2020/04/05(日)オットー・プレミンジャー監督の2本

 amazonで古い映画を検索したら、ネット広告に「バニー・レイクは行方不明」が出るようになった。1965年のオットー・プレミンジャー監督作品。題名に惹かれてamazonプライムビデオで見た(レンタル199円)。

 アメリカからロンドンに来たシングルマザーのアン・レーク(キャロル・リンレー)が4歳の娘バニーを保育園に入園させる。迎えに行くと、保育園の誰もがバニーを見ていない、知らないと言う。アンは兄のスティーブン(キア・デュリア)と警察に届け出る。ニューハウス警部(ローレンス・オリビエ)が捜査を始めるが、アンのアパートからはバニーの服やおもちゃなどがすべてなくなっていた。警察はバニーの存在そのものを疑い始める。すべてはアンの狂言ではないのか?

 ある人物が消えて、その存在そのものが疑われるという映画はヒッチコックの「バルカン超特急」(1938年)あたりが最初か。子どもがいなくなるという発端ではジョディ・フォスター主演の「フライトプラン」(ロベルト・シュヴェンケ監督、2005年)やクリント・イーストウッド監督「チェンジリング」(2008年)などがある。こうした映画では主人公も含めて登場人物の誰かが嘘をついていることになる。プレミンジャーの演出は手堅く、一見の価値はある。

 イヴリン・パイパーの原作は2003年に早川書房のポケミスから出たようだが、現在は絶版。ちなみにKINENOTEには「バニーレークは行方不明」のタイトルで登録されているから、日本公開時はこれだったのだろう。DVDのタイトルは「バニー・レークは行方不明」となっている。



 プレミンジャーのミステリーは以前、「ローラ殺人事件」を録画して未見のままになっていた。見ようと思ってパソコン内とブルーレイディスクを探したが、見つからなかった。しょうがないのでDVDを買って見た。

 1944年のモノクロ作品。IMDbの採点は8.0、ロッテン・トマトでは100%が肯定的で、すこぶる評価が高い。KINENOTEでは73点。ニューヨークで有名なデザイナーのローラ・ハント(ジーン・ティアニー)が猟銃で顔を撃たれ、無惨な死体となって発見される。ニューヨーク市警の刑事マーク・マクファーソン(ダナ・アンドリュース)が捜査を始め、容疑者としてプレイボーイで彼女の婚約者シェルビー(ビンセント・プライス)、叔母でシェルビーと関係のあったアン(ジュディス・アンダーソン)、ローラの才能を見出し育てたコラムニストのウォルド(クリフトン・ウエッブ)らが浮かび上がる。

 DVDの画質が(廉価版なので)良くないこともあって、どこが優れているんだかと思いながらボーッと見ていたら、中盤にあっと驚く展開があった。この映画、ここに尽きる。これ、後年の映画や小説にも影響を与えているだろう。レイモンド・チャンドラーの某作品もこれを参考にしているのではないか。というわけで、ミステリーファンなら見て損はない。この原作(ヴェラ・キャスパリ著)もポケミスから出ていたが、絶版。



 これ、YouTubeでは300円で配信している。画質は予告編を見る限りはDVDより良いが、本編はどうだろう。