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このサイテーの映画がキネ旬ベストテン9位に入ったということに驚くほかない。
底の浅い脚本、問題を深化していかない脚本、取材不足が露呈する脚本(あるいは取材が消化できていない脚本)に大きな欠陥がある。原発近くに住む両親は自殺し、原発から遠く避難した息子夫婦は元気を取り戻す。この単純な展開に唖然とする。放射能に汚染された地域はさっさと捨てましょうね、他の地域にはまだ希望がありますよというメッセージにしか見えないのだ。
このストーリーのどこに希望があるのか。「一歩、一歩、一歩、一歩」と言いながら雪の中を歩く男女にかぶさって「希望の国」というタイトルが出るのを見て、小学生でも考えつきそうなアイデアをよく恥ずかしげもなく描けるなと思った。
昨年放映されたNHKの番組で福島の人たちを対象にしたこの映画の試写の様子が紹介されていた。見た人から「なぜあんなラストにしたんですか?」と質問が出たが、映画を見てその質問の理由が分かった。答えも分かった。監督がバカだからです。
何より腹立たしいのは映画が長島県という架空の県を舞台にしていることだ。長崎と広島を合わせた名前というのもふざけているが、なぜ福島県にできないのだろう。これでは現実と向き合う姿勢を放棄したとしか思えない。