2000/05/10(水)「イグジステンズ(eXistenZ)」

 デビッド・クローネンバーグの新作。前作「クラッシュ」を見ていないし、その前の「Mバタフライ」もビデオに録画したまま見ていないので、個人的には実に「裸のランチ」(91年)以来のクローネンバーグ映画となる。近年は文学的な題材を選んでいたクローネンバーグが原点回帰したと言われる作品で、その通り「ラビッド」や「ブルード 怒りのメタファー」などを思わせるB級SFチックな出来である。

 ゲームの世界と現実との区別がつかなくなるという結末からすれば、まあ小粒な映画といっていいだろう。しかし、そのゲーム機が有機体(突然変異生物)でできているというのがクローネンバーグらしいところ。人は背中にあけたバイオポートにプラグを差し込んでゲームをプレイするのだ。予告編でさえ、気持ち悪い部分があったので心配したが、映画は全体としてみれば、傑作ではないにしても面白い仕上がりと思う。主演の2人、ジュード・ロウとジェニファー・ジェイソン・リーがなかなか良く、楽しめた。