2003/04/25(金)「シカゴ」

 故ボブ・フォッシーのミュージカルの映画化でアカデミー作品賞受賞作。ミュージカル初挑戦のレニー・ゼルウィガーと過去に経験のあるキャサリン・ゼタ=ジョーンズがセクシーで華麗な歌と踊りを見せてくれる。ゼルウィガーが無難にこなしました、というレベルなのに対して、ゼタ=ジョーンズは意外にうまいので驚いた。ただもう少し体を絞った方が良かったと思う(ゼルウィガーは「ブリジット・ジョーンズの日記」とは打って変わってスリム)。無難にこなしたのは監督のロブ・マーシャルについても言え、舞台を映画に置き換える際の際だったアイデア、演出はあまり見えない代わりに、これはまずいと思える部分も一切ない。エンタテインメントとしては十分に満足できる仕上がりである。

 冒頭、舞台で「オール・ザット・ジャズ」を歌い上げるヴェルマ・ケリー(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)のシーンがいい。これで画面に引き込まれる感じ。現実のミュージカル的場面は実はここだけで、あとは空想ということになっている。これはロブ・マーシャルのアイデアというが、映画のキャラクターが急に歌ったり踊ったりする不自然さを嫌ったのだろうか。舞台で踊るヴェルマを見つめるのがショウビズ界に憧れるロキシー・ハート(レニー・ゼルウィガー)。ロキシーはマネジャーを紹介するという口車に乗って家具のセールスマンと不倫関係を続けていたが、それが嘘と知らされ、発作的に男を銃で殺してしまう。一方、ヴェルマも妹と夫が関係しているのを知って殺害。2人は同じ女性刑務所に入れられる。ヴェルマは看守長のママ・モートン(クイーン・ラティファ)を買収し、辣腕弁護士ビリー・フリン(リチャード・ギア)を雇い、マスコミを使って新聞の一面を飾るスター的存在になる。スキャンダルを逆手に取るわけだ。ロキシーはそれを見習い、夫のエイモス(ジョン・C・ライリー)に頼んで、ビリーを雇う。ロキシーとヴェルマの関係は逆転。しかし、新しもの好きなマスコミは新たなスキャンダルがあると、ロキシーに見向きもしなくなってしまう。

 刑務所と言えば、似非ミュージカル「ダンサー・イン・ザ・ダーク」にも登場したが、ここで繰り広げられる歌と踊りは当然のことながらずっと洗練されている。ダイナミックでセクシー。踊りは元々セクシーなものだし、ボブ・フォッシーの映画でもセクシーな踊りが多かったが、この映画もその伝統を受け継いでいる。やや不健康で猥雑な感じがいい。ミュージカル場面を空想にしたことで、映画は歌と踊りを見せるための作品に特化したようだ。感情が高まって歌になり、歌が高じて踊りになるという原則はだからここにはなく、ダンスと主人公たちの感情とが今ひとつしっくりこないのはそのためでもあるようだ。ミュージカル場面を見せるためのドラマという感じ。そうはいってもこの歌とダンスにあふれた構成は楽しく、やはりアメリカはショウビズの本場だなという思いを強くする。

 監督デビューのロブ・マーシャルは舞台とは違った振付を取り入れたそうだ。そこがオリジナリティーと言えばそうなのだが、ホントの実力は2作目を見ないとよく分からない。バズ・ラーマンと並んでミュージカルに精通した監督が出てきたことは喜ぶべきか。

 リチャード・ギアは最初に登場する場面の歌と踊りはおずおずといった感じだが、その後のタップダンスはぴったり決まっていた。欲を言えば、10年前にミュージカルに出ていた方が良かったのではないかと思う。ジョン・C・ライリーも「俺はセロファン~」とダメ男の悲哀を込めて歌う場面があり、意外なうまさを見せる。「チャーリーズ・エンジェル」のルーシー・リュウがカメオ出演していた。

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