2014/10/03(金)「犯罪心理捜査官セバスチャン」

 最後の一撃にやられた。これは予想していなかった。

 心臓をえぐり取られた被害者という設定はサイコスリラーの様相だが、実際には警察小説。スウェーデンの殺人捜査特別班の面々の捜査を描いていく。主人公のセバスチャン・ベリマンは自信過剰でセックス依存症の迷惑男。ユーモラスな半面、スマトラ島沖地震による津波で妻子をなくした過去にとらわれている。他のメンバーも個性豊かに描き分けられ、入り組んだ人間関係も読みどころだ。

 最後の一撃が効果的なのは終盤に立ち上がってくる家族のテーマと密接に絡んでいるから。これはうまい。訳者あとがきによれば、シリーズは現在、第4作まで続いているとのこと。続きが読みたくなる。