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2008年01月05日の記事

2008/01/05(土)「クローズZERO」

 「クローズ」はcloseかと思ったらcraws。それなら「クロウズ」じゃないかと思うが、高橋ヒロシの原作もこうなのだから仕方がない。「けんかえれじい」にヤクザ映画を絡めて「ストリート・オブ・ファイヤー」風味を振りかけた(かった)ような仕上がり。端的に言えば、集団抗争学園ドラマでけんかに次ぐけんかの映画である。それなりに面白いが、あまり感心するところもなく見終わる。ストーリーをもう少し凝ってほしかったところ。

 「カラスの学校」と言われる不良がいっぱいの鈴蘭高校が舞台。転校してきた滝谷源治(小栗旬)の目的は鈴蘭の頂上(てっぺん)を取ること。現在、頂上に最も近いと思われているのが芹沢多摩雄(山田孝之)率いる芹沢軍団で、源治は仲間を増やしてGPSという集団を形成する。源治の父親(岸谷五朗)は劉生会という暴力団の組長で、源治は鈴蘭の頂上を取ったら、親父の跡目をつぐことになっている。源治は鈴蘭OBのヤクザ片桐拳(やべきょうすけ)の力を借りながら、着々と勢力を伸ばす。しかし、片桐が所属する矢崎組は劉生会と対立していた。

 小栗旬も山田孝之も優男なので強く見えないのが難だが、それなりに健闘している。問題はどちらも善玉に見えることか。映画を支えているのはコメディリリーフ的な役割も果たすやべきょうすけで、このキャラクターがあるから映画の幅が広がった。黒木メイサは歌も歌うし、ルックス的にも悪くないが、ダイアン・レインのような魅力には欠ける。矢崎組組長役の遠藤憲一、刑事の塩見三省が渋い。このメンバーで続編を期待したいところ。

2008/01/05(土)「長江哀歌」

 2006年ベネチア映画祭の金獅子賞受賞作。三峡ダムの建設計画によって沈みゆく古都奉節を舞台に16年前に別れた妻子を捜す男と2年間音沙汰がない夫を捜す女の物語が描かれる。監督のジャ・ジャンクーはチェン・カイコー「黄色い大地」を見て映画を志したという。その影響は随所に見られ、ドラマティックさを排除したような淡々とした物語となっている。奇妙な形の建物がロケットのように飛び立ったり、壊れかけたビルにいる男女の遠景にビルが壊れるショットを入れるところなどは監督の映像的な遊び心か。

 現代中国の風俗は興味深く、携帯があんなに普及しているとは思わなかった。壊れゆくビルと人々の豊かとは言えない生活の光景が微妙な感情を引き起こす。三峡の美しい風景をとらえた点もこの映画の評価すべきところなのだろうが、風景を生かすならばもっときれいなフィルムにしてほしいところだ。

2008/01/05(土)「ツォツィ」

 2時間ぐらいあるのかと思ったら、1時間半で終わる。2006年アカデミー外国語映画賞受賞。南アフリカの不良少年が盗んだ車に赤ん坊がいたことから、決定的な変化を迎えることになる。きっちりとまとまった佳作。ただし、2007年の外国語映画賞「善き人のためのソナタ」には遠く及ばない。