2017/03/05(日)「最期の祈り」

 Netflixオリジナル作品で「ホワイト・ヘルメット」と同じくアカデミー短編ドキュメンタリー賞にノミネートされた。原題はExtremis。監督はダン・クラウス、上映時間24分。カリフォルニア州オークランドにあるハイランド病院の終末期医療の現場で人工呼吸器をして延命するか、外すかの選択をする患者とその家族、医師たちの苦悩を描く。

 気管に挿管した人工呼吸器はかなり苦しいようで、外すのを防ぐため患者は拘束してある。ここからの選択肢は2つ。気管を切開して人工呼吸器を付けたまま生きるか、外して死を待つか。外せば2、3日の命だという。

 日々、どこかの病院で行われている選択だが、こんなにつらい選択もない。家族にとってはどんな状態でも生きていてほしいと思うものだが、患者にとって苦しい状態をそのままにしていいのか。患者が外してくれと言っても、医師たちは「正常な判断ができているかどうか、分からない」と悩む。胸をかきむしられるような作品だ。

 驚いたのは救急車の費用。「救急車を頼むと2000ドルかかるので車で運んだ」と家族の1人が言う。アメリカの救急車は民間が行っているが、そんなにかかるとは知らなかった(タクシー同様、距離で費用は異なるようだ)。高規格救急車だから緊急時には確かに一命を取り留めるのに効果があるだろうが、この費用を知って救急車を呼べるのは高額所得者だけではないか。