2010/12/16(木)「SR サイタマノラッパー」

 amazonのレビューでは評判が良いが、僕は普通の青春映画と思った。出てくる俳優にイケメンが1人もいないのが逆にリアルか。等身大の映画と言われるのはそういう部分があるからだろう。埼玉県でラップに燃えるニートやフリーターを描く。冴えない青春を描いた作品で、ラップで成功するのかと思えば、そんなにありきたりではない。主人公が「俺たちの第1ステージが終わったところ。これからセカンドステージさ」とバイト先の食堂で歌うクライマックスがしみじみしていて良い。

 監督の入江悠はこれが3作目。長回しが多く、これは元は演劇かと錯覚するほど。もっとカットを割った方がいいと思う。良かったのはAV出演経験がある店員を演じた実際の元AV女優みひろ。さっそうとしているのがとてもクールでカッコ良い。一般映画で十分通用する女優であることを認識した。ラスト近く、大きなスーツケースを抱えて駅の階段を上るシーンは「結婚しない女」のジル・クレイバーグがラストで大きな絵を抱えてフラフラ歩くシーンを思わせた。前途多難であることを匂わせつつ、それに負けないキャラクターであることを示したシーンだ。