2001/07/28(土)「Planet of the Apes 猿の惑星」
33年ぶりの再創造(リ・イマジネーション)。リメイクではなく、こういう言葉を使っているのは旧作との違いを強調するためのようだ。猿に支配された惑星という構図は同じなので、違いはなぜ支配されたのか、その理由ということになる。いくらメイクアップの技術が進歩しようとも、展開するドラマが同じであるなら、結局のところ、観客の関心はここに向かうしかない。しかし、このアイデアはごくごく小さいものである。夏の大作として公開された映画を引っ張るには小さすぎるアイデアで、ラストを見ると、なんだか肩すかしを食ったような気分になる。大作には合わないオチなのである。
リ・イマジネーションといいながら、イマジネーションの展開のさせ方が決定的に足りない。旧作を少しアレンジしただけ。脚本はウィリアム・ブロイルス・Jr、ローレンス・コナー、マーク・ローゼンタールの3人。「アポロ13」「キャスト・アウェイ」のブロイルス・Jrにしても、「スーパーマン4 最強の敵」「マイティ・ジョー」のローゼンタールにしても、あまりSFが得意な方じゃないらしい。旧作はなんといってもロッド・サーリング(「ミステリー・ゾーン」)が絡んでいたのが良かったのだと思う(ただし、ラストのアイデアは当初監督に予定されていたブレイク・エドワーズのものという)。
贔屓のティム・バートンの作品なのであまり悪口は書きたくないが、この題材をバートン風に移し替えるには徹底的に世界を違うものにする必要があっただろう。それができていないのは残念だ。表面をさらっと描いて終わり。ダークな世界の構築に情熱を傾けるいつものバートンの映画じゃない。この企画にあまり乗り気ではなかったのではないか。
旧作が公開された時、僕は小学生だったので劇場では見ていない。しかし最初にテレビ放映された日はしっかり覚えている。1973年の12月24日、TBSの月曜ロードショーにおいてである。なぜ、こんなことを覚えているかというと、この日は僕が最初にコンサートに行った日であり、「猿の惑星」の開始時間を気にしながら帰宅した覚えがあるからだ。公開から5年たっていたけれど、それほど旧「猿の惑星」は話題作だったのだ。解説の荻昌弘は番組の中で同時進行で猿のメイクアップをしてみせた。