が6.2とリメイク版の方が高い。高いといっても、これぐらいの点数だと、マニア以外は積極的に見る必要はないんですけどね。

2013/02/10(日)「イノさんのトランク」

まいった。泣けて泣けてしょうがなかった。録画しておいた「イノさんのトランク 黒澤明と本多猪四郎 知られざる絆」をようやく見た。昨年12月20日にNHK-BSプレミアムで放送されたドキュメンタリー。黒澤明と本多猪四郎の友情を本多の妻きみの視点から描き、深い感動を残す傑作だった。

戦前の助監督時代に意気投合した2人はその後、死ぬまで友情をはぐくむことになる。本多は戦争に行ったが、黒澤は行かなかった。復員後、30代半ばだった本多には仕事がなく、東宝からは監督になることは諦めるように言われる。そんな時、黒澤は本多に「野良犬」の助監督を依頼する。これが本多の監督への道を開くことにつながった。晩年も会えば、2人は映画の話ばかりしていたという。温厚な本多に対して、黒澤は現場で怒ることが多かった。正反対の性格であり、お互いに尊敬しあっていたから、友情は長く続いたのだろう。

本多が死んだ時のことについて黒澤、本多の映画に多数出演した土屋嘉男はこう話す。「さぞがっくりしているだろうと思って自宅に行ったら、黒澤さん、言いました。『さあ、めそめそなんかしていられるか! 元気出してこれから頑張るぞ』。あれはね、すごい哀しみだったんですよ」

僕は「ゴジラ」シリーズから本格的に映画を見始めたので、本多猪四郎は最初に名前を覚えた監督だ。同時に小学生の時にテレビで見た「マタンゴ」によって深いトラウマを刻みつけてくれた恨み多い監督でもある。しかし、監督自身のことは何も知らなかった。亡くなっても、「いい人だった」と言われる人は幸せだなと思う。

2009/08/16(日)ダイオウイカ?

次女を連れて「ナイトミュージアム2」を見る。もう完璧に子供向け。悪役の設定もギャグも子供向けのレベルだった。良かったのはアメリア・イアハート役を演じるエイミー・アダムスだけ。「魔法にかけられて」とはがらっと変わった役柄だが、明るさは共通している。もっと出演作を見たい。

パンフを見て驚いたのは、どう見ても巨大タコの造型をダイオウイカと紹介していること。予告編を見直してみたが、絶対にタコ。製作者たちはイカとタコの区別がついていないのではないか。写真は【倉地紀子のデジタル映像最前線レポート】にあったが、どう見てもタコでしょ、これ。博物館を舞台にした映画なのに、なんだこれはと思ってしまう。

パンフではダイオウイカについて国立科学博物館の窪寺恒己という人が解説していて、「映画の中のダイオウイカ、海洋生物学者の冷静な目で見るとイカ類の特徴である三角形のヒレや長い二本の触腕も見あたりません。でもこれはこれで『ダイオウイカ』」と書いている。これをタコというのは配給会社が許さなかったのかな。