WOWOWプログラムガイド6月号を見ていたら、5月28日公開の瀬々敬久監督「明日の食卓」を6月11日からWOWOWオンデマンドで配信する、との記事があった。劇場公開から2週間での配信は清水崇監督の「ホムンクルス」(4月2日公開、22日Netflixで配信開始)より早い。WOWOWが製作に参加しているから、こういうことができるのだろう。
WOWOWの加入件数は2018年度の約290万件を最高に漸減傾向にある。2021年4月現在は276万件。加入者が500万人を超えたNetflixをはじめとした配信サービスがライバルになっている。ネックは料金で1カ月2530円(税込み)はNetflixのベーシックプラン990円と勝負にならない。いや、もちろんこれは映画に限った場合で、WOWOWにはスポーツと音楽や演劇のコンテンツもある。しかし、実際にWOWOWやめてNetflixに入った映画ファンが知り合いの中にもいるのだ。
1月に公開された「ヤクザと家族」はまだDVD・ブルーレイが発売されていないが、Netflixでは今月から配信が始まった。昨年10月公開の青山真治監督「空に住む」はDVD発売(8月4日)に先駆けてamazonプライムビデオで配信が始まっている。すべての作品がこうなるとは思わないが、いくつかの作品においてDVD発売より早く配信開始する流れは競争激化に伴って今後も続くのだろう。
新型コロナの感染拡大はこの流れに拍車をかけている。「明日の食卓」にも出ている女優の尾野真千子は主演した映画「茜色に焼かれる」の最速上映イベントで「こんな状況で怒られるかもしれないが、ぜひ劇場に見に来てほしい」と涙の訴えをしたそうだ。