2015/09/28(月)「大越健介 メジャーリーグをゆく」

 サイゾープレミアムの高須基仁による批評「NHK大越健介キャスターが2時間特番で見せたキャッチボールと涙は、強烈な反撃だ!」がとても良い文章だったので昨日、NHK BS1で再放送された「大越健介 メジャーリーグをゆく~知られざるアメリカの素顔~」を見た。8月に放送されて評判を呼び、再放送を要望する声が多数寄せられたらしい。昨日の再放送は既に2回目(放送は計3回目)だった。

 3月まで「ニュースウオッチ9」のキャスターを務めた大越さんが大リーグの現場を歩いて人気の秘密を探る内容。5世代にわたってレッドソックスのファンの女性や松井秀喜、川崎宗則、大リーガーを夢見る大学生、その大学生を無償で支える女性、プエルトリコの少年たち、シーズン70本塁打の記録を作ったマーク・マグワイアなど多数の人々を取材していく。高須基仁はこう書いている。

 かつてソフトバンクで活躍し、今はマイナーリーグに所属している川崎宗則選手も取材した。メジャーリーグに上がるのは大変ではないかと尋ねると、川崎は「楽しくてしょうがない」と語った。マイナーだろうとメジャーだろうと、毎日野球をする、毎日仕事がある、こんな楽しいことはない、と。川崎の父親は、ひとり働きの電気工事屋だという。毎日、休みなく仕事をする。そんな父親はプロフェッショナルだ、とあっけらかんと語る川崎に、大越はまたキャッチボールを頼んだ。ピシッと捕りやすい球が返ってきた。

 ところどころ、大越の横顔がカットインされるのだが、眼鏡の奥で泣いていた。涙を落とすわけではないが、にじませていた。何度も何度も。

 番組を見ていて微笑ましくなったり、胸を打たれたりするのは夢見る人々や逆境にいる人々を取り上げているからだ。東大野球部のエースだった大越さんは日米学生野球で30年以上前にマグワイアと対戦したことがある。大越さんはこう聞く。「私もあなたも既に50代ですが、今、なにか夢はありますか?」。薬物使用疑惑で球界を一時離れ、今はドジャースの打撃コーチを務めるマグワイアは少し考えて答える。「今がまさに夢の中だよ。若いころから選手を指導するのが夢だったんだ」。

大越さんの「ニュースウォッチ9」降板は左遷といわれた。安倍政権べったりの会長の下で庶民目線で政権批判をする大越さんの存在を目障りに思う上層部がいたのだろう。高須基仁の「強烈な反撃」という言葉は降板に対する反撃を指すが、それを抜きにしても良い番組だった。

2015/09/27(日)「ウォーリアー」

 KINENOTEで1位になったアニメ「心が叫びたがってるんだ。」を見た。小学生の頃のある出来事によって話さなくなった少女・成瀬順が主人公。順の話したことがきっかけで両親は離婚する。心にあることを何でもしゃべってしまうので、玉子の妖精に呪いをかけられた(と思っている)順は高校生になっても話さない。話すと、腹痛が起きる。先生の指名で地域ふれあい交流会の実行委員になった順がミュージカル上演を目指してクラスメートと心を通わせていく姿を描く。

 テーマは重たく、描写は軽やかなのが美点で、良くまとまった作品だと思う。ただ、なんとなく食い足りない。どこが悪いというわけではなく、減点する部分は見当たらないが、世評ほど高く評価する気になれない。強いて言えば、アニメの技術に目新しい部分がないことが少し不満なのだが、スタッフはアニメの技術に力を入れているわけではない。ここにあるのは物語をきちんと伝える過不足のない技術で、それ以上のものは目指していない。それを批判するのは筋違いというものだ。だが、それなら実写でも小説でも良かったのではないかという思いも拭いきれないのだ。

 などと考えながら、KINENOTEを見たら、公開中映画ベストテンの1位がこの映画から「ウォーリアー」に変わっていた。「ウォーリアー」という作品はまったく知らなかった。調べてみると、2011年の作品で6月に東京で単館公開され、8月にDVDとブルーレイがリリース。同時にamazonやGoogleでネット配信が始まった。9月19日から再び単館公開されており、劇場公開中作品としての資格ができたわけだ。このベストテンにDVDリリース済みの作品が入るのは珍しい。というか、初めて見た。気になったのでamazonインスタントビデオで見てみた。

 総合格闘技を舞台に一家離散した兄弟と父親の関係を描く。主演は兄を演じるジョエル・エドガートン、弟を「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のトム・ハーディが演じる。ハーディはこの映画から注目されたそうだ。監督はギャヴィン・オコナー。

一家が離散したのは父親のアルコール依存症が原因。母親と弟は家を出る。母親の死後、弟は海兵隊に入るが、除隊して14年ぶりに父親に会いに来る。総合格闘技の大会スパルタンに出るため、父親にトレーナーを依頼するのだ。高校教師となった兄は心臓を患う娘の治療費のため銀行に多額の借金があり、家を差し押さえられそうになっている。家と妻子を守るため総合格闘技の試合で日銭を稼ぎ、知人のジムに通うようになる。そして同じくスパルタンに出場することになる。

兄は関節技を得意とし、弟はファイタータイプという設定。弟がパンチ一発で勝ち上がっていくのに対し、兄はボコボコに殴られながらも、間一髪の逆転で辛くも勝ち上がる。そしてロシアの世界チャンピオンと対戦することになる。

 ドラマもよくできているが、映画の半分ぐらいを占める試合場面がいい。兄と弟の背景を踏まえて描き、歓喜と感動が渦巻く。観客を揺さぶる感情の振幅が大きいのだ。父親役のニック・ノルティがダメ男を情けなく渋く演じており、これはもしかしたらと思ったら、案の定、2011年のアカデミー助演男優賞にノミネートされていた。

2015/09/26(土)デスクトップもWindows10に

 デスクトップパソコンのWindows Updateを起動したら、Windows10 HOMEへのアップグレード準備が整っていたのでインストール。7月末から連日、Windows Updateのログに「アップグレード失敗」が記録されていたが、それは今月13日までだった。通知がなかったので気づかなかった。ただし、アップグレードすると、DLNAソフトのDiXiM Digital TV PLUSが動かなくなる。インストールの途中でアンインストールされた。

 アップグレード後にこのソフトを再インストールしてみたら、起動はするものの、動画がちらちら点滅して用をなさない。Digionのホームページを見ると、Windows10対応アップデータがあったのでインストールした。これで大丈夫かと思ったら、起動できない。説明によると、「NVIDIA や AMD のGPUのみを使用している環境」では動かないそうだ。動くのはIntel製のGPUだけらしい。はあ、これでアップデータと言えるんだろうか。デスクトップパソコンの多くでは使用できないんじゃないかな。しょうがないので、Digital TV PLUSはノートパソコンの方にインストールした。デスクトップにはPower DVDも入ってるので困らない。

 アップグレードして困ったのは日本語IMEがATOK2015に切り替えられないこと。いったんATOKをアンインストールして再インストールする必要があるそうだ。7月末に10にアップグレードしたノートパソコン(ATOK2014が入ってる)の方はこの問題起きなかったので、ATOK2015固有の問題なのかもしれない。

 ハードウェアではプリンタのドライバがないので動かない。これはWindows8.1にさえ対応していなかったのだから仕方ない。もう9年ほど使っているし、買い換えの時期ではあるのだ。幸い、居間にファクス兼用のプリンタがあって、こっちは対応しているので急ぐ必要はないんですけどね。

 あと、もう一つ。アップグレードしたら、ウイルスバスターがきれいさっぱりなくなっていた。Program Filesの中にフォルダはあったが、中身は空っぽ。Windows Defenderもあることだし、必要はあまり感じないが、まだ契約期間が残っているので再インストールしておこう。

2015/09/25(金)Fire TV予約

 amazonプライムビデオが唐突に始まった。タブレットのamazon Fireが発売される30日に合わせて始めるのではないかと思っていたが、予想より少し早かった。今月初めに数年ぶりにプライム会員に復帰した(無料体験中)のでさっそく見てみた。動画は合計1511タイトル。内訳は外国映画320本、日本映画456本、テレビドラマ219本など。Netflixなど他のサービスに比べると見劣りするが、プライム会員のおまけみたいなものだからなあ。それにテレビドラマの場合、1シリーズ1本と数えているので1話1本として数えれば、かなり増える。

 映画は旧作中心だ。「野火」の市川崑版とか日活アクションとか、東映ヤクザ映画とか、「トラック野郎」シリーズとか。日本映画の方が多いのが意外で、アメリカ映画が多いのではないかと思っていた。旧作が多いのは個人的には歓迎で、レンタルして見るまでもないような作品はこれを機会に見てみようかという気になる。いっそのことB、C級作品を多くするのもありか、と思う。傑作といわれる作品は既に見ているものが多いのだ。旧作が多いのはどこかのネットメディアが書いていたが、中高年向けも意識しているのだろう。

 動画配信サービスの場合、アメリカのテレビドラマ目的に加入する人も多いと思う。「ウォーキング・デッド」はあるが、「ブレイキング・バッド」はない。新作では「ミスター・ロボット」と「フィアー・ザ・ウォーキング・デッド」がある。これはもっと充実してほしいところ。日本のドラマはTBSとテレビ東京のもの。「悪魔のようなあいつ」があったのはうれしい。

 画質はHDなのでパソコンやタブレットで見るのには十分。パソコンをテレビにつないで見てみると、WOWOWの画質に比べると落ちる。でもWOWOWメンバーズオンデマンドよりずっと良い。パソコンで途中まで見て、テレビで続きを見るという見方もできる。ただし、視聴デバイスを変えると、停止した位置より少し前から始まるようだ。わざとそうしているのかもしれない。

 まあ、おまけとしては満足できる内容だったのでAmazon Fire TVを予約した。これはサービス開始に合わせて発売するだろうと思っていた。スティック型とどちらにするか迷ったが、4Kに対応している方を選んだ方が良いだろうと思う。NetflixとHuLu、YouTubeにも対応しているのが便利だ。

2015/09/20(日)「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド 」

 原作とはまったく違う。前編は8割ぐらいは原作のプロットをなぞっていたが、後編はまったく異なる展開となる。巨人の謎が明らかにされ、戦う敵の設定も変えてある。連載中のコミックを映画化する上で、これも一つの方法だ。原作通りに作って破綻の末に討ち死にするよりは、はるかに賢明な選択だったと思う。

 進撃ファンダメンタリストは怒るだろうが、個人的にはこの改変、悪くないと思った。こういう展開にするから、原作のリヴァイをシキシマに変えるなど細かい変更をしていたのかと納得した。最後まで見て思い浮かべたのはM・ナイト・シャラマンの某作品。B級SFにありそうなアイデアなのである。

 ただ、残念ながら話が小粒になった。原作のスケール感がなくなった。前編で開いた壁の穴を塞ぐ攻防が中心になるので、これは仕方ない面もある。それと前編同様にドラマの盛り上げ方がうまくない。謎の解明に話を割いた結果、主人公たちの感情の動きがうまく描けていない。これは主に監督の責任だろう。

 謎が謎を呼ぶ原作とは別物と思って見れば、別段、腹は立たない。