2005/12/28(水)「ホステージ」

 ロバート・クレイスの原作を「スズメバチ」のフローラン=エミリオ・シリが監督したアクション。これは見逃した後に原作が「ミステリ・マガジン」で評価されていたので、気になっていた。セキュリティ設備が完備した邸宅に3人の若者が人質を取って立てこもる。その家の主人は犯罪組織の会計士。組織は事件解決の指揮をする警察署長の妻と娘を人質に取り、情報が入ったDVDを渡すよう脅迫する。二重の人質事件という発想が良く、ブルース・ウィリス主演の映画としては久しぶりに面白い(もちろん、この後の「シン・シティ」も面白かった)。格好いいタイトルから始まってサスペンスが持続する作りはなかなかのもの。犯罪組織があっけなくやられるあたりはまあ、上映時間の関係上、仕方ないのかもしれない。

 DVDに収録されたスタッフ紹介によれば、監督のシリは「ジャン=ピエール・メルヴィルに心酔する一方、ジョン・フォード、ハワード・ホークス、サム・ペキンパー、ジョン・カーペンターの影響を受けている」とある。正統派のアクション映画監督なのだろう。

2005/12/26(月)「チキン・リトル」

 「チキン・リトル」パンフレットディズニーとしては初めての全編3DCGのアニメ。上映時間は1時間21分と短く、明らかに子供向けの作りである。アメリカでヒットしたのは子供を連れた親が映画館に詰めかけたからだろう。アメリカでも子供向け作品がヒットするのは日本と同じ理由があるのである。内容的にはディズニーが配給しているピクサーの3DCGアニメに比べると、物足りない部分が多く、ストーリー的にも技術的にもあまり見るべきところはない。昨年公開されたピクサーの「Mr.インクレディブル」と比べれば、その差はとても大きいと思う。それでも小学生の子供は喜んで見ていたから、ディズニーの狙いは間違ってはいないのだろう。監督は「ラマになった王様」のマーク・ディンダル。演出に大きな不備はないが、特に優れた部分も見あたらない。つまり平凡である。ディズニーが今後も3DCGアニメを作るつもりなら、脚本にもっと力を入れて、子供と一緒に見る親も楽しめる映画を目指した方がいいと思う。

 「狼少年」に「宇宙戦争」を加えて父と息子の相互理解をテーマにした話である。1年前、チキン・リトルは「空のかけらが落ちてきた」と警報の鐘を鳴らす。町中は大騒ぎになるが、確かに見たはずの六角形の空のかけらは消えていた。父親も信じてくれず、結局、ドングリと間違ったのだろうということになってしまう。それ以来、チキン・リトルは何をやっても失敗ばかり。体育の授業中、いじめられたアヒルのアビーをかばおうとしたチキン・リトルは火災報知器のスイッチを引いてしまい、スプリンクラーが動作して体育館は水浸し。父親はますますチキン・リトルの話を聞いてくれなくなる。チキン・リトルは野球選手として有名だった父親を見習って野球で名誉挽回を図ろうとする。

 ちょっとした計算違いではないかと思うのはベンチ・ウォーマーだったチキン・リトルが代打で出場してヒットを打ってしまうこと。これで少なくとも父親はチキン・リトルを見直すので、ここで終わってもいいなと思えるのである。これに続く空のかけらの真相が分かるシーンは明らかに「宇宙戦争」で、宇宙船からトライポッドのような機械が出てきたり、人を消滅させる光線を出すあたり、スピルバーグのリメイク作品とよく似ている。公開時期から考えて模倣ではないが、結果的に目新しさには欠けることになった。このシーンによって、チキン・リトルは町の住民たちからも見直されることになる。ただし、この展開、物語を派手にするための展開のような気がしないでもない。話自体にあまりオリジナリティーが感じられず、志は高くないと思う。ついでに言えば、ギャグのレベルも高くはない。

 みにくいアヒルの女の子アビーについては明らかに差別的な表現があり、少し気になった。チキン・リトルはアビーに好意を寄せるのだが、アビーの外見を超えた内面の魅力が描かれないので終盤のキスシーンが唐突に思える。チキン・リトル自体はかわいいキャラクターなのに、他のキャラクターはあまりかわいらしさのないデザインが多かった。

2005/12/23(金)「HINOKIO」

 引きこもりの少年が遠隔操作のロボット(ヒノキが一部に使われているのでヒノキオとあだ名が付く)で学校に行くようになり、友人との交流を通じて引きこもり生活から脱する。よくできたジュブナイルだと思うが、題材を詰め込みすぎて未消化に終わった部分が多い。現実とリンクしているゲーム世界の扱いなど中途半端。ゲームが現実を浸食してくるような展開になると好みの映画になったと思う。驚くのはCGで作られたヒノキオの自然さで、どれがCGでどれが本物か見分けがつかない。この技術はハリウッドに負けていない。

 監督の秋山貴彦はVFXマン出身。山崎貴のデビュー作「ジュブナイル」もドラマ的には弱い部分が多かったから、秋山貴彦にも2作目を期待したい。

 主人公を演じるのは「大停電の夜に」の本郷奏多。友人役の田部未華子は最初、少年かと思っていたら、少女と分かる場面でびっくり。要注目。堀北真希が小学生役で出ていて、これもびっくり。キャスト紹介を見るまで堀北真希とは分からなかった。堀北真希はいろんな役柄ができるのに感心する。今年は映画に3本出たのかな。

2005/12/22(木) 12月としては60年ぶり積雪

 宮崎市で観測。NHKニュースによると、積雪の記録としては1センチ(隣の鹿児島では11センチで、これも記録更新)。数年に一度、積雪を観測することはあるが、1月か2月ばかりだったのか。きょうは最高気温6度とか。ぶるぶる。

 写真はうちの車庫の屋根に積もった雪(22日午前7時37分、携帯で撮影)

 雪の写真

2005/12/21(水)とにかく強烈で、壮絶な映画だった

 最近巡回する日記はRSSのあるところばかりなので、見逃していた。「町山智浩アメリカ日記」よりスピルバーグの「ミュンヘン」に関するコメント。予告編を見てもどういう映画かよく分からないのだが、そういう映画だったのか。テロの恐怖を「宇宙戦争」で比喩として描いたスピルバーグが今度は本当のテロを取り上げたわけだ。

 アメリカでは今週末公開。アカデミー賞の台風の目になるか?