2011/09/19(月)「スプライス」

 ヴィンチェンゾ・ナタリは異能とか異才という言葉がぴったりの監督に思える。「CUBE」も「カンパニー・マン」も通常の発想では作れない作品だと思う。この映画の場合は通常の発想で作れるのだけれど、遺伝子操作で誕生した新しい生命体の気味の悪さが尋常ではない。人間のようで人間とは非なるもの。生まれた時は羽根をむしった鳥のような形態で、毒針のあるしっぽを持つ。成長するにしたがって人間の姿に近づくが、言葉はしゃべれず、足は鳥の足のような形のまま。それが人間に恋をするから始末に負えない。

 NERD(オタクだ)という研究機関に勤め、生命体を誕生させる研究者夫婦はマッド・サイエンティストなのだが、そうは見えないエイドリアン・ブロディとサラ・ポーリーが演じているのがポイントか。気味の悪い生命体にドレン(DREN=NERDの逆)と名付け、かわいがるのが尋常ではない精神構造を表している。