2017/08/23(水)「哭声 コクソン」

 ナ・ホンジン監督(「チェイサー」「哀しき獣」)のホラー映画。最近のホラーの中ではオリジナリティーがあって面白いが、2時間36分は少し長い。長くなった理由は終盤にツイスト、というか観客を翻弄するストーリー上の仕掛けがあるためだ。これはなくても本筋になんら影響は与えないのだが、あった方が話に膨らみは出る。監督は混沌や混乱、疑惑に巻き込まれる人間たちを描くことも狙いとしていたそうなので、ここは必要だったのだろう。amazonビデオで鑑賞。

 哭声とは泣き叫ぶこと(英語タイトルはWailing)。舞台となる村も谷城(コクソン)という名前だ。全羅南道の北東部にある谷城郡はナ・ホンジン監督が幼児期に住んでいたところだそうだが、必ずしもそことは一致せず、名前を借りただけのようだ。

 この村で家族を皆殺しにする凄惨な殺人事件が連続して起きる。犯人はいずれも全身に湿疹があり、白目をむき、まともな精神状態ではなかった。村人の間では最近村にやってきた日本人の男(國村隼)と関係があるのではないかとのうわさが流れ始める。この男は山中で鹿の死肉を食らう姿が目撃されていた。事件を捜査する警察官のジョング(クァク・ドウォン)は男の家に娘のヒョンジン(キム・ファンヒ)の靴があるのを見つける。やがてヒョンジンには犯人たちと同じ湿疹が出てきた。さらに異常な行動をし始めたヒョンジンを救うため、ジョングは祈祷師のイルグァン(ファン・ジョンミン)に悪霊払いを依頼する。

 土着の悪霊からゾンビ、悪魔までさまざまな怪異の表現を取り入れているところが面白い。國村隼は正体不明な感じをうまく演じている上、ふんどし姿で山中を駆け回る怪演を見せ、韓国で男優助演賞を得た。起用した監督の期待に十分応えただろう。

2017/08/15(火)連続ドラマW「アキラとあきら」

 ミステリマガジン9月号によると、池井戸潤の小説「アキラとあきら」は2006年から2009年にかけて問題小説に連載された。単行本化されていなかったその小説をWOWOWの青木泰憲プロデューサーが読み、池井戸潤に「胸が何度も熱くなりました」と伝えたそうだ。そうした作り手の思いはドラマの内容に結実しており、だからこっちの胸だって毎回熱くなりっぱなしになるのだろう。

 原作を読んでいる家内に言わせると、ドラマの方が面白いという。連載原稿は原稿用紙1500枚。池井戸潤はドラマ化に合わせて出版するために気に入らない部分を700枚を削り、新たに500枚を書き足し、さらに300枚削って100枚足した。ドラマの方は連載原稿を基にして脚本化しているから(これは水谷俊之監督が「WOWOWぷらすと」で語っていた)、文庫本とドラマの内容が違ってくるのも当然なのだった。

 ドラマの内容はWOWOWの紹介を引用すると、「自らの意志で人生を選んできたエリートと、自らの能力で人生を切り開いてきた天才 2人の“宿命”を描くヒューマンドラマ」ということになる。バブル期前後を舞台にした物語。父親が零細企業を営む山崎瑛(斎藤工)と大企業・東海郵船社長の息子階堂彬(向井理)は共にメガバンクの産業中央銀行に入行する。山崎瑛が銀行員を目指したのは倒産しそうな父親の会社を助けた銀行員の姿を見ているからだ。階堂彬は大企業の社長を継ぐという敷かれたレールに乗ることを嫌って銀行に入った。金持ちと貧乏人の主人公という設定なら、普通は貧乏人の方を主人公にしてその対立者として金持ちを描くことになりがちだが、この物語は違う。2人のあきらはお互いの実力を認め合い、共に銀行員として理想的な姿を追い求める。

 それを象徴するのがこんなエピソードだ。山崎瑛が担当している中小企業が倒産しそうになる。この会社の社長の娘は心臓病を患い、アメリカで移植手術を受ける予定だった。倒産して銀行預金を差し押さえられたら、娘は手術を受けられなくなる。瑛は社長に預金を全額解約して他行に移すよう勧める。その結果、銀行に損害を与えたことから瑛は静岡支店に異動させられることになる。「山崎はこれで出世コースから外れた」と陰口をたたく行員がいる中、階堂は「早く帰ってこい。おれはお前と一緒に仕事がしたいんだ」と話す。

 2人のあきらの行動は正義と理想を意識したものではなく、人間として真っ当な在り方に基づく自然なものだ。「取引先のことを助けてやってくれ。それがお前の宿命だ」。瑛の父親(松重豊)はことあるごとにそう言う。ある銀行幹部はこう言う。「銀行は社会の縮図だ。金は人のために貸せ。生きた金を貸すのがバンカーだ」。銀行が金儲けのためだけに仕事をしていいはずがない。池井戸潤のそういう主張を最大限に物語にちりばめた脚本(前川洋一)と的確な演出(水谷俊之、鈴木浩介)、出演者たちの好演がドラマを充実したものにしている。羽岡佳の音楽を聞くたびに強く心を動かされる。必見のドラマだと思う。

2017/07/07(金)西脇市にふるさと納税

 兵庫県西脇市は「ふるさと納税」のお礼の品に日本酒「醸し人九平次」(萬乗醸造)を用意している。そのうち寄付しようと思って昨年、「ふるさとチョイス」のお気に入りに入れていたら、品切れになって寄付できなかった。本数制限があるのだ。今日、見たら復活していたので寄付した。5万円の寄付で以下の5本の「醸し人九平次」がもらえる。

「別誂」4768円(4245円)
「彼の地」3900円(3639円)
「human」3600円(2888円)
「黒田庄に生まれて、」2640円(2310円)
「山田錦」2095円(1940円)

 価格はamazonのもので、かっこ内は萬乗醸造のサイトに掲載の税抜き価格。税抜き価格を合計すると、15022円だから返礼率はほぼ3割。消費税込み価格にすると、返礼率は3割を約8%上回ることになる。購入するわけではないから消費税は不要だし、これぐらいなら、総務省もとやかく言わないでしょう。

 ふるさと納税の返礼品に地場産品を用いると、それだけ出荷が伸び、地場産業振興に極めて有効な制度になる。収入が増える自治体と自己負担2000円で返礼品がもらえる寄付者の双方にメリットがあると思うが、総務省はこれ以上増やしたくないらしい。今春、返礼率を3割にするよう自治体を指導したのは「華美な返礼品は制度の趣旨に沿わない」というのが表向きの理由。その本音はふるさと納税で総務省は大損、返礼品規制に必死な本当のワケとは? を読むとよく分かる。

 ふるさと納税で住民税の税収が減った自治体には減った分の75パーセントを国が地方交付税で補填する仕組みがあるのだそうだ。寄付が多い自治体の交付税が減るわけではないので、制度が普及しすぎると、国の支出が大きくなる。なるほど。損するのは国だけ、という構図なのだ。

 しかしですね、地場産業の振興ができれば、景気刺激策にも地域活性化策にもなるでしょう。メリット、デメリットはもっと長期的な視点で見た方が良いのではないかと思う。

2017/06/25(日)宅配ボックスを作成

 以前は僕だけだったが、最近は家族もネット通販を利用することが多い。自分の荷物は配達時間をコントロールできるが、家族の分は分からない。配達してもらった時に不在の場合もあるので宅配ボックスを作った。参考ページは「宅配ボックス」を自作してみた! ―超簡単な作り方と使い方― - 価格.comマガジン。ここを見て一式注文する人は多いようで、amazonではJEJ ルームパック 620 収納庫 ストッカー ブラウン 620(BR) の注文ページに必要なもの(セキュリティーワイヤー、南京錠、認め印)へのリンクがある。

宅配ボックス

 配送に時間がかかるのは認め印のシャチハタ キャップレス9(メールオーダー式) 。amazonから届いた後にシャチハタにネーム部分(はんこ部分)を注文しなくてはいけないので1週間から10日ほどは見ておいた方が良い。40mm 真鍮 南京錠も時間がかかるなあと思ったら、香港の業者だった。価格は260円と安いが、(安すぎて)品質に疑問があるのでホームセンターなどで買った方が良いかも。普通1000円以上はする。

 自作すると、印鑑を含めて3500円ぐらい。既製品は安いものなら、サンワダイレクト 宅配ボックス が5980円で買える。このボックスは折りたためて便利だが、少し小さい気もする。

 こうした宅配ボックス、アパートやマンションでは設置場所に困る。コンビニ受け取りにするしかないだろう。ニッセンの通販はセブンイレブン受け取りにすると、送料無料の注文金額が5000円以上から3000円以上に下がるメリットがある。

2017/05/31(水)5月に見た映画

 KINENOTEに記録したデータをエクスポートして加工してみた。以下の通り26本見たが、劇場では4本のみ。WOWOWで8本、amazonプライムビデオ6本、Netflix6本、DVD1本、Hulu1本。WOWOWとamazonとNetflixは月額料金の元を取っているが、Huluは1本だけでは加入している意味がない。Huluはテレビドラマをよく見る人向けで、新作映画に関してはamazonやNetflixに完璧に負けている。映画ファン向けではないと思う。

 というわけでHuluの契約を解除した。6月24日までは視聴できる(契約が残っている)そうだ。

「フィフス・ウェイブ」60点 WOWOW(5月2日)
「ディストラクション・ベイビーズ」75点 Amazonプライム・ビデオ(5月5日)
「エンド・オブ・ウォッチ」76点 NETFLIX(5月5日)
「エンド・オブ・キングダム」67点 Amazonプライム・ビデオ(5月7日)
「ペット」68点 Amazonプライム・ビデオ(5月9日)
「世界から猫が消えたなら」65点 WOWOW(5月13日)
「ムーンライト」75点 宮崎キネマ館(5月13日)
「TED2」72点 Amazonプライム・ビデオ(5月13日)
「マジカル・ガール」71点 WOWOW(5月13日)
「X-MEN: アポカリプス」72点 WOWOW(5月16日)
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス」80点 宮崎セントラルシネマ(5月16日)	
「ベン・ハー(1926)」71点 DVD(5月16日)
「ベン・ハー(2016)」67点 Amazonプライム・ビデオ(5月17日)
「ベン・ハー(1959)」80点 Amazonプライム・ビデオ(5月20日)
「死霊館 エンフィールド事件」73点 NETFLIX(5月20日)
「ターザン REBORN」66点 NETFLIX(5月22日)
「BLAME!」71点 NETFLIX(5月23日)
「夜明け告げるルーのうた」80点 宮崎セントラルシネマ(5月23日)
「籠の中の乙女」62点 NETFLIX(5月23日)
「恋はデジャ・ブ」78点 WOWOW(5月23日)
「四月物語」75点 Hulu(5月25日)
「ピンクとグレー」70点 WOWOW(5月27日)
「俺物語!!」75点 WOWOW(5月27日)
「ブルックリン」80点 WOWOW(5月30日)
「メッセージ」82点 宮崎セントラルシネマ(5月30日)
「複製された男」68点 NETFLIX(5月30日)