2016/02/28(日)「俳優 亀岡拓次」
「ウルトラミラクルラブストーリー」以来7年ぶりの横浜聡子監督作品。と言うよりも、俳優・安田顕の主演作と言った方が一般的には通るだろう。横浜聡子は不幸なことに自主制作の「ジャーマン+雨」(2006年)で2007年の監督協会新人賞を受賞した。これは本人にとって重荷になったに違いない。次の「ウルトラミラクル…」はあまりにも普通の出来だったにもかかわらず、キネ旬は「天才候補」という代名詞を付けて紹介してしまった。「ウルトラミラクル…」を見た人は思っただろう。これのどこが「天才候補」なんだ?
それから7年、横浜聡子は普通のウェルメイドな作品を撮る監督として再登場したと言って良い、この映画を支えているのは澤井信一郎「Wの悲劇」のスター女優がそのまま年を重ねたような舞台女優を演じる三田佳子の在り方(容貌は年を重ねていても声はまったく変わっていない)であり、亀岡拓次とカウンターを挟んで差し向かいで飲む居酒屋「ムロタ」の女将・安曇(麻生久美子)の魅力である。
いや、もちろん安田顕のいつものおかしさもこの映画には至る所にあるのだけれど、それは監督の手腕とはあまり関係ないだろう。安田顕はどの監督の映画でもこういう演技をしたはずだ。
と、ここまで書いて不安になったので、まだ見ていなかった「ジャーマン+雨」を見た。うーん。主人公のキャラと設定が面白いだけで、素人の習作の域を少しも出ない作品だった。2006年の日本映画界はこれが新人監督賞を取るぐらい不作な年だったのだろうか? この程度の映画を「天才」だなんだと書いた映画関係者はすべて廃業していただいた方が日本映画のためだと思う。だいたい、「天才」なんて言葉が似合うのは十代までだろう(横浜聡子は当時、20代後半だった)。
「ジャーマン+雨」に比べれば、「俳優 亀岡拓次」は、はるかにプロの仕事だ。主人公の亀岡は脇役専門の役者。そのさまざまな映画と舞台の現場を描きながら、映画は亀岡の日常を描いている。主役を張れない役者の在り方はほとんどの観客(主観的にはその人の人生において主役であっても、客観的、社会的には主役ではあり得ない人たち)の共感を得ることができるだろう。戌井昭人の原作で亀岡拓次のモデルになったといわれる宇野祥平も良い味を出している。
「ジャーマン+雨」当時よりも、「俳優 亀岡拓次」現在の横浜聡子の進歩を素直に評価した方がいい。横浜聡子は過去ではなく、今を評価すべき監督なのだと思う。一部の人からのみ評価される天才よりも、より多くの人の支持を得る凡人の方が良い場合もあるのだ。
劇場でパンフレットを買ったら、キネ旬ムックだった。監督・出演者のインタビューのほか、完成台本も収録されていて普通のパンフよりも中身が濃いのはキネ旬が編集したためか。パンフにはこれぐらいの内容がいつも欲しい。amazonでも販売している。
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2016/02/27(土)「スパイダー・シティ」
多数の巨大なクモが突然出現するパニック映画。2012年のテレビムービーなのでやっぱりそれなりの出来。主演はなんとエドワード・ファーロングだった。「ターミネーター2」でジョン・コナーを演じた時には将来のスターかと思ったが、そんなにうまくは行かなかったらしい。
Wikipediaのファーロングの項目を見ると、薬物・アルコール依存症になったり、妻への接近禁止命令が出されたりとかさんざんだ。若くして必要以上に注目されると、良いことはないなと思う。フィルモグラフィーはほとんどB・C級映画とテレビ。それでも出演作が途切れていないのは幸いだ。
映画はツッコミどころ満載だが、テレビでボーッと眺めている分には腹は立たない。クモが出現した理由はそれなりに説明される。このクモ、地下のシェール層に巣を作っていたが、シェールガスの開発で巣を追われ、地上に出てきた。数センチから1メートル超までサイズはさまざま。シェールガスを体内に取り込んでいるので火を噴いたりする。最後には巨大な女王グモが出現する。クモはコロニーを作らないはずで、脚本家はクモをアリやハチと勘違いしているようだ。
原題は「Arachnoquake」。IMDbの採点は2.8とメタメタだ。監督は俳優としての作品が多いグリフ・ファースト。監督としての才能は感じられないから俳優に専念した方がいいと思う。
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2016/02/24(水)amazonマスターカード・クラシック
amazonでの買い物が多いので、ポイント還元率1.5%のamazonマスターカード・クラシックを即時審査サービスで20日に申し込んだ。申し込み受付メールが届いたのとほぼ同時(正確には8秒後)にテンポラリー・カードをアカウントに登録したとのメールが来た。本カードが発行されるまで、つなぎで使うカードだ。
審査結果のメールは22日に届いた。審査が通ったのでカードを発行するとのこと。申し込みから審査終了まで土日を挟んだのにわずか2日。これは速い。普通のカード会社なら審査だけで1週間は軽くかかると思うが、amazonはこうしたことでも処理が速いのだった。といっても、カードの審査と発行は三井住友カードなんですがね。
審査がこんなに速いなら、テンポラリーカードは要らなかった。審査中やカード配送中でも他のカードは使わせないということか。ビジネスチャンスは絶対逃さないという意識が徹底している。見上げたものだと思う。
これでクレジットカードはデビットカード(キャッシュカード兼用)を含めて9枚。いくらなんでも多すぎるのでポイント還元率が最も低いSBIカードはポイントのキャッシュバックを済ませたら解約することにした。
「おそ松市 in MIYAZAKI」
カードと言えば、エポスカード関連のイベントで「おそ松市 in MIYAZAKI」が3月17日から宮崎市のボンベルタ橘で開かれるそうだ。リアルサウンド映画部の記事「『おそ松さん』ブームはさらに加速する? 雑誌やグッズが軒並み好調のワケ」で知った。
イベント内容を見ると、「おそ松さん」関連のグッズ販売と街歩き謎解きイベント、抽選会などで、あまり大したことはない。「市(いち)」なのでグッズ販売が中心になるのだろう(タイトル見た時には宮崎市=おそまつな市、の意味かと思った)。人気絶頂の「おそ松さん」でどれぐらい集客できるか気になるところだ。県外からの参加を見込んで特典付きの宿泊パックまで用意しているところがすごい。
2016/02/22(月)「シン・シティ 復讐の女神」
9年ぶりの続編。悪がはびこるシン・シティで4つのエピソードがモノクロと効果的なパートカラーで描かれる。前作はレイモンド・チャンドラー「さらば愛しき女よ」を連想させるエピソードがメインだったが、今回はミッキー・スピレイン「裁くのは俺だ」を思わせる話がメイン。原題のサブタイトルにもなっている「A Dame to Kill For」のエピソードがそれで、ガンマンのドワイト・マッカーシーが悪女のエヴァ・ロード(エヴァ・グリーン)に翻弄される。
ドワイト役は前作のクライブ・オーウェンからジョシュ・ブローリンに代わった。オーウェンの甘いマスクに比べてブローリンはいかついので、マーヴ(ミッキー・ローク)と並ぶと、どちらも同じタイプ見えるのが難か。殺し屋のミホ役もデヴォン青木からジェイミー・チャンに代わった。これはそんなに違和感はない。
悪女を演じるエヴァ・グリーンは絶品で、アンジェリーナ・ジョリーやレイチェル・ワイズも候補に挙がったそうだが、グリーンで正解だった。色仕掛けで男を翻弄する役柄にピッタリのセクシーさを備えている。
邦題の「復讐の女神」はグリーンではなく、ナンシー・キャラハン(ジェシカ・アルバ)。シティの大物ロアーク(パワーズ・ブース)への復讐を図る。アルバは9年前とイメージが変わらず、相変わらず美人だが、3作目も9年後になると厳しいだろう。
僕は好みの世界なので面白く見たが、一般的には圧倒的に好評だった1作目よりも評価が落ちたので3作目ができるかどうかは微妙かもしれない。監督は1作目と同じくフランク・ミラーとロバート・ロドリゲスの共同。
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2016/02/20(土)「ウェイワード・パインズ 出口のない街」第1話
FOXテレビで始まったサスペンスドラマ。「M・ナイト・シャマラン初のドラマシリーズ」というコピーよりも、ブレイク・クラウチ原作(「パインズ 美しい地獄」「ウェイワード 背反者たち」「ラスト・タウン 神の怒り」)のドラマ化ということで興味を持って第1話「偽りの理想郷」を見た。原作は薄味の大作というB級風味あふれる作りで、簡単な感想は以前書いた。3部作のエピローグのラスト1行はほとんどジョークとしか思えない。高く評価はできないが、スラスラ読めるので暇つぶしにはなるというぐらいの小説である。
ドラマはマット・ディロン主演、ジェイソン・パトリック、ジュリエット・ルイス、カーラ・グギノ、メリッサ・レオら共演で、かつての映画スターが顔を揃えている。
シークレット・サービスの捜査官イーサン・バーク(マット・ディロン)は森の中で目覚める。体は傷だらけ。ウェイワード・パインズという町までたどり着いたイーサンはそこで倒れ、病院に収容される。看護師によると、イーサンは交通事故に遭ったのだという。家にもシークレット・サービスにも連絡がつかない。病院を抜け出したイーサンは酒場でビバリー(ジュリエット・ルイス)に出会い、住所を書いたメモを渡される。その家を訪ねると、同僚の腐敗死体があった。
イーサンはラストで町の周囲に高い壁があるのを知る。町からはどうしても出られないらしい。原作を読んでいると、展開がまだるっこしいが、演出は悪くないと思う。とりあえず、怪物が出てくるまでは見ようかと思う。いつごろ出てくるんだろう。IMDbの評価は8.3。ちなみに第1話は無料視聴できる。既にDVDも発売済みだ。
それにしても、この出演者は10年以上前なら凄い豪華キャストだっただろう。映画でお呼びがかからなくなると、テレビに出るようになるのはどこでも同じだ。とはいっても、テレビから映画に進出するケースも多く、「ウォーキング・デッド」のローレン・コーハンは「The Boy」という新作で主演している(B級ホラーらしい)。コーハンは「バットマン VS スーパーマン ジャスティスの誕生」ではスーパーマンの母親役を演じる(違った。バットマンことブルース・ウェインの母親役だった)。そこそこ美人でスタイル抜群なので映画でも十分通用するのだろう。
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