2011/05/14(土)「大魔神」

 WOWOWの放送画質のきれいさが意外だった。これはブルーレイが出ているのだろうと思ったら、やっぱり3部作を収録したブルーレイボックスが発売されていた。しかし、買うならこのボックスよりも平成ガメラのブルーレイボックスの方だろう。

 監督が座頭市シリーズの安田公義なので、時代劇の作劇はきわめて真っ当。謀反を起こした家老が領主を殺し、領民たちを圧政で苦しめる。10年後、生き残った領主の子である兄妹が家老を倒そうとする。家臣たちが山にある武神像を壊そうとしたことで怒った大魔神が姿を現す。

 大魔神の設定と特撮にあまり魅力を感じない。怪獣映画の主役はあくまで怪獣であり、怪獣のキャラクターが重要だと思う。大魔神には神としてのキャラクターしかないのが今ひとつ、面白みに欠ける理由なのだろう。家老を倒しても怒りが収まらない大魔神が罪のない領民も殺してしまうという趣向は良いのだから、これをもっと推し進めた方が良かった。付け加えておくと、この映画、作りがしっかりしているので冷笑とは無縁の作品になっている。

 Wikipediaの大魔神の項目はとても詳しい。熱心な特撮映画ファンは多いのだ。

2011/05/14(土)「ラブファイト」

 「八日目の蝉」の成島出監督作品のうち、見ていないのはデビュー作「油断大敵」と、この映画だった。BSジャパンの不完全放送とはいえ、面白く見た。2008年の作品だが、公開された劇場は全国で30館足らずだったらしい。当然、宮崎でも公開されていない。

 原作はまきの・えり の「聖母少女」。いじめられっ子だった稔(林遣都)は幼いころから男勝りでけんかが強い亜紀(北乃きい)に守られてきた。高校生になった稔はふとしたことで知り合った大木(大沢たかお)のボクシングジムに通うことになる。亜紀も稔のジム通いを知り、ボクシングを始める。

 ボクシングが出てきてもスポ根映画ではない。男と女の立場が逆転していた男女がお互いに惹かれ合っていることに気づく物語。「愛のむきだし」の満島ひかりのようにパンチラも気にせず、得意の回し蹴りを披露する北乃きいがはつらつとしていて良い。ボクシングのフォームにも無理がなく、トレーニングの縄跳びもうまい。北乃きい、運動神経が意外にあるなと思った。林遣都は「バッテリー」「ダイブ!!」「風が強く吹いている」とスポーツ選手の役が多いが、この映画でも違和感がなかった。体を鍛えているのだろう。

 ネットの感想を読むと、大木とかつての恋人だった女優の順子(桜井幸子)が絡む部分の評判があまり良くないようだ。僕はここも良いと思った。将来有望だった時にスキャンダルに巻き込まれ、夢を断たれた男女の今を描き、主演の2人と対比した成島出の演出には無理がない。青春映画の佳作。DVDで完全版を見直したい。

2011/05/11(水)「大怪獣ガメラ」

 1965年のガメラ第1作。WOWOWでは今、大映特撮スペクタクル映画の特集をやっている。ラインナップはこの映画のほか、「秦・始皇帝」「釈迦」「大魔神」の4本。ふむ、そんなものか。旧ガメラシリーズは何本か見ているが、これは初めてだった。平成ガメラ3部作とは比べるべくもないけれど、ガメラの鳴き声だけは平成ガメラも踏襲している。

 ガメラはエネルギーを吸収するので、普通の兵器は役に立たない。そこで取られた方法は冷凍爆弾で10分間、ガメラを動けなくし、その間に爆弾をしかけて崖からガメラを落とし、裏返しにする方法。亀は自力で起き上がることはできないので、気長に待っていれば、やがてガメラは飢え死にする、というほとんど冗談みたいな方法である。ところが、ガメラは手足を引っ込め、炎を噴き出して空中に浮かぶ。それを見ていた科学者が驚いて言う。「亀が空を飛ぶとはのう…」。もちろん、”亀も空を飛ぶ”のである。

 クライマックスに出てくるZ計画というガメラの撃退法にはちょっと感心。ウルトラマンのエピソードに似たものがあったが、こちらの方が先だ。SFに詳しい人よりもそうじゃない人の方が思いつきそうなアイデアである。

2011/05/11(水)「踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!」

 好きなシリーズだが、あまりの評判の悪さに昨年見逃した。冒頭、湾岸署の新庁舎への引っ越しの場面がいきなり間延びした展開でがっかり。黒澤明「野良犬」を引用したような拳銃を盗まれる事件(ただし、引っ越しのどさくさ紛れ)から湾岸署占拠、青島(織田裕二)が過去に逮捕した犯人たちの釈放要求(これがヤツら、というわけ)と続く。

 話のスケール感に乏しいのが難で、占拠されるのは湾岸署ではない方が緊迫感が増しただろう。警察内部の事件と思えてしまうのである。事件の首謀者である小泉今日子と織田裕二の対決にもっと深い理由付けも欲しい。

 良かったのは映画版では初登場の内田有紀。もっと映画に出てはどうか。

2011/05/11(水)「グリーン・ゾーン」

 イラクに大量破壊兵器(WMD)がなかったのは既定の事実なのだから、今さら、それがアメリカ政府上層部のでっち上げだったなんてことを力をこめて言っても、あまり意味はない。マイケル・ムーアの言うようにこれはフィクションとして作るべき題材ではなかったと思う。事実を積み上げた映画であれば、もっと評価は高かっただろう。

 それよりもこの映画を「反米的」などと罵倒する評論家がいることに驚く。そういうバカがいる国でこういう映画を撮ったことには意義があるのかもしれない。監督が「ユナイテッド93」のポール・グリーングラスなのでサスペンスやアクションは水準を行っている。「この国をお前たちのいいようにはさせない」というイラク人の主張をもっと前面に出した方が良かっただろう。