2008/05/06(火)「虹の女神」

 鈍感で優柔不断な男(市原隼人)のラブストーリー。というか、青春映画そのもの。前半、上野樹里との関係も良かったが、後半、相田翔子とのエピソードが面白い。相田翔子が26歳の役って、それは無理があるだろうと思ったら、ああいう展開になる。相田翔子は1970年生まれだから、映画公開時には36歳。なるほど。これはいいキャスティングだ。こういう女性っていそうだ。家族ぐるみで嘘をついているというのもありそうだ。監督の熊澤尚人はロス・マクドナルド「さむけ」を読んでいるのではないか。といっても映画の原案・脚本は小説家の桜井亜美なのだが。

 このエピソード、本筋から見れば浮いている。起承転結の転の部分に苦労して入れた感じ。ただし、このエピソードがあるから、市原隼人のキャラクターがくっきりと浮き彫りになった。熊澤尚人の演出は市原隼人と上野樹里の心の揺れ動きや通い合いそうで合わない部分を繊細に描いていてうまいと思う。おセンチではなく、ロマンティシズムですね。上野樹里は出演映画の中ではこれが一番、等身大な感じでいい。

2008/04/25(金)「銀幕版 スシ王子! ~ニューヨークへ行く~」

 「スシ王子!」は昨年7月から全8話がテレ朝系で放送されたそうだ。当然、見ていない。主人公の米寿司(まいず・つかさ=堂本光一)は沖縄空手の自然(じねん)流の使い手。祖父も父も寿司職人だったが、子供の頃、その2人を海で亡くし、魚の目を見ると暴れ出す“ウオノメ症候群”にかかっている。司はニューヨークに寿司の修行に行き、江戸前寿司を握る俵源五郎(北大路欣也)が経営する寿司店「八十八」を訪れる。店はマフィアに狙われていた。用心棒の豊穣稲子(釈由美子)とともに司はマフィアに対抗する。

 全編、予定調和的にストーリーが流れる緩いコメディで、笑えるシーンはあるのだけれど、この内容で1時間54分は長すぎる。1時間30分ぐらいなら、もっと引き締まっただろう。ギャグよりもストーリーにもっと工夫が欲しいところだ。

 といっても期待はしていなかったので腹は立たなかった。釈由美子と石原さとみは良かった。釈由美子はアクション場面も様になっていて、もっと映画に出てほしいと思う。監督は堤幸彦。

2008/04/13(日)「うた魂♪」

 序盤のオーバー演技の漫画チックな描写にがっくりし、これはダメかなあと思ったら、中盤から良くなり、終わってみたら、まあ満足できる出来栄え。前半がダメダメなのは意図的だったんじゃないかと思えるほど後半がよろしい。クライマックスでじっくり合唱を聞かせるのがいいし、夏帆もだんだん本来の魅力を見せる。好きな男子にふられた(と思った)悲しい顔が歩いているうちに明るさを取り戻す短いシーンとか、ガレッジセールのゴリに啖呵を切るシーンとかうまい。

 北海道の七浜高校合唱部の荻野かすみ(夏帆)は自分のルックスと歌声に異常な自信を持ち、自意識過剰かつナルシスト気味。ある日、思いを寄せる生徒会長の牧村(石黒英雄)から合唱中の写真を撮ってもらい、口を開けた姿が「産卵中のシャケみたい」と言われた上にその写真を生徒会新聞に掲載されてしまう。大ショックで意気消沈のかすみは合唱部をやめることを決意。ラストステージでのかすみの気のない歌い方を見た湯の川学院高校合唱部の権藤洋(ゴリ)から「あんな歌い方、歌への冒涜だ」と罵倒されてしまう。権藤は3年前、町で尾崎豊の歌を歌う女性に会い、歌の魅力にとりつかれてヤンキーな格好のまま合唱部を作ったのだった。権藤たちの「15の夜」の合唱に感激したかすみは再び、歌への情熱を取り戻す。

 脚本の栗原裕光はこれが初の劇場用映画。監督の田中誠もメジャーな作品は初めてらしい。だから完璧な出来には遠いし、もう少し洗練された演出がほしいところなのだが、少女の人間的な成長を描くというオースドックスな構成は外していない。コンクールの審査員役でゴスペラーズが出演、合唱場面で流れる主題歌の「青い鳥」も担当している。夏帆のほか、部長役の亜希子も毅然とした感じが良かった。

2008/04/05(土)「ポストマン」

 長嶋一茂製作総指揮&主演。かなり意外なことにこの映画は評判が良く、映画生活でも2ちゃんねるでも「泣いた」「感動した」という声が多い。日本郵政が協力していることから見て、郵便局PR映画であるのは間違いないし、確かにそういう風な場面で幕を開けるのだけれど、単なるPR映画で切り捨てられない、人を引きつける部分を持っているのだ。それは何なのだろうと映画を見ながら思っていた。映画の技術も脚本も演技も物語もステレオタイプの域を出ていない。今時、回想シーンに紗をかけるなどという時代遅れの演出をする映画デビューの今井和久監督にも特に優れた部分は見あたらない。

 それでは映画のどこに感動するのか。愚直さ真っ当さ朴訥さ誠実さのある部分なのである。そういうものに価値を見いだすことができる人ならば、この映画は幸福になれる映画だ。一茂が一生懸命に猛スピードで自転車をこぐシーンはそれだけで感動ものだ。一生懸命な姿勢の底にあるのは人の幸福を願う愚直なまでに誠実な信念なのである。そういうものを真正直に見せられたら、僕らはつい冷笑してしまいがちなのだけれど、冷笑したくない雰囲気がこの映画にはある。この映画はアナログで懐かしい雰囲気に包まれた一種のファンタジーなのである。

 長嶋一茂が演じるのはオートバイを使わずに自転車で郵便配達をする海江田龍兵。病弱だった妻が死んで間もなく三回忌を迎える。家族は高校受験を控えるあゆみ(北乃きい)と小学生の鉄兵(小川光樹)。あゆみは寮のある私立高校への進学を望んでいるが、龍兵には「家族は一緒に暮らして食卓を囲むのが一番」という信念があり、反対している。

 この設定の下、龍兵の生き方が触媒となって周囲の人間が変化していく姿を描く。あゆみの副担任で教師の仕事は腰掛けと思っている臨時教師(原沙知絵)や元はエリート郵政官僚の上司も考え方を改めることになるのだ。郵便を誤配して「300通の中で1通間違えたってそれがなんだ」という開き直る新人に対して龍兵は「受け取る人にとっては1対1だ」と答える。その真摯な考え方と生き方が周囲の人々と同様に観客の心をも動かすのだろう。

 実は長嶋一茂主演の映画は「ミスター・ルーキー」も僕は好きだった。あの映画でもまた一茂はプロ野球選手になる夢をあきらめない男に説得力を持たせていた。その一茂のキャラクターは今回もプラスに作用している。まだ人情がある田舎の小さな町が舞台なのもこうしたオーソドックスな物語に説得力を持たせることになったのだろう。

 蛇足的に付け加えておくならば、こういう諸々の要素があったにしても、必ずしも映画が成功するわけではない。この映画の成功は危ういバランスの上に成り立っている。同じことやって次も成功するかというと、この演出力ではかなり疑わしいのも事実なのである。また同じパターンで見せられたら、僕は冷笑するかもしれない。

2008/02/11(月)「チーム・バチスタの栄光」

 海堂尊の原作を「アヒルと鴨のコインロッカー」の中村義洋監督が映画化。といっても僕は「アヒル…」を見ていない。話はきちんとまとまっているが、それだけに終わっていて、何とも映画らしいところがない映画である。撮影なり、編集なり、キャラクターの描き込みに映画ならではの部分が欲しくなる。下手すると、テレビの2時間ドラマでもいいような感じの作品にしかなっていないのだ。中村義洋監督はもう少し描写に心を砕いた方がいい。

 拡張心筋症の難しい手術(バチスタ手術)に何例も成功している大学病院の医療チームが3回続けて失敗し、患者を死なせてしまう。院長から調査を命じられた心療内科医師の田口公子(竹内結子)が聞き取り調査を始めるが、そこへ厚生労働省のキャリア白鳥圭輔(阿部寛)が乗り込んできて破天荒な捜査を始める。

 長男と家内は原作を読んでおり、「原作の方が面白かったね」という感想。そうだろうなあ。だいたい、映画ではなぜ竹内結子が調査を命じられるのかに(銀婚式記念で海外旅行に行く教授の替わりというのは)説得力を欠いている。竹内結子と阿部寛はともに頑張っていて、悪くはなかった。原作とはイメージが違うようだが、阿部寛はぴったりの役柄のように思える。

 バチスタ手術は弱った心臓の一部を切り取って縫い合わせることで心臓が縮みやすくなり、症状が改善するという仕組み。心臓移植の代替という位置づけらしい。いったん動きを止めた心臓がなぜ再び動き始めるのか映画だけでは良く分からなかった。

 映画の帰りにフォルクスワーゲン宮崎に寄って契約。ETC(ノンストップ自動料金収受システム)も付けてくれるそうだ。これは自分で付けようかと考えていたのでラッキー。損保ジャパンの任意保険も取り扱っていて、切り替えをやってくれるというので頼む。後は納車がいつになるか。注文してみないと分からないそうで、早くなる可能性もあるとのこと。

(mixi)

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