2001/03/19(月)「サトラレ」

 「踊る大捜査線 The Movie」の本広克行監督の快作。周囲に思念波を放射するサトラレの青年(安藤政信)とそれを保護する特能保全委員会から派遣された精神科医(鈴木京香)の交流がスラップスティック調を交えながらさわやかに描かれる。

 冒頭の飛行機墜落→自衛隊出動→サトラレ発見の場面は導入部として優れた迫力とスピード感(SFXは白組が担当)。周囲の人間も協力し、24時間の厳戒態勢でサトラレが保護されているという突飛な設定を無理なく嫌みなく描いている。鈴木京香は主人公より年上の設定を逆手にとって(初対面の主人公から「けっこう年いってるな」と思念を放射されて、ムッとする)、コミカルな味を見せ、好感が持てる。安藤政信も「バトル・ロワイアル」とは打って変わって素直な好青年を演じている。

 物語は医者としての主人公の生き方をクライマックスに持ってくる。一般的にはこれが当然だろうが、SFとしては肝心のサトラレの能力があまり生かされないし、クライマックスのくどさにはちょっと辟易させられる。しかし、全体としてはよく出来ているといっていい。本広克行は昨年の「スペーストラベラーズ」の汚名を返上したようだ。エンタテインメントに徹した姿勢がいい。