2010/12/04(土)「キャピタリズム マネーは踊る」
WOWOWで昨日放映したのを録画して見た。とても面白かった。昨年末に公開された日本ではあまり評価が高くなかったような気がするが、IMDBの採点は7.4と高い。マイケル・ムーアは1%の富裕層が90%の富を握るアメリカ資本主義の現状を痛烈に批判し、非富裕層に立ち上がれと呼びかけている。かといってムーアが社会主義を信奉しているわけではない。もっとシンプルに富の再分配の仕組みを求めているのだ。それはキリスト教の精神に基づくものなのだろう。
サブプライムローンによって銀行から家を取り上げられる人の場面で始まるこの映画、ブッシュ政権までのアメリカ社会のおかしさを懇切丁寧に怒りをこめて説明し、立ち上がった労働者たちのとても幸福で感動的なクライマックスを迎える。同時にユーモアが随所にあり、ウォール街の企業のビルの周りに「犯罪発生現場」の黄色いテープを張り巡らすシーンなどはムーアらしい。
ドキュメンタリーというよりは自分の主義主張を、事実をもって語らしめている映画。ドキュメンタリーは公平じゃないと、というトンチンカンな批判はこの映画にはまったく通用しない。原題は「Capitalism: A Love Story」。富裕層の資本主義への愛を表すと同時に、ムーアのアメリカへの愛の物語でもあるのだろう。アメリカを愛するからこそ、ムーアはアメリカに変わってほしいと願っている。