2011/05/02(月)「運命のボタン」

 リチャード・マシスンの原作を映画化。といっても、原作に基づいているのは最初の30分で、あとは映画のオリジナルである。そしてこの部分が三流SFといった感じにしかなっていない。この話なら1時間のドラマで十分じゃないかと思えてくる。結局、途中に描いてあることが消化不十分なまま終わっているのである。キャメロン・ディアス主演。監督は「ドニー・ダーコ」のリチャード・ケリー。

2011/05/02(月)「誰がため」

 2008年のデンマーク映画(チェコ、ドイツ合作)。ナチス・ドイツ占領下のデンマークで、 レジスタンスの闘士フラメンとシトロンは 上司のヴィンターから指令を受け、対独協力者を暗殺していた。だが次第に2人には自分たちの行動は誰のためになっているのか、との疑念が芽生え始める。

 実話の映画化には珍しく、陰謀と裏切りが渦巻くギャング映画のような作りになっている。それがとても魅力的だ。社会派というよりエンタテインメントの要素が大きい。原題はFlammen & Citronen(フラメンとシトロン)。フラメン役のトゥーレ・リントハートは初めて見る役者だが、クールな雰囲気が良い。シトロンを演じるのは「007 カジノ・ロワイヤル」などのマッツ・ミケルセン。監督はオーレ・クリスチャン・マセン。2008年度のデンマーク・アカデミー賞で5部門を受賞したそうだ。

2011/04/30(土)「カティンの森」

 第2次大戦中、ポーランド軍将校ら1万2000人が虐殺されたと言われるカティンの森事件をアンジェイ・ワイダ監督が映画化。ワイダ監督の父親も事件の犠牲者であるという。この映画を撮った時、ワイダ監督は80歳を超えていたが、硬質で緊張感あふれる画面構成は老いを感じさせない。機械的に淡々と行われるラストの処刑シーンには背筋が凍り付く。

 戦後、ソ連に支配されたポーランドで事件が封印されたことも怖い。ソ連は事件をドイツ軍の犯行として喧伝し、異を唱える者を迫害する。それでも自分に嘘をつくことを拒否する人々の姿が胸に迫る。ワイダ監督らしい人物像だ。ドイツ軍とソ連軍に支配され続けたポーランドの悲劇を描き、被支配者の怒りに満ちた傑作。

2011/04/30(土)「エリザベス:ゴールデン・エイジ」

 クライマックス、スペインの無敵艦隊との戦いが弱い。戦いの断片を描くだけで全体像が見えてこないのだ。監督のシェカール・カプールはスペクタクルな描写に興味がないのだろう。というか、撮れないのだろう。

 1998年の「エリザベス」から9年後に撮られた同じスタッフ、キャストによるエリザベス1世の物語。ケイト・ブランシェットは好きな女優なのだが、コスチュームプレイは似合わないと思う。「エリザベス」よりもその次の「バンディッツ」で僕はブランシェットの魅力が分かった。

2011/04/30(土)「Queen Victoria 至上の恋」

 1997年の作品。アルバート公が腸チフスのために42歳で死んで3年後のヴィクトリアと侍従のブラウンの秘めた恋を描く。というか、2人の恋心は公然の秘密となって、それが巻き起こす騒動を描いている。ヴィクトリアを演じるのはジュディ・デンチ。40代半ばの設定とはいえ、「ヴィクトリア女王 世紀の愛」のエミリー・ブラントとはあまりに落差がありすぎる。

 Wikipediaにある50歳のヴィクトリア女王の写真を見ると、容姿はジュディ・デンチの方が近かった。デンチはこの映画でアカデミー主演女優賞にノミネートされた。監督は「恋に落ちたシェイクスピア」のジョン・マッデン。評判は良い映画だが、やはり僕にはあまり興味が持てなかった。