2008/02/21(木)「ナイト・ウォッチ」

 原作は「ロシアの作家セルゲイ・ルキヤネンコによって書かれたファンタジー小説」。それをティムール・ベクマンベトフ監督が2004年に映画化して、日本では2006年に公開された。

 光の勢力と闇の勢力が1000年前に休戦協定を結び、お互いに相手を監視している現代が舞台。光の勢力側の監視役をナイト・ウォッチという。「マトリックス」を思わせるようなビジュアルは合格点だが、お話にあまりピンと来ない。スケールが大きいようで小さく、SF的なアイデアの発展もない。主人公はナイト・ウォッチの見習いみたいな役で、もう少し強い方がいいと思う。

2008/02/17(日)「アメリカン・ギャングスター」

「アメリカン・ギャングスター」パンフレット

 「知らないのか。ニュージャージーの警官は狂ってる。悪党を逮捕するんだ」

 あるいは、

 「それなら列に並べ。俺を殺したいと思っているやつは大勢いる」

 というセリフにうれしくなってしまう。ニュージャージーの刑事リッチー・ロバーツ(ラッセル・クロウ)はこうしたワイズ・クラックを吐きながら、ニューヨークのハーレムを牛耳る麻薬組織のボス、フランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)を追い詰めていく。前者はニューヨークの悪徳警官に対して、後者はルーカスに対して吐くセリフ。こういう気の利いたセリフがハリウッド映画には必要なのである。

 リドリー・スコットの映画としてはもう「ブレードランナー」に肩を並べる大傑作。と、ルーカス逮捕の場面までは思ったが、その後の展開が個人的には少し邪魔に感じた。実話を基にした映画なので仕方がないのだが、軟弱な私生活の底に強い正義感を持つ刑事がああいうことになってしまってはちょっと幻滅なのである。まあ、2時間37分の映画なので、終盤の10分ぐらいには目をつぶってもかまわない。それであっても傑作であることに変わりはない。これは70年代の刑事アクション、特に「フレンチ・コネクション」をイヤでも思い出させる映画であり、そういうジャンルの好きな映画ファンにはたまらない作品である。

 例えば、飛行機を徹底的に捜索する場面は「フレンチ・コネクション」でジーン・ハックマンとロイ・シャイダーが押収した自動車を徹底的に分解するシーンと呼応するし、麻薬王の不敵な在り方などもまたシャルニエ(フェルナンド・レイ)を思い起こさせる。クロウが教会から出てくるワシントンを待つ場面も「フレンチ・コネクション」にそっくりの場面があった。ついでに言えば、100万ドルを拾っても署に届けてしまうクロウの正義感は「セルピコ」を思い出さずにはいられない。映画の時代背景が1960年代末から70年代中盤なのもよく、ベトナム戦争の激化と終結がドラマの中で重要な役割を果たしている。

 刑事とギャングの歩みを交互に描き、マジソン・スクウェア・ガーデンでのモハメド・アリの試合で交錯させ、後半の追い詰める展開に至る。スティーブン・ザイリアンの脚本は多数の登場人物に明確なキャラクターを与えた見事な出来である。それをスコットが的確な演出でくっきりと描き分け、緊密な映画に仕上がっている。いつものスコット映画ならば、ストーリーよりも映像の方が印象に残るのだけれど、これは物語の面白さで見せきられた感じ。悪を追い詰める刑事のドラマティックな高揚感が特に後半にはあふれている。まるで「ゴッドファーザー」のように家庭的なギャングのワシントンよりも、腐敗しきった警察の中で信念を貫くクロウのキャラクターに僕はしびれた。クロウにとっては出世作となった「L.A.コンフィデンシャル」以来の好演だと思う。

 「アメリカン・ギャングスター」というタイトルではあっても、刑事ドラマと見ても一向に構わないし、マーティン・スコセッシが描くギャング映画とは本質的に異なる映画なのである。リドリー・スコットは70歳だが、まだまだ製作意欲は旺盛なようで、次の作品も楽しみに待ちたい。

2008/02/11(月)「チーム・バチスタの栄光」

 海堂尊の原作を「アヒルと鴨のコインロッカー」の中村義洋監督が映画化。といっても僕は「アヒル…」を見ていない。話はきちんとまとまっているが、それだけに終わっていて、何とも映画らしいところがない映画である。撮影なり、編集なり、キャラクターの描き込みに映画ならではの部分が欲しくなる。下手すると、テレビの2時間ドラマでもいいような感じの作品にしかなっていないのだ。中村義洋監督はもう少し描写に心を砕いた方がいい。

 拡張心筋症の難しい手術(バチスタ手術)に何例も成功している大学病院の医療チームが3回続けて失敗し、患者を死なせてしまう。院長から調査を命じられた心療内科医師の田口公子(竹内結子)が聞き取り調査を始めるが、そこへ厚生労働省のキャリア白鳥圭輔(阿部寛)が乗り込んできて破天荒な捜査を始める。

 長男と家内は原作を読んでおり、「原作の方が面白かったね」という感想。そうだろうなあ。だいたい、映画ではなぜ竹内結子が調査を命じられるのかに(銀婚式記念で海外旅行に行く教授の替わりというのは)説得力を欠いている。竹内結子と阿部寛はともに頑張っていて、悪くはなかった。原作とはイメージが違うようだが、阿部寛はぴったりの役柄のように思える。

 バチスタ手術は弱った心臓の一部を切り取って縫い合わせることで心臓が縮みやすくなり、症状が改善するという仕組み。心臓移植の代替という位置づけらしい。いったん動きを止めた心臓がなぜ再び動き始めるのか映画だけでは良く分からなかった。

 映画の帰りにフォルクスワーゲン宮崎に寄って契約。ETC(ノンストップ自動料金収受システム)も付けてくれるそうだ。これは自分で付けようかと考えていたのでラッキー。損保ジャパンの任意保険も取り扱っていて、切り替えをやってくれるというので頼む。後は納車がいつになるか。注文してみないと分からないそうで、早くなる可能性もあるとのこと。

(mixi)

2008/02/09(土) インターネット・アーカイブ

mixiの日記にも書いたが、インターネット・アーカイブに映画のコレクションがあるのは知らなかった。映画1本がすべてアップロードしてある。これはジョージ・A・ロメロの傑作「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」。

これがダウンロードのトップになっている。こういう風にネットで、しかも無料で昔の映画を見られるのは凄いことだと思う。ついでに、この映画に影響を与えた「地球最後の男」。もちろん、これ「アイ・アム・レジェンド」の原作の最初の映画化だ。

現在、1158本の映画が見られる。もっともっと増やしてほしい。できれば、日本映画も。

2008/02/06(水) ロケーションフリーの雑音

 久しぶりにロケーションフリーを起動してみたら、なぜか雑音がするようになっていた。最初は正常だが、しばらくすると、プチプチ音がするようになり、だんだん大きくなって通常の音声が聞こえなくなる。他の音声(テレビなど)で雑音はしないので、何かソフトが競合しているらしい。

 最近、入れたソフトと言えば、DVDVideoSoft.comのソフト3つ。とりあえず3つともアンインストールしたら雑音は止まった。3つの中で怪しいのはYouTube Downloadだろう。ロケーションフリーは常に動画をダウンロードしているようなものだからソフトが干渉していたのかもしれない。にしても、起動していないのに干渉するとはね。