2002/03/20(水)「アメリカン・スウィートハート」

 ビリー・クリスタル脚本・製作のシチュエーション・コメディ。美人でスターの姉とは対照的なマネージャーの妹(ジュリア・ロバーツ)が、姉と別居中の夫(ジョン・キューザック)に恋をして、という話かと思ったら、新作映画のマスコミ試写をめぐる話がトップに来る。それを企画するのが宣伝マンのビリー・クリスタル。というわけで映画は2つの話を交差させつつというか、あまり噛み合わずに進行していく。素直にロマンティック・コメディに仕上げれば良かったのに、クリスタルが出しゃばりすぎ。製作を兼ねるなら、もう少し謙虚な姿勢が欲しいところだ。

 共演映画がヒットして実生活でも結婚し、アメリカの理想のカップルといわれるグウェン(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)とエディ(ジョン・キューザック)。しかし、グウェンの浮気を知ったエディは逆上して浮気の現場を襲い、2人は別居。共演しなくなってグウェンの人気にも陰りが見え始めた。そんな時、1年前に撮影した2人の共演映画が完成。しかし、伝説的な監督で変人のハル・ワイドマン(クリストファー・ウォーケン)はプロデューサーにも見せず、マスコミ試写で公開すると譲らない。本当に完成したのかどうかも分からない。やり手宣伝マンのリー(ビリー・クリスタル)はグウェンとエディを試写会に連れだし、話題作りで映画のヒットを狙う。というのが長い前ふり。ここからグウェンの妹でマネージャーのキキ(ジュリア・ロバーツ)の話が始まるのだが、どうも要領が良くない。

 クリスタルの下ネタを入れた脚本はあまり上等とは言えず、ジョー・ロスの演出もタイトさを欠く。ほとんどテレビドラマのレベルなのだが、ゼタ=ジョーンズとロバーツが出ているので眺めている分には退屈はしないといったところ。実際には2歳年上のロバーツが妹役というのはちょっと無理がある。だいたい役の上で33歳(実際には今年35歳)になって、けなげで純粋な役というのはどうか。ゼタ=ジョーンズは明らかにロバーツよりは美人だが、役柄の意地の悪さは現実を反映したものか。でも好きですけどね。ウォーケンはすごいメーキャップでパンフを見るまで分からなかった。