2011/12/30(金)第3回AXNミステリー 闘うベストテン
視聴者1位の「ジェノサイド」は暫定5位に置いてあったが、「他のベストテンでもさんざん1位になっているから」という理由で別格として圏外へ。評者5人の論戦で最終的に決まった順位は以下の通り。
(1)「忘れられた花園」ケイト・モートン (2)「11 eleven」津原泰水 (3)「ミステリウム」エリック・マコーマック (4)「ローラ・フェイとの最後の会話」トマス・H・クック (5)「なまづま」堀井拓馬 (6)「ねじれた文字、ねじれた路」トム・フランクリン (7)「月と陽炎」三咲光郎 (8)「謝罪代行社」ゾラン・ドヴェンカー (9)「装飾庭園殺人事件」ジェフ・ニコルソン (10)「はいつくばって慈悲を乞え」ロジャー・スミス 別格(視聴者1位) 「ジェノサイド」高野和明
見事に1冊も読んでいないが、「ねじれた文字、ねじれた路」は先日買った。「謝罪代行社」は買ったまま。このベストテンの中で読みたいのはトマス・H・クックかな。過去のベストテンは番組ホームページに1998年分から掲載してある。歴史のある番組なのだ。今年で第3回なのは、ミステリーチャンネルがAXNミステリーに変わったため。それにしてもAXNミステリーをまともに見るのは1年間でこの1時間番組ぐらいなのだった。
2011/12/24(土)EPUB
電子ブックのファイル形式であるEPUBの作成ソフトを探したら、Sigilというのがあったので使ってみた。WYSIWYG ebook editorとある通り、ワープロ感覚でEPUBの作成ができる。作成時にブックビューと分割ビュー、コードビューが選べるのはDreamweaverと同じだ。ホームページを作成したことがある人なら、問題なく使えるだろう。見出しから目次を作ってくれる機能が便利だ。表紙画像はどれぐらいにすれば良いか分からなかったが、幅590ピクセル、高さ750ピクセルらしい。
Calibreは作成ソフトではなく、電子ブックの管理ソフトだが、既存のファイルをEPUBにコンバートする機能がある。Wordなどからオープンドキュメント形式(拡張子odt)で保存したファイルなら問題なくEPUBにコンバートできた。
Sigilで作ったEPUBをCalibreでプレビューしてみるというのが良い使い方か。Calibreでメタデータを追加することもできる。ただ、どちらも海外のソフト。日本語化されているとはいっても、日本製のソフトがあると、もっと取っつきやすいなと思う。その意味でEPUBの保存形式に対応した一太郎2012(2月発売)がどれぐらい使えるか楽しみだ。先日、予約した。
あとはEPUBリーダーの優秀なのが欲しいところ。今、Androidマーケットで公開されているのはどれも一長一短ある。CopperReaderは縦書き表示もでき、フォントも明朝体で良い感じ。ページめくり機能も一応あるが、もっと本格的なものにしてくれないかな。CPUの処理能力との関係で抑えているらしいけど。
2011/12/14(水)「トラウマ映画館」
町山智浩の「トラウマ映画館」をamazonに注文したのは今年3月末。ところが、売れ行きが良かったためか、お届け時期が4月末から5月初めになると連絡が来た。ちょうど近くの書店で見つけたのでamazonはキャンセルし、書店で買って読んだ。収録されている25本の映画のうち、僕が見ていたのは「マンディンゴ」と「追想」(どちらも高校時代に映画館で見た)の2本だけだったが、内容はとても面白かった。町山智浩がなぜ映画にのめり込んでいったのか、出自を語りながら語る部分が興味深い。映画を語ろうとすれば、自分を語ることは避けられないところがある。
あとがきによると、収録されている作品のほとんどはテレビで見たものらしい。テレビ放映の映画をマニアックな映画ファンはバカにすることが多いし、僕もCM入りの映画はほとんど見ないが、利点もある。本書のあとがきにあるように「予期せぬ出会い」があるからだ。映画館に行ったり、DVDを借りる行為には必ず自分の選択が含まれる。好みに合わない映画は選ばないだろう。テレビ放映の映画は選択の余地がない。いや、見るか見ないかの選択はあるが、何しろ映画にはまり込んでいた子供の頃などは何でもいいから映画を見たいという気分になっているうえ、見ることが日課になっているから何でも無差別に見てしまうのだ。
僕の場合、今村昌平の「果しなき欲望」や日活の「渡り鳥シリーズ」や増村保造「女体」や宮崎駿「太陽の王子 ホルスの大冒険」やB級、C級作品の多くはそうしてテレビで出会ってきた。そして多感な時期に見た映画は強く記憶に刻まれるのだ。その後で完全版の作品を見ても、子供の頃に見たテレビの不完全版の方が印象に強く残っていることが多い。
「トラウマ映画館」に収録された映画4本をWOWOWが4夜連続で放映中だ(WOWOWにはかなりの映画ファンがいるなと思う)。「不意打ち」「裸のジャングル」「質屋」「フェイズIV 戦慄!昆虫パニック」の4本。「不意打ち」は不安を煽るようなオープニング・タイトルが「サイコ」のソール・バスを思わせる。停電でエレベーターに閉じ込められた婦人(オリビア・デ・ハビランド)の家に浮浪者や娼婦や若者たちが侵入して無茶苦茶をする話。終盤の展開は映画が公開された1964年当時としてはショッキングなものだっただろう。テレビでこれを見た子供がトラウマになるのもよく分かる。
もともと、「トラウマ映画館」という本が書かれたのはこの映画のショッキングなシーンを覚えていた作家の平山夢明が町山智浩に「あの映画何だっけ?」と聞いたことから始まるらしい。「不意打ち」が最初に放映され、前後にある町山智浩との解説対談のゲストに平山夢明が出てきたのにはそういう意味がある。この対談はWOWOWオンラインで見ることができる。なかなかの爆笑対談である。添野知生が「戦慄!昆虫パニック」について書いたTalkin'シネマニア!も読み応えがあった。
2011/12/10(土)「ウッドストックがやってくる!」
原題は「Taking Woodstock」。アン・リー監督。60年代のフラワー・ムーブメントの雰囲気をよく伝えていると思う。人の波が本当の波のように見えてくるシーンなどはドラッグの効果を表している。なぜ、アン・リーがこういう映画を撮ったのかと思ったら、主人公はゲイなのだった。といっても、アン・リー自身はゲイではないらしい。
2011/12/10(土)「ゲゲゲの女房」
高層ビルがあったり、高圧線の鉄塔があったりするのは時代背景としてどうかと思う。公式サイトの制作ノートによると、「昭和30年代を“忠実”と“再現”に重点を置くのではなく“再現”しつつも、映画の表現として今の風景の中で昭和30年代を演じることの意味を大切にしました」とある。これは言葉で説明するのではなく、映画の表現として描くべきところだろう。貧乏をテーマにした内容は悪くない。痩せて貧相な宮藤官九郎はこうした役柄にぴったりだ。吹石一恵も良かった。