2003/03/09(日)「ワンピース The Movie デッドエンドの冒険」
4作目の映画。初の単独公開(航海)が売りだが、昨年春まで「アニメまつり」として併映だった「デジモン」の興行力がなくなった(昨年夏に惨敗した)ので、単独公開せざるを得なかったのだろう。余計な併映がなくなって上映時間はこれまでの70分程度から20分ほど長くなったものの、出来そのものは変わらない。毎回同じパターンの話なので、印象も変わらない。
ルフィたちが海軍に追われる冒頭の演出にさえがなく、次に意味のない一人称の視点で港町の移動シーンがあって、これはちょっとと思ったら、その通りの出来だった。サンジやゾロに活躍の場面がないとか、シーンによって絵の出来不出来に差が大きいとか、細かい不満はいろいろあるのだが、何よりも話がもっと面白くないと苦しい。
万年金欠病のルフィたちが賞金3億デリーの海賊船レース・デッドエンドに参加することになる。優勝候補のガスパーデは悪魔の実の能力者。アメアメの実を食べて、体が「ターミネーター2」のT1000のように変わっている。港町ハンナバルでルフィたちと知り合った賞金稼ぎのシュライヤ・バスクードはこのガスパーデを狙う。シュライヤは8年前、妹をガスパーデに殺された恨みから海賊を狙う凄腕の賞金稼ぎになった。ガスパーデの船には病気に苦しむボイラー職人のビエラじいさんがおり、ビエラに育てられた少年アナグマは薬を買う金を手に入れるため、ルフィの船に潜入するが、ゾロに発見される。
映画はテレビシリーズの番外編みたいなものだから、毎回、悪人に苦しめられている者たちをルフィが救う展開にせざるを得ないのだが、今回もシュライヤとアナグマの話が中心になる。ゾロに見つかったアナグマが生きていても意味がないから自分を殺せ、と言ったのに対してナミが激怒したり、ルフィが終盤、「どんなことがあっても生き抜け」みたいなセリフを吐くのが義理と人情と友情と正義と不正に対する強い怒りに彩られた「ワンピース」らしいところ。ギャグを交えて本音を語るのが根強い人気の要因か。
監督はテレビシリーズを担当している宇田鋼之介。テレビシリーズで魚人のアーロンたちにメタメタにやられたエピソードのような話を映画にも期待したいところだ。上映時間が長くなったのにあまり盛り上がらないのはルフィたちに危機らしい危機がないためではないかと思う。やられてやられてやられた後に反撃する展開はこういう話の定石なのだ。テレビとの同時進行で時間的な制約があるのは分かるが、次の作品ではもっと面白い話を見せてほしい。