2015/06/11(木)「スティーヴン・キング ファミリー・シークレット」

 原作の「素晴らしき結婚生活」はBTK(緊縛・拷問・殺害)殺人鬼と言われる実在のシリアル・キラーをヒントにスティーブン・キングが書いた中編(「ビッグ・ドライバー」所収)。結婚25年目にして夫が殺人鬼であることを知る妻の話である。キング自身が脚本を書きながら、原作より劣る出来になるのはどういうわけだろう。この原作自体、傑作が多数あるキング作品の中では特に優れているとは言えないのだが、映画に比べれば面白い。

 終盤のシーンが原作と少し違う。原作と同じセリフに落ち着くのだけれど、余計と思えるエピソードを付け加えている。これは別になくても良かったのではないか。主人公は原作ではジョアン・アレンより若いイメージがある。シリアル・キラーを描いた割に描写はおとなしく、映画館で上映するには地味な作品に思える。ケーブルテレビ用の作品なのではないかと思って調べたら、アメリカでも限定公開後にDVDリリースされていた。劇場で本格的に公開するレベルには達していないというわけだ。