2005/07/06(水)「ベルヴィル・ランデブー」
そのベルヴィルの三姉妹(トリプレット=三つ子)の歌で幕を開ける。戦後間もないフランス。孫のシャンピオンと、犬のブルーノとともに暮らすおばあちゃんが孫に三輪車を買い与える。三輪車に夢中になったシャンピオンは大人になって、おばあちゃんと自転車のトレーニングに励み、ツール・ド・フランスに出場するが、レースの途中で何者かに誘拐される。おばあちゃんはその後を追って、足こぎボートで大西洋を横断。明らかにニューヨークがモデル(港に太った自由の女神像がある)のベルヴィルという都市にたどり着く。シャンピオンを誘拐したのはマフィアで、シャンピオンは賭博レースに参加させられることになった。そのころ、おばあちゃんはベルヴィルの奇妙な三姉妹と出会い、一緒にシャンピオンの救出に向かう。
物語はシンプルだが、味わいは変わっており、デフォルメされたキャラクターとデザインがおとぎ話のような雰囲気を与えている。列車に向かって吠えるブルーノとか、カエルを食べる三姉妹とか、独特のタッチがあると思う。ユーモアとブラックさが混在したタッチだ。セリフは極端に少なく、動きで見せるアニメーションであるところもいい。日本のアニメとは発想が根本的に違うのだろう。
監督は短編アニメを撮った後、初の長編アニメとなったシルヴァン・ショメ。演出のほか、脚本、絵コンテ、グラフィック・デザインを担当している。