2001/06/13(水)「ギャラクシー・クエスト」

「Never Give Up! Never Surrender!」という(このセリフ、見た人には分かる)非公式サイトまでできている。さらにアメリカではSFファンが選ぶヒューゴー賞の映画部門で最優秀賞を受賞(2000年度)。この時の候補作品には「マトリックス」「マルコヴィッチの穴」「シックス・センス」「アイアン・ジャイアント」とレベルの高い作品ばかりがそろっていたのだから大したものである。

 テレビシリーズ「ギャラクシー・クエスト」の登場人物たちが、本物と間違われ、サーミアン星人に助けを求められる。サーミアンは邪悪な異星人サリスに苦しめられていた。宇宙基地に連れてこられたギャラクエの一行はとんでもないところへ来たと逃げだそうとするが、戦場のまっただ中で逃げるに逃げ出せない状況。仕方なく、サリスと戦うことになる。

 サーミアンは嘘という概念を知らず、テレビ番組をドキュメンタリーと信じていた、という設定がもうおかしい。英雄と間違われて主人公が戦う羽目になる話はけっこうある(SFオンラインは「サボテン・ブラザース」を挙げていたが、ほかにもありそう。「キャプテン・スーパーマーケット」もこれに入るかな)。この映画、架空のテレビシリーズを基に架空の物語を積み重ねた多重構造がSFそのものだ。「ギャラクエ」のモデルとなったのはもちろん「スター・トレック」だが、SF映画とそのファンダムをカリカチュアライズしているようで実は理解を示す展開になっており、そこがファンの支持を集めた理由でもあるのだろう。

 しかもスタン・ウィンストンが手がけたクリーチャーなどSFXが半端じゃないのである。パスティーシュながら、本気でSFとして映画化している点が非常に好ましい。ラスト、ファンダムの会場に宇宙船が突っ込むシーンは夢が現実化した瞬間とも言える。

 主人公の艦長を演じるのはティム・アレン。紅一点のシガニー・ウィーバーはホントはもっと若い女優がいいのだろうが、20年前のテレビシリーズに出ていたという設定だからこの年齢になるのでしょう。いや十分、魅力的でした。スポックのモデルと思われる“トカゲ頭”のアラン・リックマンもおかしい。