2007/08/06(月)「トランスフォーマー」
カタールのアメリカ軍基地から始まる序盤は快調である。墜落したはずのヘリコプターが基地に近づいたかと思うと、ヘリはロボットに変形(トランスフォーム)し、基地を壊滅させる。ロボットへの変形シーンがこの映画の見どころの一つでこのCGは確かに凄い。舞台はアメリカに移り、主人公のサム・ウィトウィッキー(シャイア・ラブーフ)が中古車を買う場面。父親とともに中古車屋を訪れたサムは他の車がなぜかすべて壊れたことで黄色いカマロを買うことにする。ボロボロのカマロだったが、これが実は金属生命体であることがやがて分かる。サムの曾祖父は南極で何かを発見し、気が触れたことになっている。サムはその遺品をネットオークションに出していたが、実はその遺品を巡って宇宙から来た善と悪の金属生命体が争奪戦を繰り広げていたのだ。カマロはバンブルビーという名前の金属生命体で、サムの護衛の役を与えられていた。こうして善と悪のロボットたちが地球を舞台に戦いを繰り広げることになる。
巨大ロボットアニメはよく「ロボットプロレス」とバカにされることがあるが、それと同じ次元のストーリーではどんなにCG技術が優れていても、引き込まれるはずがない。見ていてガンダムやエヴァンゲリオンのようなストーリー性、物語の奥行きが欲しくなってくる。単純な物語をCGで見せているだけの作品に終わったのはかえすがえすも残念だ。この内容で2時間25分は長すぎると思う。
パンフレットとキネマ旬報8月下旬号でマイケル・ベイはILMの日本人クリエイター、ケイジ・ヤマグチ(山口圭二)を絶賛している。ちょっと引用しておこう。「面白い話がある。オプティマス・プライムのデザインをチェックするミーティングで、隅っこに座っていたILMの日本人クリエイター、ケイジ・ヤマグチが突然立ち上がり『このデザインは日本人への侮辱だ! 僕がオプティマス・プライムを直す!』と叫んだんだ。ケイジはルービック・キューブのような変身シーンを可能にした影の功労者。フレームを止めてみると、パーツがくっついたり変形したりと、その複雑さに驚くばかりだったよ」(キネ旬8月下旬号)。製作が決まった第2作ではこの素晴らしい変形シーンに負けない物語にしてほしいものだ。
主演のシャイア・ラブーフは決してハンサムではなく普通の少年っぽいところがいい。主人公が思いを寄せるミカエラ・ベインズ役のミーガン・フォックスもちょっと色っぽくて良かった。