2014/11/16(日)「FORMA」

 高校時代の同級生・由香里(松岡恵望子)が道路工事の誘導係をしていた綾子(梅野渚)と再会し、「人手不足なので自分の勤める会社で働かないか」と誘ったのが発端。好意の人に思えた綾子だが、由香里にコピーのやり直しや上司の自分に敬語を使うよう命じ、ネチネチとしたいじめが始まる。由香里の婚約者・田村(仁志原了)には高校時代の由香里について告げ口する始末。湊かなえのミステリのようないやーな話、でも面白いと思っていたら、映画は中盤で意外な展開に突き進む。

 坂本あゆみ監督によると、クライマックスの24分間のワンシーンはリハーサルなし、本読みなしの一発勝負だったそうだ。ここの長回しは一定の効果を挙げているが、全編ワンシーン・ワンカットで撮ることには疑問を持つ。映画はカットを割るのが本道だからだ。こういう撮り方をしたのはカットを割る技術と予算的な制約があったのではないかと想像してしまう。

 坂本監督との共同作業の末、仁志原了の脚本は25稿に及んだという。内田けんじの映画を思わせるようなこの脚本がよくできている。綾子が段ボール箱にボールペンで穴を開け、それをかぶって歩く冒頭のシーンの意味はなんだろうと思ったが、映画の展開を見れば、物事を単眼で(一面的に)狭い視野から見てはいけないことのメタファーなのだろう。