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2004年07月03日の記事

2004/07/03(土)「シルミド」

 韓国で「ブラザーフッド」に抜かれるまで興行収益のトップだった作品。これも1200万人が見たという。誤解しやすいのだが、大ヒットする作品の質が必ずしも高いわけではない。「ブラザーフッド」とこの映画を見て、改めてそう思う(キネマ旬報によると、韓国で観客動員数が増えたのはシネコンの増加が背景にあるという)。まずまず面白い映画に仕上がってはいるけれど、絶賛するほどではない。

 死刑囚やヤクザを集めて訓練し、北朝鮮の金日成暗殺部隊を組織する話。実話を基にしたフィクションだが、こういう話ならば、もう少しキャラクターが立ってほしいと思う。指導官役の名優アン・ソンギや部隊のリーダー格ソル・ギョングなど渋くていいキャラクターだし、他の兵士もそれぞれに描き込まれているのだけれど、まだまだ物足りない。もっと強烈なキャラが欲しいところだ。

 1968年に北朝鮮の特殊部隊が朴大統領を暗殺するため韓国に潜入する。暗殺は阻止したが、韓国政府はショックを受け、逆に金日成主席暗殺を計画。死刑囚など重罪を犯した犯罪者31人を集め、無人島のシルミ島で空軍の684部隊の訓練兵として過酷な訓練が始まる。訓練の途中で死ぬ者も出るほどの過酷さだが、次第に隊員たちは実力を付け、隊員同士の結束も生まれる。3年が過ぎ、やっと金日成暗殺の指令が下るが、途中で中止命令が出る。南北関係は対立から対話に変化しつつあり、684部隊も邪魔な存在になってきたのだ。韓国政府は訓練兵たちの抹殺を命令する。

 物語は1968年から順を追って語られる。事件はクライマックスのバスジャックで明らかになったわけだから、ここを冒頭に持ってきて振り返るという構成がハリウッド映画などでは一般的なのではないかと思う。そういう意味ではあまり工夫がない構成である。前半の訓練シーンが長すぎるのをはじめ脚本の出来は決して良くない。こういう男ばかり出てくる映画で、史実に絡む話だと、ついつい脚本家には笠原和夫のような才能が必要と思いたくなる。

 はぐれ者たちが途中で国家に裏切られ、国家への反逆を決意するという話は冒険小説にもよくあるタイプの話で個人的にはとても好きなのだが、この映画の場合、どうも入り込めない部分が残った。描写がうまくないのである。監督はカン・ウソク。2時間15分の上映時間はもっと刈り込んだ方が良かったと思う。

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