2012/12/29(土)何が心を動かすのか

日本テレビが「風と共に去りぬ」を初めて放映した時だから、30年以上前のことだ。ラジオを聴いていたら、こんな内容のハガキが読まれた。

私は事業に失敗して多額の借金を背負いました。このままでは一家心中するしかない追い詰められた状態でした。そんな時にテレビで「風と共に去りぬ」が放映されました。主人公のスカーレット・オハラが「神さま、私は負けません。この苦難を生き抜き、二度と飢えません!」と天を仰いで力強く誓う場面を見て、考えが変わりました。自分もスカーレットと同じように、もう一度頑張ってみよう。そう思い直しました。

言うまでもなく、「風と共に去りぬ」は名作中の名作だ(このセリフが最後にある前半はすごい名作、「そうだ、タラに帰ろう」と言う後半は普通の名作だと思う)。しかし、自殺を考えているすべての人に自殺を思いとどまらせるような力が、あるいは人生を変えるような力がこの映画にあるかと言えば、そんなことはないだろう。

映画や小説から何を受け止めるかは観客や読者の考え方や経験、置かれた状況によってさまざまに異なる。作者が作品に込めたメッセージを作者の予想以上に大きく受け止めることがあるし、別のメッセージを受け取ることもある。作者が何気なく描いた作品の細部に大きく反応することもある。

ロバート・B・パーカーの小説「愛と名誉のために」(絶版らしい)はそんな部分を描いていた。大学生だった主人公は恋に破れて、少しずつ人生を踏み外し、数年後にはホームレスにまで堕ちてしまう。主人公はある朝、海岸の砂浜で眠り込んでいた時にスコット・フィッツジェラルド「グレート・ギャツビー」の一節をふと思い出す。

人の振る舞いの基盤は、堅い岩の場合もあれば、沼沢の場合もある。

この言葉がきっかけとなって、主人公はゆっくりと再生への道をたどり始めるのだ。「愛と名誉のために」に感動した僕は「グレート・ギャツビー」も読んでみた。この言葉は確かにあった。それは作品の本筋とはまったく関係ない部分だった。

「愛と名誉のために」の主人公は(ということは作者のパーカーは)この言葉に感じるものがあったのだろう。普通の人なら読んでそのまま忘れるかもしれない一節が強く心に残ったのだと思う。そしてそれはフィッツジェラルドが特に力をこめた部分ではなかったはずだ。

つまり、言葉や描写の意味を大きくしたり、小さくしたり、まったく無意味にするのは、あくまでも観客や読者の方だということだ。同じ場面に感動したとしても、AさんとBさんがまったく同じ人間ではない以上、AさんとBさんの感動の度合いや内容は異なる。

もう一つ、以前にも書いたことがあるが、作家の都筑道夫がキネマ旬報の連載で紹介したアメリカのテレビドラマ「ザ・ネーム・オブ・ザ・ゲーム」の一エピソードを再度書いておきたい。これは本当にうまい脚本だと思う。

 あるラジオ局の人気DJのもとに一本の電話がかかってくる。電話をかけてきた女は失恋によって絶望し、これから自殺するという。驚いたDJは必死で自殺をやめるようにラジオから呼びかける。ありとあらゆる言葉を駆使し、「死ぬのは無意味だ」と自殺を思いとどまるよう説得する。この放送は聴取者にも大きな反響を呼び、「自殺するな」という声が多数寄せられる。
 ところが、女が自殺するというのは嘘だった。深夜になって、再び電話を掛けてきた女は自分が女優の卵であり、演技力を試してみたかったのだと打ち明ける。「あなたのお陰で自信がついたわ」。女は笑って電話を切った。
 DJは自分が騙されていたことにがっかりして放送局を出るが、局の前で暗がりから出てきた一人の女性が「ありがとう」と言って包みを差し出す。包みの中には睡眠薬があった。

この女性は「死ぬな!」というDJの言葉が胸に響いたのだ。DJの真摯な呼びかけは無駄にはならず、1人の女性を救うことになった。

人は物語の言葉や描写自体によって心を動かされるのではない。言葉や描写をきっかけにして、自分で自分の心を動かしているのだ。人間の脳は入力されたデータを分析・解釈し、自分なりのデータに変換している。それが人の心を動かす源になっている。

以上のようなことをつらつら考えたのは、KINENOTEで「光のほうへ」のレビューを読んだら、まったく感動していない人がいたからだ。しょうがない。脳の変換エンジンがそれぞれ違うんだから。

2012/12/10(月)SSD換装

2年前に買ったデスクトップパソコンのハードディスクをSSDに変えた。やはりSSDの効果は絶大でソフトウェアの起動がかなり速くなった。

買ったのはSamsung SSD840オールインワンキット500GB。Cドライブの使用量は140GB程度だったので、250GBのSSDでも良かったのだが、とりあえず余裕を持たせた方が良いだろう。

SSDを付属のUSBケーブルで接続し、CD-ROMからSamsung SSD Magicianをインストール。起動してSite Linkのタブをクリックすると、Softwareダウンロードのリンクがある。ところが、このページにあるノートンゴースト用のシリアルナンバーがどこにもない。これではディスクの複製機能が使えない。これでしばらく悩んだ。サポートページを見てみたら、新しいページがリンクされていた。SSD840シリーズからはディスクの複製にノートンゴーストではなく、Samsung Data Migration Softwareを使うらしい。これ、はまる人がけっこういるのではないか。なぜ古いリンクのままにしておくのか、理解不能だ。説明書ぐらい入れておいてはどうか、日本サムスン。

ディスクの複製には2、3時間はかかる(途中で外出したので正確な所要時間は分からない)。あとは交換するだけ。ここでまた問題発生。付属キットの固定用金具の背面にねじ穴がないのだ(側面にはある)。いや、あるのだが、4個あるねじ穴はSSDの固定に使っていて、ほかにない。SSDと金具をパソコン内部のねじ穴に一緒に固定すればいいのだが、面倒なのでやめておいた。Cドライブは一番下にあるし、SSDは振動もしないので、固定しなくても構わないと言えば、かまわないのだった。それにこれはDELLのパソコンの方にも問題がある。先日、USB3.0の拡張ボードを設置した時にも内部が狭くて作業がしにくかった。どうもDELLのパソコン、拡張性には難がある。

CrystalDiskMarkで計測してみると、シーケンシャルリードは今までのHDDの2.5倍程度、4Kのリードに関しては21倍も速くなった。Windowsのエクスペリエンスインデックスでもディスク転送速度のスコアが5.9から7.8に上がった。これほど効果があるならノートパソコンの方も交換したいのだが、分解にかなりの手間がかかるようで尻込みしている。HDDが壊れてどうしようもなくなったら、交換しよう。

2012/10/17(水)Kinoppy

 本好きには支持されないだろうと思っていたが、Nexus 7を買って以来、電子書籍にはまっている。7インチの画面というのは本を読むのにぴったりなのだ。2000円が特典で付いていたこともあってGoogle Playブックスで3冊購入。紀伊國屋書店BookWebでも4冊購入した。タブレットでもスマホでもパソコンでも同じ本を読めるのがポイントで、読んだ位置はサーバーで同期され、どの端末で開いても、続きを読み始められる。家ではタブレットで読んで、外出先ではスマホで読む。こういう読み方、一気に読みたい小説には向かないが、新書など実用的な内容の本には向いている。

 Google Playブックスと紀伊國屋Kinoppyというアプリを比べると、基本的な機能は同じだが、Kinoppyの方が作り込みが丁寧な印象。フォントが付属していて、文字の表示がきれいだ。Playブックスの方はNexus 7の場合、句読点やカッコが全角の中央に表示されて違和感がある。これ、スマホではちゃんと表示されるので、フォントの問題だと思う。逆にスマホでは検索が機能しない。キーワードを入れても、「一致する検索結果がありません」と出るだけ。タブレットではちゃんと検索できた。

 電子書籍のメリットはこの検索機能にもあるな、と思う。「あのフレーズはどこに書いてあったっけ」と本をめくる必要がない。情報に素早くアクセスできるメリットは本の場合も大きいのだ。

 Kinoppyは縦書き、横書き表示を簡単に切り替えられる。これはepubを利用しているのだろうと思って、ファイルを調べてみた。ダウンロードされたファイルはNexus 7の場合以下にあった。

/sdcard/Android/data/jp.co.infocity.ebook/files/Contents/

 ファイルは拡張子kbeで、秀丸で開いてみると、バイナリファイルだった。元々のepubをバイナリ化しているのだろう。単純なepubだと、コピーし放題になってしまうから、これは当然の措置か。もっと調べてみたら、というか、epubなら解凍できると思い、解凍してみたら、中からドットブック形式(.book)のファイルが出てきた。epubではなかった。なるほど。紀伊國屋はSONYのReaderに対応しているので、ドットブック形式を使っているわけだ。

 Kinoppyだけでなく、紀伊國屋は電子書籍の量が多いのも良い。出版社によっても違うのだろうが、価格も本より100円から200円余り安く設定してある。100円につき1ポイント付いて、たまったポイントは購入の際に利用できる。昨日、ポイントを確認してみたら、176ポイントあった。100円で1ポイントにしては多すぎるなと思ったら、現在キャンペーン中で、AndroidのKinoppyで購入すると、獲得ポイントが10倍になるのだった。キャンペーンは28日まで。欲しい電子書籍は今のうちに買っておこうか。

2012/10/07(日)ATOK for Androidの使用条件

 Nexus 7で電子ブックを読みたくなったので、Google Playで吉本佳生「数字のカラクリを見抜け! 学校では教わらなかったデータ分析術」(667円)を購入。手続きをしたら、購入特典の2000円がまだ使えた。あれ、先日、ATOK for Android(1500円)を買ったはずだから、500円しか残っていないはずなのに。

 ATOKの使用許諾を確認したら、第2条にこうあった。

 「お客様は、本ソフトウェアをお客様が占有・管理するAndroid対応携帯端末(以下「携帯端末」)に対し、上限を問わず複製(インストール)しお客様ご自身(お客様が法人の場合は従業員1名)が使用することができます。」

 ソフトウェアの使用許諾って、ほとんどまともに読まないけど、読むもんだなあ。つまりGoogleアカウントが同じなら所有する携帯端末に何台でもインストールして良いということだ。僕は以前のスマホの際にATOKを買って、今のスマホではauのスマートパス版を使用している。スマートパスはATOKがあるだけでも価値があるなと思っていたが、別になくてもかまわないのだった。

 ジャストシステム、太っ腹だな。というか、スマホのアプリの場合、高かったら、売れないのだろう。1500円は高く感じるけれども、何台に使ってもいいということになると、安い。ま、パソコンの方のATOKは毎年、一太郎のバージョンアップで8400円払ってるんですけどね。

2012/10/04(木)Nexus 7のセットアップ

2日に届いた。発売が発表された先月25日にGoogle Playに申し込み、27日に発送の連絡メールが来た。そこから時間がかかった。Fedexの配送状況を見たら、発送元の香港から広州の税関を通過するのに3日もかかってる。日中関係の悪化で日本への荷物は検査が遅らされているのかと心配したが、考えすぎだろう。大阪の泉南市に着いたのが1日。いくらなんでもこれでは配達予定の2日午後6時には間に合わないだろうと思ったら、2日の午後1時過ぎには届いた。国内の配送は迅速だ。

設定は簡単。WiFiをセットしてGoogleのアカウントにログインするだけ。WiFiの設定にはWPSが使える。起動してみると、アプリはGoogle関連だけ。Google PlayからDropBox、Sugar Sync、QuickPic、Radiko、AK Notepadなどなど必要なものをインストール。2000円分のクーポンが使えるのでATOKもインストール。これは僕にとって必須。Google日本語入力もいいんだけど、ATOKの強みはATOK Syncでパソコンなど他のデバイスと辞書を共通化できることだ。

続いて、Bluetoothキーボードを接続。しようとしたが、なかなかペアリングできない。キーボードはSPPとHIDプロファイルに対応のELECOM TK-FBP017。SPPにすると、ペアリングできるが、それではATOKが使えないし、アプリがAndroid4.1にも対応していないだろう。そう言えば、スマホのHTC Jとペアリングするときにも苦労したのだった。結局、Bluekeyboard JPをインストールしてペアリングした。これ優秀。プロ版はたったの150円なので買ってもいいが、キーボード自体を買い換えた方が良いかも。

購入特典で「トランスフォーマー ダークサイド・ムーン」がライブラリに入ってる。見てみると、映像はきれいで7インチの大きさもスマホで見るよりは随分良い。パソコンで見ることもできるが、逆に画面が小さくてあまり見る気にならない。ファイルをダウンロードしてみたら、サイズは1.1GB。DRMがかかっているので、再生はできなかった。残念ながらWOWOWメンバーズオンデマンドにはまだ対応していない。早急に対応してください、WOWOWさま。

アプリをいろいろインストールしながら思ったのはスマホで使ってるauのスマートパスの便利さ。定額料金のため目を引いたものはためらいなくインストールできるので、どんどんアプリが増えてしまい、数えたら有料無料を合わせて80個もあった。Google Playも定額料金制を取り入れてはどうだろう。そのうちインストールするアプリは減っていくだろうから、長期間使う場合、ユーザーにとっては必ずしもお得ではないのだが、有料アプリを気軽に使うことができる仕組みは提供者側とユーザーの双方にメリットがあると思う。

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