2006/06/17(土)「昭和のまぼろし 本音を申せば」
週刊文春に連載されている小林信彦のエッセイをまとめた8冊目の本。自宅に帰ったら、届いていたので読む。疲れていたので読み始めてしばらく寝てしまい、起きてまた読み、実家に行って酒を飲んだ後も読み、帰ってまた読んで読み終えた。小説はなかなか読み終わらないのにこういうエッセイはすらすら読める。というか、小林信彦の本は好きなので、読めるのだ。
毎回感じることだが、論旨のはっきりしている文章を読むとほっとする。この本の中にも「今のような異常な時代になると、<意見がブレない>ことが何よりも大切だと思う。田中知事には日常の別の戦いがあり、麻木久仁子は家庭・子供を守るという立脚点がある。二人とも、外からの強風によって<ブレない>信用があるのだ」(105ページ)とある。
小泉首相批判は以前から徹底していて、「小泉なにがしという小派閥の手代がヒトラーまがいの暴政で国民を苦しめる」(109ページ)という表現がある。今の日本が完璧に戦前の雰囲気になったのは間違いないようだ。小泉首相もあと少しの任期だが、その後が問題。今より良くなるか悪くなるか。一番人気の人ではたぶん悪くなる方に行きそうな気がする。
映画に関しては「ビヨンドtheシー」「ミリオンダラー・ベイビー」「スター・ウォーズ シスの復讐」「奥様は魔女」「タッチ」などに触れてある。「タッチ」の長澤まさみについて、はっきりスター性があると書いている。スターというのはあくまでも主役を張れる俳優のことで、演技はうまくてもどこまでいっても脇役でしかない俳優がほとんどなのだ。