2002/10/22(火)「ノー・マンズ・ランド」

 ボスニア・ヘルツェゴビナの戦争を描いて、今年のアカデミー外国語映画賞を受賞した。中間地帯(ノー・マンズ・ランド)の塹壕にボスニア人とセルビア人の3人が取り残される。1人の体の下には地雷が埋められて、身動きできない状態。互いにいがみ合うが、そのうち共通点が見つかるものの、やっぱりふとしたことで対立する。国連軍が駆けつけて救出を図り、マスコミも押し寄せて塹壕の中が報道される。不条理なシチュエーションで描く風刺劇である。

 「殺戮に傍観者はあり得ない。傍観は殺戮に加担することだ」というメッセージは分かるし、国連軍がただの一人も助けることが出来ない存在であることへの風刺や皮肉もよく分かるのだが、「OUT」のようなストレートな映画の後に見ると、分が悪い。傑作なのは認めますが、今ひとつ心に響かなかった。