2008/12/31(水) ミステリマガジン2月号

 「ミステリマガジン」2月号表紙

 オットー・ペンズラーが2008年のベスト・ミステリとしてトム・ロブ・スミスの「チャイルド44」を挙げている。「これは政治小説であり警察小説であると同時に、スリラーでもある。読み進むうちに鼓動がどんどん速くなり、手に汗を握ることになるのは間違いない」と絶賛。僕は冒険小説の一種と思った(詳しい感想はSorry, Wrong Access: 「チャイルド44」)に書いた)けれど、ペンズラーは冒険小説とは書いていないな。いずれにしても、この29歳の作家の次作が楽しみでであることは間違いない。それにしてもこの小説、アメリカでも今年発売されたのだな。

 2月号の特集はデニス・ルヘインだが、ほぼ興味がない。というか、読んだことがない。ジェームズ・クラムリーの追悼特集の記事を読む。小鷹信光さんの長い評論も読み応えがあるが、池上冬樹が「ハードボイルド仕立ての私小説」と喝破しているのに感心した。なるほど、そうかもしれない。クラムリーはミステリを書こうという意思よりも確かに「男の生き方や女との出会いと別れといった人生の諸相」の方を描きたかった作家なのかもしれない。クラムリーは7冊の長編小説を残した。僕は幸いなことにすべて買っているが、読んだのは初期の3冊(「さらば甘き口づけ」「酔いどれの誇り」「ダンシング・ベア」)のみ。残りの4冊を早く読まなければ、という気になった。