2008/01/05(土)「長江哀歌」

 2006年ベネチア映画祭の金獅子賞受賞作。三峡ダムの建設計画によって沈みゆく古都奉節を舞台に16年前に別れた妻子を捜す男と2年間音沙汰がない夫を捜す女の物語が描かれる。監督のジャ・ジャンクーはチェン・カイコー「黄色い大地」を見て映画を志したという。その影響は随所に見られ、ドラマティックさを排除したような淡々とした物語となっている。奇妙な形の建物がロケットのように飛び立ったり、壊れかけたビルにいる男女の遠景にビルが壊れるショットを入れるところなどは監督の映像的な遊び心か。

 現代中国の風俗は興味深く、携帯があんなに普及しているとは思わなかった。壊れゆくビルと人々の豊かとは言えない生活の光景が微妙な感情を引き起こす。三峡の美しい風景をとらえた点もこの映画の評価すべきところなのだろうが、風景を生かすならばもっときれいなフィルムにしてほしいところだ。

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