2021/10/17(日)「DUNE デューン 砂の惑星」ほか(10月第3週のレビュー)

「由宇子の天秤」

ドキュメンタリー番組のディレクター由宇子(瀧内公美)が女子高生いじめ自殺事件の真相を追う番組の制作で報道被害やネットの誹謗中傷のひどさを描くのが発端。女子高生は講師と関係を持っていたと疑われ、その講師の方も自殺。遺書には抗議の意味をこめて、と書かれていた。由宇子は仕事の傍ら、父親(光石研)の学習塾を手伝っているが、その父親の衝撃的な事実を知らされる。父親のことが世間に知られれば、自分の仕事にも影響する。由宇子は究極の選択を迫られる、というストーリー。
由宇子は取材を進める事件と父親の問題の2つを抱えるわけですが、どちらもほぼ先行きが分かったと思わせた段階でさらに新しい事実が判明します。この映画、いじめや報道被害や貧困を描いていますが、だから傑作なのではなく、この物語の作りが優れているからだと思います。物語のヒントになったのは2014年のいじめ自殺事件の際、無関係の同姓同名男性がネットリンチに遭った事件とのこと。これが一見、単純な事件の奥にある複雑な物語の作りになったのではないかと思います。
同時に春本雄二郎監督の描写のうまさが光っており、由宇子が体調を崩した貧困家庭の女子高生に雑炊を作って食べさせる場面や、世間から隠れてひっそりと暮らす講師の母親(丘みつ子)と講師が好きだったパンを一緒に食べる場面など温かみのある描写になっていて実にうまいです。瀧内公美もまたまた有力な主演女優賞候補でしょう。

「DUNE デューン 砂の惑星」

フランク・ハーバートの名作SFをドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が映画化。西暦10190年、レト・アトレイデス公爵(オスカー・アイザック)は皇帝の命を受けて、砂の惑星アラキス(デューン)を治めることになる。そこは抗老化作用のほか、宇宙を支配する能力を与えるスパイス“メランジ”の唯一の生産地で、アトレイデス家には莫大な利益がもたらされるはずだった。しかし妻のジェシカ(レベッカ・ファーガソン)と息子のポール(ティモシー・シャラメ)を連れてデューンに乗り込んだレト公爵を待っていたのはメランジの採掘権を持つ宿敵ハルコンネン家と皇帝が結託した陰謀。壮絶な戦いで父を殺され、地位を追われたポールは現地の自由民フレメンの中に紛れることになる。
1984年のデヴィッド・リンチ監督版を僕は見ていなかったので、先日見ました。漫画チックと言える作りに加えてダイジェスト感は否めず、今回のヴィルヌーヴ版の足下にもおよびません。ヴィルヌーヴが取ったのは正攻法、高尚、高級、高規格の画面作りにほかならず、始まって30分ぐらいは「すげえ、これはすげえ」と画面に見惚れていました。
ただし、メインタイトルと一緒にパート1と示されるだけあって、2時間35分かけてもなかなかストーリーが進みません。加えて主人公側がメタメタにやられる展開で、「スター・ウォーズ」で言えば、「帝国の逆襲」のようなもの。「帝国の逆襲」は傑作でしたが、この映画の場合、キャラクターに深く感情移入するには至らず、巨大な砂虫(サンドワーム)の見せ場も少なく、「帝国の逆襲」ほどのドラマ性は備えていません。評論家の評価は高いにもかかわらず、一般観客の支持があまり高まらないのはそうしたことが影響しているのかもしれません。
いずれにしてもヴィルヌーヴには一刻も早く主人公たちが反転攻勢するパート2を作ってほしいところです。

「アナザーラウンド」

今年のアカデミー賞で国際長編映画賞を受賞したデンマークのトマス・ヴィンターベア監督作品。主演はいつもコンビを組んでいるマッツ・ミケルセン。
冴えない4人の中年高校教師が「血中アルコール濃度を0.05%に保つと、仕事の効率が良くなり、想像力がみなぎる」という理論を確かめるため実際に酒を飲んで授業を行う。ほろ酔い状態だと、授業も楽しくなり、生徒たちとの関係も良くなっていく。仕事だけでなくプライベートも好転するかと思われたが、実験が進むにつれて制御が利かなくなってしまう。
アルコール濃度を保つと好転する→保たないとダメになる、という風に依存が強まっていく展開は目に見えていて、基本コメディなんですが、事態は笑えない展開になっていきます。仕事のほか、それぞれに家庭にも問題を抱えた中年男のクライシスを描いているのが共感を呼ぶ部分かもしれません。でも、問題を酒で解決しようとするのはやはり無理があるのでしょう。
字幕で出るアルコール濃度の単位は‰(パーミル)でしたが、デンマークでは普通にこれを使うんでしょうかね。デンマークでは16歳から酒が買えるそうで、劇中、面接の緊張緩和のため先生が生徒に酒を勧める場面があっても、違法ではないわけですね。

2019/04/19(金)リーデル・オー

リーデル・オー

 宅配便が届いた。中身を見たら、一太郎2019の「珠玉の逸品プレゼントキャンペーン」で応募したものだった。RIEDELという会社の大吟醸用のグラスで「リーデル・オー」(2個入り)。キャンペーンの8賞品の中ではこれぐらいしか欲しいものがなかった。一太郎の発売キャンペーンは当たる確率がけっこう高くて、数年前にもビール用グラスが当たったことがある。応募者がそんなに多くないのかもしれない。

 リーデル公式サイトのオンラインショップでは税込み3780円で販売している。そんなにするのか。ジャストシステムさん、ありがとうございました。

 一太郎はATOKの最新版が欲しくてほぼ毎年バージョンアップしてきたが、最近はATOKパスポートで良いような気がしている。月額300円(6月から)でスマホを含めて10台までインストール可能というのは安いです。一太郎もこうしたサブスクリプションモデルにすればいいのにと思う。

 1テラバイトのOneドライブが付属したマイクロソフトのOffice 365 soloが年額12744円なので、一太郎とATOKと花子など合わせて5000円ぐらいなら、そこそこ商売になるのではないか。といっても花子いらないですけどね。先日本格的に使ってみたら、あまりに使えない(機能が貧弱)ので久しぶりにPhotoshop Elementsを買うことになった。

 リーデル・オー、amazonでは税込み3436円だった。



 家内に聞いたら、うちにはリーデル製のワイングラスがあるとのこと。ああ、10年ぐらい前に買ったあのグラスか。1個5000円。「安いワインでも良いグラスで飲むとおいしい」と勧められて買ったのだった。

2019/02/04(月)時計バンドの長さ調整

 11年使ったG-SHOCKが壊れた。電波ソーラーとは言っても、2次電池(ボタン型リチウム電池)の寿命は10年程度らしい。次はオシアナスにしようと以前から思っていたが、大きな時計よりも小さな時計の方がいいかと思い直し、いろいろ探した。デザインが気に入ったのはシチズンのEXCEED CB1110-61E。スーパーチタンで重さ62グラム。今までの半分以下の重さだ。ケース部の厚さは8.5ミリ。

 amazonなどネット通販で買う場合、バンドの調整を自分でしなくてはいけない。楽天の店舗では手首周りの長さを連絡すれば、540円でやってくれるところもあった。ほとんどそこで買おうと思いかけたが、シチズンのサイトには長さ調整可能なバンドに関して動画で調整方法を解説してあった。これを見ると、そんなに難しくもなさそうだ。amazonで買って自分でやることにした。



 時計は今日届いた。調整金具が付属しているかなと期待したが、なかった。ダイソーに買いに行く。直径0.8ミリ、0.9ミリ、1ミリの3本の押し出しピンと土台のセットで324円。このうち使うのは0.8ミリの押し出しピンで、不要なコマを外してまたつなぐだけという簡単な作業だ。ただし、ピンがちょっと固い。少し強く押す必要があった。コマは6個外した。ちょうど良い長さに思えたが、手のひらを開くと、きつく感じる。しょうがないので、1個戻した。これでOK。

 電波ソーラーなのでまた10年ぐらいは持ちそうだが、デザインがスポーツ向きとは言えない。ウォーキングなどでは別の時計をしたい。電波もソーラーもない一番安いG-SHOCKは5000円程度で販売されている(映画「スピード」でキアヌ・リーブスが使っていたのでスピードモデルと言われる)。ソーラー充電の寿命は10年程度だが、普通のボタン電池でも5年程度は持つそうだ。切れたら、電池交換もできる。G-SHOCKではないスポーツギアだと、電池が10年持つモデルもある。こうなると、ソーラーのメリットはほぼない。

 というわけで下のG-SHOCK、そのうち買おうと思っている。

2018/09/03(月)「世界の”現実”旅行」日本編

 福島県を取り上げたNetflixの番組に対して「復興庁と福島県が対応を検討している」とYahoo!ニュースにあった(「被災地で『被ばく食材かも』=米動画大手番組―福島県など対応検討」=時事通信配信)。記事にはこうある。

(ニュージーランド出身の)記者を含む外国人のツアー参加者が、同県富岡町や浪江町など原発事故の被災地を巡った。番組では記者が、原則立ち入り禁止の帰還困難区域に無許可で侵入し、廃虚となったゲームセンター内を撮影。浪江町の食堂では、出された食事に対し「被ばく食材かもしれない」とコメントしている。

ツアー参加者が放射線におびえる姿も繰り返し登場し、バス移動中に線量計の数値が上昇を続けると「もう十分だ」との声が上がり、ツアーは中断された。帰還困難区域などを車で通過する際には一時的に線量が高くなることがあるが、番組では移動していた場所は明示されていない。

 気になったので番組を見てみた。問題の番組は、記事には「ダークツーリスト」とあるが、邦題は「世界の”現実”旅行」(この邦題が書いてないということは、記者は番組を確認していないのではないかな)。ニュージーランド製作の1話40分程度のドキュメンタリー番組で全8回。その第2回に日本が取り上げられている。福島のほか、ロボットが受付する変なホテル(明らかにハウステンボスだが、場所は明らかにされない)、富士の樹海、長崎の端島(軍艦島)を記者が訪ねるというものだ。

 記事にある「原則立ち入り禁止の帰還困難区域に無許可で侵入」というのは車で通過はできるが、降りてはいけない場所。記者はバスを降りてゲームセンターの廃墟に入る。バスに戻ると、警察の車がそばに止まっていて、通訳兼ガイドが事情を聞かれている。車を降りたのはまずかったが、警察も事情を知っているのであらためて問題視するほどではない。「被ばく食材かもしれない」というセリフは正確には「被ばく食材かもしれないが、おいしい」。記者は料理を食べており、記事とは少しニュアンスが異なる。日本人なら、人体に影響するレベルの被ばくした食材が流通するわけがないというのは知っているけれど、外国人には分からないだろうから、こういう不安は正直なものなのかもしれない。

 このほか、「ツアー参加者が放射線におびえる姿も繰り返し登場し、バス移動中に線量計の数値が上昇を続けると『もう十分だ』との声が上がり、ツアーは中断された」という部分はバスの中で各自持っている線量計の数値がぐんぐん上がるシーンを指す。通訳兼ガイドは普段の暮らしで許容できるのは0.2(マイクロシーベルト?)が限度と言うが、1.0を超え、2を超え、ついには9を超える。これなら脅えるのも仕方がない。ここにやらせの疑いがあるのなら、実際に数値がどうなのかを検証する必要があるだろう。

 タイトル通りダークな部分を紹介するツアー番組なので高尚な内容とは言えないけれど、強い悪意があるわけではないという印象。大騒ぎするほどではない。IMDbの評価は7.5で、全8本の中では2番目に高い("Dark Tourist" Japan (TV Episode 2018) - IMDb)。

 福島とは違うが、間違いはある。樹海のパートで「自殺の名所になったのは『黒い樹海』の影響」と紹介されるのだ。調べてみると、「黒い樹海」は松本清張原作だが、富士の樹海とは関係ない。同じ松本清張でも「波の塔」の方らしい(最後にヒロインが樹海の中に入っていく)。直接的にはNHKが1973年に銀河テレビ小説枠で放送したドラマ「波の塔」で影響される人が出たそうだ。海外では広く「黒い樹海」となっているのは、同じ松本清張原作での勘違いが広まっているのだろう。

 「波の塔」は1960年に中村登監督で映画化されている。どこかで配信していないか調べたら、Huluにあった。Huluは新作映画ではNetflixやamazonプライムに負けているが、こういう古い日本映画のラインナップでは侮れない。amazonプライムでは見放題にはなく、HD画質400円だった。

2018/05/29(火)AQUOS R2予約

 次もXperiaにするかどうか迷ったが、この2年間、バッテリーの持ちに少し不満があった。その前に使っていたシャープ製端末の方がバッテリーは持った。というわけでAQUOS R2を予約した。Xperia XZ2とは価格も同じだし、バッテリ-以外の性能では大差ないと思ったが、詳しく見ていくと、AQUOS R2の方がやや優れているようだ。ま、好みの問題もあるので、どちらを選んでもいいと思う。

 auオンラインショップから予約申し込みをした。確認メールに「端末増設」とあって焦った。機種変更であっても同じICカードが使えて、自宅で受け取りの場合はこういう記述になるそうだ。

 最近のスマホやタブレットの例に漏れず、AQUOS R2もUSBポートはType-Cになる。しかも充電コードは付属しない。先日買ったASUS ZENPAD10の充電コードは使えるが、こういうこともあろうかと、amazonでMicro USB→USB-C変換アダプタを買っておいたのだった。こういう変換アダプタがあると、たくさん持ってるMicro USBコードを無駄にしないので良いです。

 スマホと言えば、Google PayがSuicaとWAONに対応した。Google Payはインストールしただけでほぼ使っていないが、モバイルSuicaに年会費なしでクレジットカードからチャージできるようになったのは大きなメリットだ。コンビニか、じぶん銀行口座からチャージしていたのが簡単になった。チャージのしやすさが楽天Edyやnanacoと同じレベルになったことはSuicaの利用率向上にもつながるのではないか。