2001/02/28(水)「キャスト・アウェイ」

 無人島に漂着した男が困難なサバイバルを切り抜けて帰還する話。主人公のチャック・ノーランド(トム・ハンクス)は宅配便会社フェデックスの社員で、世界を股にかけ分刻みのスケジュールで忙しく働く。その出張の途中で飛行機が不時着し、無人島に一人で流れ着いてしまうのだ。そこから孤独で過酷な生活が始まる。

 漂着前と漂着後の描写に挟まれる1時間半ほどは、ほとんどトム・ハンクスの一人芝居。この孤島の描写がまあ、映画のテーマそのものとも言える。良くできているのだが、サバイバルのハウツーものを見ているような感じになる。確かに現代人が装備もなく、無人島に流れ着いたら、火をおこすことから大変な労力がいる。食料の調達も難しい。主人公は最初、ヤシの実を食べるが、「冒険ものは間違っていた。ココナッツミルクは下剤だ」と理解する。けがや病気になっても治療の手段はない。何より一人きりという絶望的な恐怖感。主人公は結婚を誓った恋人(ヘレン・ハント)の写真とバレーボールに描いた顔に名付けたウィルソンを頼りに生きていく。

 救出後の描写に意外性もなにもないのが、物足りない。主人公が無人島で学んだ生き続けていくことの意味、大袈裟に考える必要はなく、「ただ息を続ければよい」との結論にも、もう少し深みが欲しいところだ。

 フェデックスとのタイアップがどぎつすぎるのもマイナス。クロネコヤマトが「魔女の宅急便」をバックアップしたよりも、これは宅配便会社フェデックスのPRが直接的で見え見えである。