2015/07/30(木)Windows10へアップグレード

 通知が来るまで気長に待とうと思っていたら、Windows 10ダウンロードサイトが公開されたのでSurface Pro2をアップグレードしてみることにした。マイクロソフト謹製なのでまさか失敗はないでしょう。ダウンロードファイルは3GBほどとのこと。ダウンロードしてインストール終了まで1時間ぐらいか。インストールが始まってライセンス条項にOKボタンを押した後、30分ほど犬の散歩に行ったので正確な時間は分からない。

 起動してみると、Windows8.1からほとんど変わらない印象。ブラウザはIEからEdgeに変わったが、元々デスクトップモードで使っていたし、壁紙はBingデスクトップにしていたため外観に大きな変化がないのだ。スタートボタンの復活は喜ばしい。

 Google ChromeやFirefox、秀丸などよく使うソフトは普通に動作する。インストール前の互換性チェックで問題は検出されていなかったので当たり前の結果。OneDriveは再設定が必要だった。Windows 10にPINでサインインする - なぜパスワードは時代遅れなのか?を読んでなるほどと思い、PINの設定をした。4桁の数字を入力するだけでサインインというのはけっこう楽だ。

 何のトラブルもなく、アップグレードできた。Surface Pro2を使ってる人は安心してどうぞ。Windows 7のデスクトップの方は通知が来るまで待ってみよう。いつごろになるんだろう。

2015/07/26(日)「バケモノの子」

 序盤はそこそこの出来かと思いながら眺めていたら、テーマが浮かび上がる中盤から画面の情報量とスピード感が格段にアップし、スペクタクルなクライマックスまで充実しまくっていた。予想のずっと上を行く展開である。

 これは子どもの成長の物語であるとともに親の成長の物語でもあり、父と息子の絆を描いた映画であり、心に闇を持つことの危険を描いた映画であり、学ぶこと(向上する意思を持つこと)の重要さを伝える映画でもある。

 こうしたいくつものことを描きながら、物語は少しも破綻することなく、見事に着地していく。序盤の何気ないセリフを結末に結びつけてくる真っ当な描き方に感心した。テーマに絡んださまざまなエピソードを入れたことが映画の厚みにつながっている。脚本の底に流れる考え方と物語を作る技術が高いレベルでまとまり、現代の世相までをも取り入れた極めて正攻法の傑作だ。言うまでもなく細田守監督のベスト。

 例えば、こんなエピソードに心惹かれる。9歳でバケモノ界に迷い込んだ九太=蓮(染谷将太)は学校に行かなかったため漢字が読めない。18歳で人間界に戻る道を見つけ、図書館で「白鯨」を読みながら、分からない漢字をそばにいた楓(広瀬すず)に聞く。不良に絡まれた楓を助けたことから、九太は楓の指導で勉強を続け、大学進学を志すようになる。乾いた砂に水が染み込むように九太は勉強に打ち込む。高等学校卒業程度認定試験(高認=かつての大検)の手続きに行った役所で担当者から「学校行ってないんだろ、無理無理」と追い返されるが、それを見ていた女性職員は九太に書類を届ける。

 と、これだけでも1本の映画になる題材だ。世の中には分かっている人と分かってない人、向上心のある人とない人、人を助ける人と貶める人がいるのだ。そして映画は前向きな人の背中を押すような話、闇に流されそうな人の心に剣を持とうと訴える話に仕上がっている。

 ただし、作りはそんなに単純ではない。バケモノ界で九太の親代わりになる熊徹(役所広司)は粗暴でがらっぱちな性格。料理は卵かけご飯だし、掃除をしないので家の中は散らかり放題になっている。熊徹と宗師の座を争う猪王山は熊徹とは対照的に人望があり、武術にも長けている。猪王山の息子・一郎彦も子ども時代は正義感あふれる性格だったが、思春期に至って心に闇を抱えるようになる(なぜそうなったかはクライマックスで明かされる)。

 ダメな親から育った子どもがダメになるわけではないし、立派な親から育った子どもが立派な大人になるわけでもない。ダメと思っていた親が実は子どもに深い愛情を持っていたりする。そしてダメな親は子どもに助けられてダメではないところを見せる。劇場には親子連れが多数来ていたが、これは子どもよりも親の心に強く響く映画ではないか。

 宮崎あおいやリリー・フランキー、大泉洋など豪華な声優陣はやはり役所広司の熊徹がうまい。音楽は「おおかみこどもの雨と雪」に続いて高木正勝が担当。メロディアスなものから雄々しいスコアまでとても良かった。

2015/07/25(土)「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」

 「キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー」のラストに登場した双子の姉弟(エリザベス・オルセン、アーロン・テイラー・ジョンソン)が出てきてアベンジャーズに敵対する。この姉弟(スカーレット・ウィッチとクイックシルバー)はトニー・スタークの会社が作ったミサイルで家族を殺され、スタークに恨みを持っている。高速移動と精神を操る能力を持つ2人が加わると、「X-メン」になんだか似てくるなあと思ったら、その通り、X-メンのメンバーなのだった。この映画ではヒドラによって改造された超能力者だが、X-メンではミュータント。今回の敵ウルトロンがロボットというのも「フューチャー&パスト」のセンチネルに似ている。ただ、どうもロボットが敵だと個人的には盛り上がらない。どうしてもドラマに乏しくなるのだ。

 もっとドラマが欲しいと思う。ブラックウィドウことナターシャ・ロマノフ(スカーレット・ヨハンソン)とハルク(マーク・ラファロ)のロマンスはいいのだけれど、これを前面に押し出すわけにはいかない話なのがつらい。ハルクは今回も大暴れで、マーベルのヒーローの中では最強なんじゃないかと思えてくる。

2015/07/19(日)「ターミネーター 新起動/ジェニシス」

 カール・リース役のジェイ・コートニーに主役を張るだけの力量がない。サラ・コナー役のエミリア・クラークも魅力を発揮しているとは言いがたい。主演の2人に関して言えば、1984年の第1作、マイケル・ビーンとリンダ・ハミルトンに負けている。その上、発想は良かったものの、物語の展開が面白くない。筋を追うのが精いっぱいでエモーションにも欠ける。第1作どころか、2作目にも3作目にも4作目にも負けっ放しなのだ。つまりシリーズ最低の出来である。SF感覚に欠けた脚本(パトリック・ルシエ、レータ・カログリデス)と監督のアラン・テイラーの凡庸な手腕が原因なのだろう。シュワルツェネッガーを再起用してせっかく新起動したのに、このままシャットダウンする可能性が大きい。

 2029年、スカイネットの中枢を破壊したジョン・コナー率いる人類抵抗軍がその直前にターミネーターを1984年に送られたことを知り、サラを守るためカイルに後を追わせる。第1作の描写をなぞって、全裸のターミネーター(T-800)が84年のロサンゼルスに出現し、服を奪おうとしたところで、背後から「お前に着るものは必要ない」と声がして年齢を重ねたターミネーターが登場。新旧というか、老若のターミネーター同士の戦いとなる。面白かったのはここまでだった。いや、実を言えば、その前のシーン、スカイネット中枢の襲撃シーンが間延びしていて嫌な予感はしたのだった。

 カイルは転送装置の中で、ジョン・コナーが襲われるのを見る。どうやら過去に何かが起きて未来が書き換わったらしい。スカイネットが核兵器で30億人を抹殺したジャッジメント・デイは1997年のはずだったが、それが2017年に延びたようだ。サラ・コナーとカイルはスカイネットを阻止するため2017年に向かうことになる。

 時間テーマSFに多元宇宙の概念は付きものだが、処理を誤ると収拾が付かなくなる。第1作にも言えることだが、ターミネーターが84年のロスでサラ・コナー殺害に成功していたら、現在は瞬時に書き換わり、カイルが後を追う展開にはならない。第1作でこれが気にならなかったのはそういう細部に気づく前に描写がとことんうまかったからだ。傷だらけになりながら、ひたすらサラを守るカイル。必死の逃走を続ける2人がうらぶれたモーテルで体を合わせる場面でカイルは「会うずっと前から好きだった」と打ち明ける。ロボット軍団に殲滅させられそうな絶望的な未来社会で、古ぼけた写真に映ったサラの姿はカイルにとって唯一の希望だったのだ。それが今回はT-800から「早く合体しろ」と言われる始末。ロマンティシズムも何もあったものじゃない。

 予告編でイ・ビョンホン演じるT-1000は「T2」のロバート・パトリックと同様の雰囲気を見せて悪くなかったが、本編で出てくるのは84年の場面だけ。2017年に出てくるT-3000は型番は上がってもT-1000よりパワーアップしているとは思えなかった。

2015/07/12(日)NHK「老後危機」で気になったこと

 11日放送のNHKスペシャル「老後危機」の中で気になることがあった。毎月1万円を30年間積み立てて得る運用益は毎月3000円余り節約するのと同じという計算だ。ゲストのFPは運用利回りを2パーセントとして計算していた。エクセルのFV関数で計算してみると、30年後の受け取り額は492万7254円で運用益は132万7254円となる。運用益を360カ月で割ると、確かに1カ月当たり3687円節約すれば、運用しなくても同じことになる。

 これ、早とちりしやすいのは、それなら積み立てしなくても節約するだけでいいじゃないかと思ってしまうこと。あくまで毎月1万円の積み立てを利回りゼロパーセントで30年間積み上げた結果との比較であることに注意。今の普通預金はほぼゼロ金利(0.02%)なので、30年間積み立てても利子は1万791円にしかならない(0.025パーセントの定期預金でも1万3496円だ)。番組の結論は銀行預金での積み立てと節約を組み合わせれば、株式投資信託などリスクを取った運用はしなくても同じ、と受け取っても良いだろう。

 気になったのは利回り2パーセントが少し低すぎないかということだ。例えば、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は運用の目標利回りを3.2パーセント( 基本ポートフォリオの考え方)としている。この利回りで毎月1万円積み立てを計算すると、30年後の総額は603万1356円で、運用益は243万1356円となる。これを毎月の節約で達成しようとすると、6754円となる。ただし、株式の割合を高めた昨年度のGPIFの運用益は過去最高の15兆2922億円となり、利回りは12.27パーセントに及んだのだ。もちろん、これが毎年続くわけではないし、赤字の年もあるだろう。だから、こうした積み立ての期待利回りは5パーセント程度にするのが普通だ。

 利回り5パーセントで計算すると、30年後の総額は832万2586円、運用益は472万2586円となり、積み立て分の360万円を大きく超える。この収益を節約で達成しようとすると、毎月1万3118円の節約が必要になる。積み立てを2万円に増やせば、収益も2倍になり、総額は1664万5173円となる。これならば、ボーナス月の加算などによって、よく言われる老後の必要資金3000万円も達成できそうだ。利回りが高くなれば、節約では追いつかなくなる。

 運用利回り2パーセントの根拠が番組の中では示されず、おまけに「バブルで失敗したから投資はこりごり」なんていう意見まで出て、どうも節約の結論ありきだったような印象を受けた。NHKが投資を奨励するわけにはいかないのだろうが、運用の実際は正しく伝えないと、高齢者は銀行預金にため込んだお金を投資で社会に循環させようとはしないだろう。NHKには「じぶん年金」の作り方を教えるような投資教育番組も作ってほしいものだ。