2015/06/07(日)「予告犯」
あまり芳しい評価は聞かなかったが、戸田恵梨香を目当てに見る。今や、戸田恵梨香、絶好調だ。「駆込み女と駆出し男」では鉄練りの仕事に打ち込み、顔に火ぶくれを作る女を演じて文句の付けようがなかった。「予告犯」は「SPEC」のように警視庁の女刑事役だが、サイバー犯罪対策課の班長というエリートな役柄だ。
映画は中村義洋監督なので手堅くまとめてはいるが、主人公の通称ゲイツ(生田斗真)の最後の選択に疑問が残る。たとえ「小さなことのためにであっても人は動く」のだとしても、そこまでやるか、と説得力に欠けるのだ。こういう展開であれば、主人公にはもっと重たい運命を背負わせたかったところだ。最後の申し合わせたような仲間の言動も、もっときちんと伏線を張った方が良かっただろう。
ただ、「東京難民」のような社会性を取り込みつつ、エンタテインメントを目指した意欲は買い。結末が原作通りなのかどうかは知らないが、途中まで良かっただけに残念な思いが残る。戸田恵梨香に関しては特筆するところはないものの、ファンの期待は裏切らない演技を見せる。中盤、逃走する生田斗真をどこまでも追いかけて走る場面など「フレンチ・コネクション2」のジーン・ハックマンを思い出した。