2016/04/27(水)「レヴェナント 蘇えりし者」

「レヴェナント」パンフレット

 19世紀のアメリカ西部を舞台にした復讐劇。と言うよりは熊に襲われて瀕死の重傷を負い、厳寒の荒野に置き去りにされた主人公の過酷な自然の中でのサバイバル劇がメインになる。リチャード・ハリス主演、リチャード・C・サラフィアン監督の「荒野に生きる」(1971年)を彷彿させる内容だと思ったら、同じ実話を基にしていた。つまりリメイクだが、元の映画がそれほど知られていないためか、リメイクをアピールしてはいない。原案としてクレジットされているのは2002年に出版されたマイケル・パンクの小説(レヴェナント 蘇えりし者 =ハヤカワ文庫NV)なので製作者にリメイクの意識もなかったのだろう。同じ話とはいっても冒頭の先住民襲撃の場面から映像の迫力がただ事ではなく、「荒野に生きる」をはるかに凌駕した出来栄えである。

 1823年、毛皮ハンターの一団のガイド役として主人公のヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)は息子のホーク(フォレスト・グッドラック)とともにミズーリ川沿いの荒野にいた。そこにさらわれた娘を捜す先住民のアリカラ族が襲撃してくる。飛び交う矢と銃撃で多くの男たちが倒れるが、グラスたち10人ほどが船で辛くも川に逃れる。このまま川を下るのは危険と判断したグラスの提案で一団は山沿いの道を選択。しかし、見張りに出たグラスは巨大な熊に襲われる。喉を食い破られ、体中に深い傷を負ったグラスの命が長くないとして隊長のヘンリー(ドーナル・グリーソン)はグラスの死を見届け、埋葬するよう命じた。ホークと友人のブリジャー(ウィル・ポールター)、金目当てのジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)がそれに応じ、荒野に残った。グラスの生命力は予想以上で、業を煮やしたフィッツジェラルドはグラスを殺そうとする。それを止めたホークをフィッツジェラルドはグラスの目の前で刺し殺し、グラスを穴の中に埋めてブリジャーとともに逃げ出す。

 グラスは穴から這い出し、フィッツジェラルドへの復讐を誓う。生きるためにヘラジカの骨をすすり、草の根をかじり、生魚にかぶりつく。傷を消毒するために銃の火薬で喉を焼く。強い復讐心が生きる原動力になったのは想像に難くない。

 残虐なシーンは多いが、映画は格調高い。それを支えるのがエマニュエル・ルベツキの撮影で、雄大な自然と人間の格闘をリアルなタッチで切り取っている。3年連続のアカデミー撮影賞受賞も当然と思える素晴らしさだ。坂本龍一もシーンに的確で印象的なスコアを提供し、格調を高めている。坂本龍一にはもっと映画音楽を担当してほしい。

 巨大な熊の凶暴さはそこら辺のホラーを蹴散らす怖さ。CGであるにしても、この迫力は大したものだ。監督のアレハンドロ・G・イニャリトゥはほとんど息抜きのない緊張感あふれる映画に仕上げている。「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」に続く2年連続のアカデミー監督賞も納得できる。

 死地から帰還した男の復讐と言えば、冒険小説では定番の設定で、そういう話が好きな人には必見の映画と言える。

2016/04/19(火)熊本地震義援金

 熊本では今も震度5強の地震が続いている。家屋が倒壊して途方に暮れている高齢者を見ると、何かしなければという気になって、TポイントとPontaポイントでともに1000ポイントを寄付。特にPontaの方は使う機会がほとんどないのでこういう時に使った方がいい。寄付はPontaが社会貢献 平成28年熊本地震 災害支援、Tポイントでの寄付は【Yahoo!基金】熊本地震災害緊急支援募金からできる。

 あとは現金の寄付先をどこにするか。「ふるさとチョイス」では「【A-PADジャパン】熊本大地震・被災者緊急支援」がある。説明を読むと、これは主に行方不明者の捜索と被災者支援に使われるようだ。震度7を記録した益城町は役場庁舎が被害を受けて、通常業務ができなくなっているそうで、ホームページを見ても寄付に関する記述はない。それどころではないのだろう。大規模な土砂崩れがあった南阿蘇村への寄付は「ふるさとチョイス」からはできない。南阿蘇村のホームページを見ると、「さとふる」からはできるという。「平成28年熊本地震災害緊急支援募金」。ここにはYahoo!JAPAN IDでログインできると書いてあるが、ログインしても何も変化がない。うーん。

 行政を介するよりは被災者に直接届く義援金が一番ではないかと思う。となると、やはり日本赤十字社の平成28年熊本地震義援金がいい。現地の義援金配分委員会が被災者に義援金を届けるそうだ。銀行振込で寄付できるので、大和ネクスト銀行から1万円を振り込んだ。ただし、大和ネクスト、振込人の先頭に日赤指定の寄付番号が入力できない。寄付番号を書くと、エラーになって先に進まない。しょうがないので、寄付番号なしで振り込んだ。日赤の事務手続きの問題でしょうから、いいですよね。受領証来ないかもしれませんが、被災者に届けばいいです。

2016/04/16(土)熊本地震と「ログ山荘 火の鳥」

 仕事を終えて帰ったのが午前1時ごろ。風呂に入ったら、浴室の明かりがチカチカし始めた。「蛍光灯が切れるのか。交換しなくちゃ」と思っていたら、グラグラと長い揺れが来た(宮崎市は震度4だったそうだ)。緊急地震速報は浴室までは聞こえなかった。まあ、狭い場所の方がかえって安心かも。落ちてくるものもないし。だが閉じ込められる恐れはあるので引き戸は開けた。それからたびたび地震が続いた。眠るに眠れず、テレビを見続け、ベッドに入ったのは午前4時過ぎ。7時過ぎにまた揺れたので目が覚めた。

 睡眠時間3時間ほど。しかし、熊本の人はこんなものじゃない。地震の規模が違う。頻度も違う。けがはしなくても不安と恐怖で精神的に何度も何度も痛めつけられている。どうかどうか、早く収まって安心して眠れる日が来てほしいと思う。

 16日夜放送のNHKスペシャルでは建物倒壊の原因について、建物自体の構造のほかに液状化を指摘していた。川の近くに建っている家は危ない。川の近くでなくても、中には池を埋め立てて作った住宅地もあるので、住む場合には気をつけた方がいいのだろう。しかし、なかなかそれを知るのは難しい。住宅地の前の姿がどんなものだったのか、地元の人に聞くしかないだろう。

 住宅の構造はヘーベルハウスのようなプレハブ工法が安全だそうだ。立地と住宅工法の両方に万全を期すと価格は高くなるが、家を建てた後で地震保険を契約するより最初に大きな出費をしていた方が結果的にはいいのかもしれない。

「ログ山荘 火の鳥」

「ログ山荘 火の鳥」の土砂崩れ現場。NHKテレビより

 ニュースを見ていて唖然としたのは「ログ山荘 火の鳥」が大規模な土砂崩れで跡形もないと報じられたこと。2年前に家族で泊まったところだ(写真上は2014年8月23日撮影。下は2016年4月17日のNHKニュースより)。

 南阿蘇の温泉付きペンション。各棟に露天風呂が付いていた。料理に力を入れているそうで、とてもおいしいフランス料理を出していただいた。家族経営の好ましい宿で、また泊まりたいと思っていた。

 ニュースによると、宿泊客2人が不明という。巻き込まれたのだとしたら、ひどすぎる。切に無事を祈りたい。

2016/04/16(土)「キネマ旬報ベスト・テン個人賞60年史1955-2014」

 キネマ旬報社から2冊のムックが送られてきた。「表紙でふりかえるキネマ旬報」と「キネマ旬報ベスト・テン個人賞60年史1955-2014」。忘れていたが、去年の10月に「映画雑誌『キネマ旬報』に関するアンケート」に答えたのだった。そのプレゼントに当たったとのこと。当選者は30人。

 ありがたかったのは「個人賞60年史」(2015年3月7日発行)。僕は60年のうち、36年分のキネ旬決算号は持っているし、「キネマ旬報ベスト・テン全史」なども持っているが、一冊にまとめてあると、やはり便利だ。映画評論家の佐藤忠男さんが「キネマ旬報ベスト・テン その歴史に思う」という文章を寄せている。これはキネ旬ベストテンの意味と立ち位置を的確に指摘したもので、戦後の変遷の中でどんな風にベストテンが選ばれてきたのかがよく分かる。

 中身をパラパラめくってみると、三田佳子が「Wの悲劇」で助演女優賞を受賞していたり、松坂慶子が「蒲田行進曲」で主演女優賞を受賞しているのを見て懐かしかった。

 1971年度に「緋牡丹博徒 お命頂きます」と「女渡世人 おたの申します」で女優賞を受賞した藤純子の授賞式でのスピーチがとても良いので授賞式レポート(伊藤勝男)から引用しておく。藤純子はこの時、結婚のため引退を表明していた。

「女優賞本当にありがとうございます。やくざ映画で育った私が、ある時はたかがやくざ女優といわれた私が、このような栄えある賞を頂けるとは夢にも思っていませんでした。私はやくざ映画に育った事を誇りに思っています。(ここで大きな拍手が湧く)やくざ映画を観て下さる大勢のファンの皆様の支援が私の支えとなって、一生懸命頑張ってこられました。本当に未熟な私をこれまで皆様が御支援下さいました事は、一生忘れません。ありがとうございました。この栄えある賞を誇りに新しい人生を歩いて行きます」と語り終えた時の場内の大歓声は、かつてない物凄いものであった。この時の彼女の言葉は、活字では表現する事が不可能なものであり、語る方とその言葉を受け取る立場の者との間に流れる熱い交流があり、これぞ花田秀次郎との別れのシーンを彷彿させるに充分な感動的なシーンであったのだ。

 「表紙でふりかえるキネマ旬報」の方は創刊95周年記念として2014年11月に発行されたもの。キネ旬は1919年に創刊した後、1950年に休刊。同年10月に復刊して現在に至っている。ムックには創刊号のほか、1950年10月下旬号以降の表紙の全データを収録してある。最初のころは海外の女優の写真ばかりだ。雑誌の売れ行きというのは表紙に左右される要素も大きいそうなので、それを意識したのかもしれない。

 キネ旬読者以外には意味が薄いかもしれないが、僕は楽しく見た。表紙は和田誠さんが描いている。

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表紙でふりかえるキネマ旬報 (キネマ旬報ムック)

2016/04/06(水)「金がないなら頭を使え 頭がないなら手を動かせ」

 サブタイトルは「永江一石のITマーケティング日記2013-2015ビジネス編」。IT関連のコンサルタント永江一石さんのブログ「More Access! More Fun!」の2013-2015年分をまとめた電子書籍(Kindle)。通常378円だが、99円のセールの時に買った。ブログ読めば無料じゃないかと言う人もいるでしょうが、電子書籍としてまとまっているとやはり読みやすい。ページめくりで読めるのはクリックとは大違いの便利さですよ。後記とイラストも追加してある。

 内容はタイトル通り、楽して儲けることはできないという真っ当なことが書いてある。著者は日曜日以外の毎日2時間かけてブログを書いていて、今や月間100万ページビューだそうだ。僕もよく読ませてもらっている。それぐらいの時間をかけ、中身のあるコンテンツを増やしてないと、アフィリエイトで成果を挙げるのは無理なのだ。

 だからハウツーものとして読んでもよいが、実践するのは簡単ではない。初心者は文章の書き方から勉強しなくちゃいけない。量も質もないのにGoogle AdSenseやamazonのリンク貼ってもダメなんです。

 そこら辺の新書より内容があり、99円なら即買うべき本。378円でも新書の半分ぐらいの価格だから高くはない。

【amazon】金がないなら頭を使え 頭がないなら手を動かせ: 永江一石のITマーケティング日記2013-2015 ビジネス編