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芥川賞を受賞した西村賢太の小説。暗い話なんだろうと思って、敬遠していたが、読んだらとても面白い。私小説なので、描かれることの大半は自分のことだろうが、相対化がうまいのである。日雇い人足として働く19歳の北町貫太を主人公にしたためか、青春小説の味わいがある。先行きの見えない閉塞感がありながら、どこか明るい。ぶざまな姿を描いているが、元々、青春は一部の人を除いてぶざまなものだと思う。男にはよく分かる世界だが、女性はこれを読んでどう思うのだろう。
ほとんど絶滅したかに思える私小説の作家。希少価値がある。