宮藤官九郎脚本のドラマ「新宿野戦病院」(フジ)で元軍医の日系アメリカ人を演じる小池栄子の英語が下手だという記事がネットニュースにありました。コメディーなんだから、らしく聞こえれば十分と思うんですが、ユーモアを解さない人は意外に多いようです。日活アクション映画などで片言の日本語をしゃべる怪しい中国人を演じていた藤村有弘や小沢昭一の昔からこういう役柄はありますね。
「新宿野戦病院」を含む夏ドラマの中で大本命とみられるのは「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」(NHK、全10話)。昨年、BSプレミアムで放送されて評判を呼び、今月9日から地上波での放送が始まりました。演出は「勝手にふるえてろ」(2017年)などの大九明子監督。ただ、BS版より5分短いバージョンだそうです。大九監督が時間をかけて再編集したそうですが、5分ぐらい時間延長したらどうだ、NHKっ。
遠くで「レオン」(1994年、リュック・ベッソン監督)が反響している、と見ながら思いました。パンフレットを開いたら、小路紘史監督によるオマージュ作品18本が記載されていて、「レオン」もその1本でした。監督のコメントを引用しておきます。
「マチルダとレオンの関係性は、辰巳と葵の関係性そのもの。廃工場で竜二が山岡を殺すシーンは、ゲイリー・オールドマン扮するスタンがマチルダ一家を襲撃するシーンの分数に近づけています。京子が死んだ後、葵が泣きながら辰巳と話すシーンも、レオンとマチルダが最初に話すシーンのセリフの構成などを参考にしました」
血まみれの描写は北野武監督作品の影響もあるかと思ったら、それはオマージュ作品の番外編に挙げてありました。凶暴な沢村兄弟の名前(武と竜二)は北野武と映画「竜二」(1983年、川島透監督)からのものだそうです。もう1本の番外編は意外なことに「リング」(1998年、中田秀夫監督)。辰巳の車(コロナ エクシブ)は「リング」で松嶋菜々子が乗っていた車と同じなんだとか。エクシブ(初代は1989年発売)は当時のマーク2などと同じくスタイル優先の天上の低い車で、「間違いだらけのクルマ選び」の徳大寺有恒さんは後部座席の狭さを批判してました。
ほかのオマージュ作品は「ブレイキング・バッド」「レヴェナント 蘇りし者」「ダークナイト」「イングロリアス・バスターズ」など。小路監督はノワール作品が相当に好きなようです。
「辰巳」が良いのはそうした過去の作品を真似たツギハギのパッチワークで終わることなく、1本のハードなノワールとしてとても面白く仕上がっていることです。
ヤクザの世界で死体解体の仕事を請け負っている辰巳(遠藤雄弥)は恋人・京子(龜田七海)の殺害現場に遭遇する。一緒にいた京子の妹・葵(森田想)を連れて命からがら逃げるが、復讐を誓う葵は京子殺害の犯人を追う。辰巳は勝ち気で生意気な葵と反目し合いながらも同行することになる、というストーリー。
京子が殺されたのは組の金を仲間とともに横領していたからですが、唯一の肉親を殺された葵に、そんなことは関係ありません。復讐に燃える葵を辰巳はなだめながら、組の要求も聞きつつ、ぎりぎりの打開策を探っていくことになります。
竜二役の倉本朋幸は「レオン」のゲイリー・オールドマンと同様に狂気と変態性を醸しています(倉本朋幸は舞台演出家とのこと)。葵役の森田想も「わたしの見ている世界が全て」(2023年、左近圭太郎監督)「朽ちないサクラ」(2024年、原廣利監督)と出演作が続いていて、好調さを感じさせます(といっても、撮影は5年前、19歳の時だそうです)。しかし、一番の好演はやはり主演の遠藤雄弥で、ニコリともしない顔つきが良く、ハードな役回りにリアリティーを持たせる演技だと思いました。
唯一の小さな不満は辰巳と葵の関係性の変化があまり感じられないこと。なぜ辰巳は葵を守ることにしたのか、そういう部分の描写が足りないです。レオンとマチルダの関係がエモーショナルに十分に描かれていたように、そうした描写を補強すれば、小路監督の映画はさらに強度が増すのではないかと思います。
「最強殺し屋伝説国岡 完全版」(2021年、阪元裕吾監督)などで主演している伊能昌幸がセリフなしアップなしのチョイ役で出てきます。せっかく出すならアクションの見せ場も欲しかったところですけどね。というか、藤原季節もチョイ役に近いのは5年前に撮られた作品だからなのでしょう。こういう優れた作品はできる限り早く公開できるようになれば、と思います。
▼観客8人(公開2日目の午後)1時間48分。
シリーズ4作目。前作は圧倒的に強い趙の武神・ほう煖(ほうけん=吉川晃司)が現れ、信(山崎賢人)率いる飛信隊の面々がまるで歯が立たないシーンで終わりました。当然のことながら、今回はその続きで始まり、信は重傷を負い、仲間も次々にやられて敗走する姿が前半で描かれます。後半は趙の大軍勢に立ち向かう秦の王騎将軍(大沢たかお)率いる軍勢の戦闘シーンと、王騎将軍とほう煖の過去の因縁を描き、2人の対決がクライマックスとなります。今回のメインは王騎将軍です。
エキストラも多数使っているようですが、大軍勢のCGは不満のない出来。ストーリー自体は簡単で、佐藤信介監督は見せる演出に徹しています。重要人物が死ぬので泣いてる人もいましたが、僕には情緒過剰、感傷過多のきらいがあるな、と思えました。もっと抑えた表現が望ましいです。
楊端和(長澤まさみ)の見せ場がなかったのは残念。
▼観客25人ぐらい(公開初日の午前)2時間26分。
韓国で実際に起きた少年3人の冤罪事件を基にしたフィクション。こう称する作品で気になるのはどこまで事実かということですが、個人的に一番興味深かった主人公の刑事のキャラクターは完全なフィクションとのこと。うーん。
この映画の一番の見どころは腐りきった警察上層部と検察に主人公たちが勝利していくところです。主人公の再捜査を徹底的に妨害し、左遷し、自分たちの誤りを隠蔽しようとする上層部と検察に主人公たちは粘り強く、行動していくんですが、主人公が架空の存在だと、そうした諸々もフィクションということになり、興味が削がれてしまいます。「事実を基にしたフィクション」とは断り書きを入れない方が良いレベルでした。
主演は「ペパーミント・キャンディー」(1999年)「1987、ある闘いの真実」(2017年)などの名優ソル・ギョング。監督は「権力に告ぐ」(2019年)など実際の事件の映画化が多いチョン・ジヨン。
IMDb6.7(アメリカでは未公開)
▼観客10人(公開4日目の午後)2時間4分。
認知症の父(奥田瑛二)を介護するため、田舎の実家に戻った絵本作家の千紗子(杏)は友人の久江(佐津川愛美)が運転する車で居酒屋から帰宅途中、少年(中須翔真)をはねてしまう。久江が飲酒運転だったことから、警察には届けず、少年を千紗子の家に連れて帰る。翌朝、目覚めた少年は記憶を失っていた。少年の体に虐待の痕を見つけた千紗子は少年を守るため自分を母親と偽り、少年と父親の3人で暮らし始める。
原作(北國浩二「嘘」)があるだけに意外な事実が明らかになるラストはおっと思いましたが、そこまでの語り方がうまくありません。というか、主人公の行動に無理を感じました。監督・脚本は「生きてるだけで、愛。」の関根光才。
▼観客6人(公開6日目の午前)
イタリアの自動車メーカーの創始者エンツォ・フェラーリを描くマイケル・マン監督作品。フェラーリを演じるのはアダム・ドライバーですが、いつもの長髪を切り、銀髪に染めているので別人に見えました。
物語はエンツォの長男ディーノが病死した翌年の1957年を描いています。妻ラウラ(ペネロペ・クルス)との仲はそのことで冷え切っていますが、エンツォは密かに愛人リナ(シャイリーン・ウッドリー)との間にピエロと名づけた男の子がいました。会社はフィアットやフォードからの買収工作があり、危機に陥っています。フェラーリはイタリア全土1000マイルを縦断する公道レース「ミッレミリア」での優勝に起死回生を懸けますが、沿道の観衆を巻き込んだ大事故が起きてしまいます。
中盤のサーキットで車が飛ぶ事故が、クライマックスの大事故の伏線になっています。公道を猛スピードで走るレースは危険そのものですし、よくこんなレースを許可していたなと思いますが、それ以前に当時の安全装備ゼロの車には乗りたくないですね。
マイケル・マン監督の演出は悪くありませんが、エンツォの私生活のことが多すぎる気がしました。人間フェラーリを描く意図は分かるんですけどね。
IMDb6.4、メタスコア73点、ロッテントマト72%。
▼観客5人(公開5日目の午後)
ドラマ「アンナチュラル」(2018年、全10話)をようやく見ました。面白いですねえ。「MIU404」(2020年)もそうでしたが、脚本の野木亜紀子はミステリーに詳しい人なんだなとあらためて思いました。不自然死究明研究所(UDIラボ)の面々が遭遇する個別の事件を描きながら、全体の物語として連続殺人事件の謎を描いていく構成は「MIU404」同様に秀逸でした。最終話の最後の字幕で続編を示唆していましたが、6年たっても実現しないのは主演の石原さとみが結婚・出産したからですかね? 来月公開の「ラストマイル」を楽しみに待ちたいと思います。
クリスマス休暇の予定がなくなり、寄宿制の名門校で寂しく過ごすことになった生徒と教師、料理長の交流を描くドラマ。アカデミー作品賞など5部門の候補となり、料理長役のダヴァイン・ジョイ・ランドルフが助演女優賞を受賞しました。アレクサンダー・ペイン監督作品。
ボストン近郊にある寄宿制の名門バートン校に勤務する古代史の非常勤教師ハナム(ポール・ジアマッティ)は生真面目で融通が利かず、生徒たちからも校長や同僚たちからも疎まれていた。多くの生徒や教師が家族と過ごすクリスマス休暇で、ハナムは学校の寮に残る生徒5人の面倒を見ることを命じられる。生徒のうち4人はスキーに出かけたが、問題行動の多いアンガス(ドミニク・セッサ)は再婚した母親と連絡が取れず、行けなかった。ハナムとアンガス、ベトナム戦争で息子を亡くしたばかりの料理長メアリー(ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ)はクリスマスを一緒に過ごすことになる。
3人それぞれの身の上が徐々に語られていき、絆を深めていくのがお約束とは言え、とても心温まる展開。「サイドウェイ」(2004年)でもペイン監督と組んだポール・ジアマッティはクライマックスでキャリアのベストと思える繊細な演技を見せています(アカデミー主演男優賞ノミネート)。ドミニク・セッサはカーネギー・メロン大学演劇学部に在籍する学生で、オーディションで選ばれたそうですが、初の映画とは思えない演技です。
時代設定が1970年なので、映画は開巻から70年代映画のような作りになっています。70年代にはこういう小品の優れた作品がたくさんあったような気がしますね。
IMDb7.9、メタスコア82点、ロッテントマト97%。
▼観客8人(公開初日の午前)2時間13分。
人気テレビドラマの劇場版第3弾。過去2作より良い出来だと思いました。このシリーズ、話が給食から離れると、面白くなくなりますが、今回はそんなに離れなかったのが良かったのでしょう。
1作目の舞台は1984年の常節(とこぶし)中学校、2作目は1986年の黍名子(きびなご)中学校、今回は1989年の北海道・忍川(おしかわ)中学校。いずれも1980年代ですが、そんなに時代色が出ているわけではありません。給食をこよなく愛するが、他人には知られないようにしている(と思っている)主人公・甘利田幸男を演じる市原隼人のオーバーな演技がすべてで、この演技がなければ、このドラマは成立しなかったでしょう。「もはや市原隼人の代表作と言っても過言ではない」(甘利田先生風に)
ドラマのシーズン4を楽しみにしています。ヒロインの比留川先生(大原優乃)が沖縄に異動してしまったので次作は沖縄舞台かなと思いましたが、ヒロインは毎回代わっているので沖縄の可能性はないかな。
▼観客1人(公開5日目の午後)1時間51分。
ジェイ・チョウ、グイ・ルンメイ主演の同名台湾映画(2007年)のリメイク。これが公開された時、「秘密が言えないのは当たり前、言える秘密なんてないからタイトルおかしいだろ」と思い、見る気になりませんでした。というわけでオリジナルを配信で今回始めて見ました。明らかにオリジナルの方が良い出来でした。
ピアノ留学から帰国した主人公・湊人(京本大我)が旧講義棟の演奏室で神秘的なピアノを奏でる雪乃(古川琴音)と出会い、惹かれ合っていくラブストーリー。雪乃にはある秘密があり、やがて湊人の前から姿を消してしまう。
グイ・ルンメイと同じように新作の古川琴音はピアノを弾く姿を見せています(たぶん音は違うのでは)が、京本大我は弾いている時の手が映されません。旧作で監督・原作・音楽・主演を務めたジェイ・チョウはピアノが得意なのでこういうピアノが重要なストーリーを考えたのでしょう。見事な演奏を披露していました。京本大我は撮影前に練習時間もなかったのでしょうが、その前にこの題材を初主演映画に選ばなくても良かったのにと思います。
詳細は省きますが、ストーリーは終盤が異なります。最初に自分が見た人しか自分の姿が見えないという設定は新作では気になりましたが、旧作ではほとんど気になりませんでした。古い楽譜の扱いも新作ではおざなり、重要な登場人物も2人出てきません。総じて、細部への気配りが足りていないのが残念です。脚本は松田沙耶。監督は「身代わり忠臣蔵」の河合勇人。それにしても、なぜ今頃リメイクしたのか謎です。
▼観客6人(公開4日目の午後)1時間54分。
佐藤愛子のエッセイ「九十歳。何がめでたい」「九十八歳。戦いやまず日は暮れず」を基にして前田哲監督が映画化。主演は実際に90歳の草笛光子で、俳優が自分の名前を冠して「生誕90年記念映画」と称する作品に出るのは初めて見ました。90歳以上で映画に主演する例は世界的に見てもかなり少ないと思います。
映画はその草笛光子の元気さがまず驚きですが、作品の支えになっているのは編集者役の唐沢寿明。家庭を顧みなかったことから妻(木村多江)と娘(中島瑠菜)に突然、家を出られて戸惑いながら、90歳の作家との日々を好演しています。前田監督はユーモアあふれるハートウォーミングな作品に手堅くまとめています。脚本は「水は海に向かって流れる」(2023年)でも前田監督と組んだ大島里美。
オダギリジョーや三谷幸喜、LiLiCo、石田ひかりらゲスト出演的な人が多くて楽しいです。
▼観客15人(公開13日目の午後)1時間39分。
河合優実主演「あんのこと」の感想に「実際の事件を基にしたからといって、映画も同じラストにする必要はない」と書きましたが、これで思い出したのは「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(2019年、クエンティン・タランティーノ監督)のこと。実生活で惨殺された女優シャロン・テート(マーゴット・ロビー)が出てくるので、最後は殺されるんだろうなと思っていたら、なんとなんと…。あまりに呆気に取られて笑ってしまい、最高に嬉しくなる展開でした。さすがタランティーノ、と思いましたね。フィクションの力というのはこういう絶妙なアレンジのことを言うのです。
「チェンソーマン」の藤本タツキ原作のアニメ化。原作はWikipediaによれば、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」の影響を受けているそうです。2021年、少年ジャンプ+に掲載され、大きな反響を呼びました。僕もその時に読みましたが、今回、電子書籍を買って再読しました。
「このマンガがすごい!」2022年版オトコ編1位にもなった傑作。144ページの短さですが、「チ。地球の運動について」や「怪獣8号」「ダンダダン」「葬送のフリーレン」「【推しの子】」といった錚々たる作品を抑えての1位はすごいです。短いからこそ、胸を締め付ける強烈な印象を残す作品になっています。
学年新聞で4コマ漫画を連載している小学4年生の藤野が主人公。漫画はクラスメートから絶賛され、藤野は自信を持っていたが、不登校で同学年の京本の4コマ漫画を目にし、画力の高さに驚愕する。それから藤野はひたすら漫画を描き続けたが、京本との画力の差は縮まらず、6年生の途中で漫画を描くことを諦めてしまう。小学校卒業の日、先生に頼まれて京本に卒業証書を届けに行った藤野は初めて対面した京本から「私っ!! 藤野先生のファンです!!」と告げられる。藤野と京本は一緒に漫画を描き始め、高校時代には漫画雑誌に読切が7本も掲載される。出版社から「高校を卒業したら連載を」と言われるが、京本は「もっと絵がうまくなりたい」と美大進学を選び、2人の少女は別々の道を進むことになる。そして、ある事件が起きる。
「ワンス・アポン・ア・タイム…」の影響を受けていると言われるのは主人公が過去の悲しすぎる出来事を「ああしなければ良かった」「こうであれば良かったのに」という悔恨と願いをこめて実際とは異なる回想(ルックバック)をするシーンがあるからでしょう。快哉を叫んだ「ワンス…」とは違って、ここはかなり痛切なシーンです。
映画は藤野を河合優実、京本を吉田美月喜が声を演じています。原作のストーリーに忠実かつ原作の隙間を埋めていくような作り。物語の衝撃度は原作を読んだ時にはもちろん及びませんが、良いアニメ化だと思います。前途ある若者の生が唐突に、残酷に断ち切られることのやりきれなさと悲しみは原作と同様です。
ただ、原作の藤本タツキの絵は「チェンソーマン」ほどではないものの、一部にザラつきを残したような独特の味わいがあり、物語と強く結びついていますが、アニメは随分なめらかになり、原作の雰囲気とは少し異なります。それは仕方がないでしょう。この方がより広範な観客にアピールするのかもしれません。監督・脚本・キャラクターデザインは押山清高。
入場料1700円均一。入場者プレゼントでマンガ冊子がもらえました。もしかして原作かと思いましたが、よく見ると絵がラフで登場人物の名前も違います。いわゆるネーム(ストーリーボード)でした。非売品ですし、これはこれでありがたいですが、かなりの数を作ったはずなので貴重とまでは言えませんね。
▼観客多数(公開2日目の午後)58分。
ウィル・スミスとマーティン・ローレンス共演の刑事アクションシリーズ4年ぶりの第4弾。序盤は演出が緩くてダメダメな感じでしたが、中盤以降のアクションは悪くなく、まずまずの出来でした。
マイアミ市警のマイク(ウィル・スミス)とマーカス(マーティン・ローレンス)は2人の上司で亡くなったハワード警部に麻薬カルテルと絡む汚職疑惑が浮上する。2人は独自に捜査を開始するが、警察からも敵組織からも追われる身となる、という展開。
エンドクレジットを見ていたら、「エクスペンダブルズ ニューブラッド」(2023年、スコット・ウォー監督)で注目したタトゥーだらけのベトナム系女優レヴィ・トランの名前がありました。ボーッと見ていたので、どこに出てきたのか気づきませんでした。
IMDb7.0、メタスコア54点、ロッテントマト64%。
▼観客30人ぐらい(公開6日目の午後)1時間55分。
テレビシリーズは好きで毎週楽しみにしていました。映画となると、つらいものがありますね。テレビは実質43分。今回の映画は約2時間なのでテレビ3本分なんですが、これをテレビと同じくホームドラマコント集のような作りで乗り切るのには無理があります。
いや、ファンとしては吉田鋼太郎、MEGUMI、木南晴夏、佐久間由衣、武田玲奈ら伊藤一家の面々を見ているだけでも楽しいんですよ。特に武田玲奈。WOWOWの「異世界居酒屋『のぶ』」では普通のかわいい女の子でしたが、このドラマでは手足が長くて細いスタイルの良さとコメディエンヌとしての魅力が引き出されたと思います。木南晴夏も同時期のテレビドラマ「9ボーダー」(TBS)よりずっと良いです。
ただ、ドラマ的な盛り上がりを期待できないのはつらいです。映画は興行的には爆死状態とのこと。これに懲りずテレビの第3弾を作っていただきたいと思います。脚本・監督はテレビと同じ山口雅俊。
▼観客5人(公開4日目の午後)1時間59分。
移民排斥・迫害を描くフランス映画。バティモン5とはパリ郊外(バンリュー)にある移民たちの居住団地群の一画のことで、ここの一掃を目論む行政側と移民たちとの衝突が描かれます。
市長の急逝で臨時市長となったピエール(アレクシス・マネンティ)は居住棟エリアの復興と治安改善を掲げ、理想に燃えていた。バティモン5の住人で移民たちのケアスタッフとして働くアビー(アンタ・ディアウ)は友人ブラズ(アリストート・ルインドゥラ)とともに住民たちの問題に向き合う日々を送っていた。強硬手段をとる市長と、追い込まれる住民たちを先導するアビー。やがて行政と移民たちの間に激しい抗争が起こってしまう。
当初、優秀に見えたピエールはトランプ前大統領のような考え方の持ち主であることが分かります。どう見てもピエールの横暴・理不尽なやり方に問題があり、ここまでやるのか、どこまで現実を反映しているのかと、気になりました。
監督はバンリュー出身で「レ・ミゼラブル」(2019年)のラジ・リ。
IMDb6.3、メタスコア58点、ロッテントマト63%。
▼観客8人(公開5日目の午後)1時間45分。
柚月裕子の原作を杉咲花主演で映画化したミステリー。サクラは警察用語で公安を指すそうです。
ストーカー被害の末に女子大生が神社の長男に殺された。警察が女子大生からの被害届の受理を先延ばしにしていたことが分かる。しかもその間に慰安旅行に行っていたことが地元新聞の一面に出た。県警広報広聴課の森口泉(杉咲花)は親友の新聞記者・津村千佳(森田想)が自分との約束を破って記事にしたのではないかと疑うが、千佳は強く否定。疑いを晴らすため調査を開始したところで何者かに殺された。泉は同僚の磯川(萩原利久)とともに犯人を探す。やがてカルト宗教団体が絡んでいたことが分かる。
自分が不用意に漏らしたことを記事にするなと頼む主人公も主人公なら、友情のためにそれを守る記者も記者で呆れます。事件の首謀者を逃してしまう展開も大いに疑問。原作もこうなんでしょうかね。杉咲花の演技力を発揮する場面はなく、不満が残りました。
監督は「帰ってきた あぶない刑事」の原廣利。原作は「孤狼の血」の前に出版された作品で、「月下のサクラ」という続編があります。
▼観客8人(公開7日目の午前)1時間59分。
音に反応して人間を襲うエイリアンの襲来を描くシリーズ第3弾。今回は襲来の1日目から3日目までを描いていますが、過去2作の主人公だったエミリー・ブラントは登場せず、監督もジョン・クラシンスキー(ブラントの夫)から「PIG ピッグ」(2020年)のマイケル・サルノスキに代わりました。
襲来初日の田舎町の様子は第2作「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」(2020年)の冒頭で描かれていました。今回の舞台はニューヨークですが、作品としては小粒な印象が否めません。病気で余命わずかな黒人女性の主人公サム(ルピタ・ニョンゴ)が猫とともに逃げ回る様子が描かれます(「エイリアン」=1979年、リドリー・スコット監督=の猫ジョーンジーを思い出しました)。クラシンスキーはストーリーでクレジットされているものの、番外編に近い内容です。
サルノスキの演出は堅実ですが、もう少し派手な見せ場も欲しいところ。制作会社も大きなヒットを期待しているわけではなく、そこそこヒットすれば良いと思っているのではないでしょうかね。
IMDb6.8、メタスコア68点、ロッテントマト84%。
▼観客15人ぐらい(公開初日の午前)1時間40分。
母親に売春を強要され、覚醒剤中毒となり、辛すぎる人生を生きた実在の女性を描く入江悠監督作品。入江監督のベストという声が多く、僕もラストを除けばそう思いました。
主人公の香川杏(河合優実)は21歳。ホステスの母親(河井青葉)、足の悪い祖母(広岡由里子)と3人でゴミ屋敷のような団地の一室に暮らしている。杏は子どものころから母親に殴られて育ち、困窮のため万引を繰り返して小学4年生で学校に行かなくなった。12歳の頃、母親の強制で初めて体を売った。覚醒剤はヤクザのような男に打たれて中毒になった。覚醒剤を買う金のために体を売る生活を送っていたが、刑事の多々羅(佐藤二朗)に補導され、覚醒剤中毒のグループ療法に参加して更生を目指すようになる。多々羅の友人でジャーナリストの桐野(稲垣吾郎)も協力し、杏は少しずつ生き方を変えていく。しかし、コロナ禍がやって来る。
前半、どん底の暮らしから立ち上がっていく主人公の姿がとても良いです。売春をやめ、介護施設で働き、覚醒剤を断ち、夜間中学で学び始める姿は希望を持たせます。一方でそんなにうまく事が運ぶはずがないと思えるのも事実で、予想通りというか、それ以上にひどい事態が出来します。
昨年公開された「遠いところ」(工藤将亮監督)は沖縄の17歳のシングルマザーの苦境を描いていましたが、あの主人公は父親や同棲相手など周囲のクズ男が苦境の原因でした。杏の場合は毒親と言うべき母親の存在がそれに当たります。この母親から逃げることが唯一の解決方法であり、これはDV男から逃げるのと同じことでしょう。
キネ旬レビューでは星5個、2個、1個と賛否が分かれていますが、見終わってどんよりした表情で映画館を後にする観客もいるようです。実際の事件を基にしたからといって、映画も同じラストにする必要はないと、僕も思いました。
経済的に困窮し、切実に助けを求める人がいること、そうした人たちを助けなくてはいけないこと、行政の支援はもっと充実させ、相談に来た人を追い返すような対応を改めるべきこと、などなどは悲しいラストにしなくても観客には伝わるでしょう。
平日午後の映画館は女性客が多かったです。河合優実は女性にも人気なのでしょうが、しっかりこういう役柄も演じられるのが役者としての可能性を感じさせます。佐藤二朗は前半の型破りな刑事を見ていると、ソン・ガンホのような存在になれるのでは、と思いました。稲垣吾郎も良いです。
▼観客多数(公開13日目の午後)1時間54分。
心臓疾患で余命10年を宣告された娘のために、医療には素人の町工場の社長が人工心臓の開発に着手し、その経験を生かして日本人向けのバルーンカテーテルを開発した実話。監督は「君の膵臓をたべたい」(2017年)の月川翔。
このカテーテルで17万人の命が救えたそうです。何度も何度も飽きるほど予告編を見せられて、すっかり本編を見た気になっていましたが、このカテーテルの話は予告編にはありませんでした。月川監督は安易なお涙頂戴に流れず、多くの困難を乗り越えながら開発に打ち込む主人公の姿と家族の絆を手堅くまとめた感動作に仕上げています。
原作は清武英利のノンフィクション「アトムの心臓 『ディア・ファミリー』23年間の記録」。生まれつきの心臓疾患の次女・佳美に福本莉子、父親で町工場の社長・宣政に大泉洋、その妻に菅野美穂。ほぼ出ずっぱりの大泉洋は過不足のない演技を見せて良いです。
公開初週の週末3日間興行成績ランキングで1位。平日でも観客が多かったのは大泉洋の人気の高さも要因なのでしょう。
▼観客多数(公開4日目の午後)1時間57分。
中学校内での盗難事件の犯人探しをした女性教師が逆に窮地に追い詰められていくドイツ映画。学校は社会の縮図と、パンフレットでイルケル・チャタク監督も語っていますし、一般的にも指摘されることですが、ドイツの場合、移民も多いので、学級運営は一段と難しさを伴うでしょう。監督自身、両親はトルコからの移民。この脚本には自身の体験も含まれているそうです。
盗難が頻発する学校が舞台。主人公の女性教師カーラ(レオニー・ベネシュ)は同僚の教師が小銭をくすねるのを見て、職員室で財布を入れた上着を椅子に掛け、それをパソコンのカメラで動画撮影する。後で確認すると、財布からはお金が抜き取られており、記録された動画にはある人物が上着を触る様子が映っていた。顔は写っていなかったが、星模様のブラウスから、どうやら事務員のクーン(エーファ・レーバウ)らしい。カーラは校長とともにクーンを問い詰めるが、クーンは怒って全面的に否定する。
盗みの証拠が完全ではないのが敗因で、ここから、こっそり撮影したカーラへの非難とカーラ自身のミスと周囲の誤解が重なり合って、カーラは追い詰められていきます。さらに学校新聞のインタビューがたたり、学級崩壊どころか学校崩壊の様相まで呈する始末。不条理とも思える展開ですが、この脚本の構成は緊密で見事でした。最後はカタストロフかカタルシスがあるのかと予想していたら、そうはなりません。安いスリラーになることを避け、心理的サスペンスに徹したのがうまくいっていると思います。
チャタク監督は1983年生まれ。長編映画はこれが4作目のようです。
IMDb7.5、メタスコア82点、ロッテントマト96%。アカデミー国際長編映画賞ノミネート。
▼観客3人(公開7日目の午後)1時間39分。
「ありふれた教室」の主人公はポーランド系でしたが、これはポーランドのアウシュヴィッツ強制収容所の隣で優雅に暮らすドイツ人家族の日常を描いた作品。マーティン・エイミスの原作を「アンダー・ザ・スキン 種の捕食」(2013年)のジョナサン・グレイザー監督が映画化しました。
収容所の隣で暮らしているのは所長のルドルフ・ヘス(クリスティアン・フリーデル)とその家族たち。家の中には収容所からの悲鳴や銃声がかすかに聞こえてきますが、そんな中、妻(ザンドラ・ヒュラー)や親族たちは殺されたユダヤ人の下着や服の中から欲しいものをあさります。収容所の煙突からは黒い煙が上がり、川で水遊びしていると、人骨が混じった灰が流れてきます。そうしたことは一家にとっては深刻な問題ではありません。というか、まったく気にしていません(灰で体が汚れることは気にしてます)。塀の向こうのユダヤ人の運命には想像が及ばず、一家にとって収容所は無関心領域なわけです。無関心でなくては、とてもこんな所には住めないでしょう。
そうした描写が淡々と続き、ユダヤ人の姿はほとんど描かれません。それをもっと描けば、映画はもっと天国と地獄の対照を際立たせたのではないかと思います。だから、と言うべきか、アウシュヴィッツの未来を一瞬見てしまうヘスのシーンは秀逸です。日常を超えた描写であり、ヘスがあれをどう見たのか気になるところ。極めて映画的なシーンだと思いました。
IMDb7.4、メタスコア92点、ロッテントマト93%。アカデミー国際長編映画賞、音響賞受賞。カンヌ国際映画祭グランプリ。
▼観客7人(公開8日目の午前)1時間45分。
無線綴じで冊子を作ろうと、いろいろ調べていたら、ホッチキスの山(とじ裏)が平らなフラットクリンチという製品があることを知りました。ページ数の少ない冊子の場合、のり付けだけの無線綴じより、ホッチキスで留めた方が丈夫です。先日、マックスの40枚綴じのホッチキスを買ったばかりだけど買い直そうかと思ったら、これもフラットクリンチでした。マックスは1987年以来、この方式のホッチキスを販売しているそうです。amazonなどには安い中国製がたくさんありますが、やはり名のあるメーカーの製品の方が高機能だし、安心ですね。
ベラルーシとポーランドの国境でどちらからも受け入れられず、森の中に見捨てられる難民の現状を描いたアグニエシュカ・ホランド監督作品。中東やアフリカから飛行機で迎え入れた難民をベラルーシ政府はポーランドに送り込みますが、ポーランドの国境警備隊はこの難民をベラルーシに送り返します。ピンポン球のようにこれが繰り返されるため、死亡する難民が出ている現状をホランド監督は難民と警備隊、ボランティアの活動家たちの姿を通して描き、痛烈に批判しています。
エピローグでウクライナ国境から多数のウクライナ人を受け入れるポーランドの姿を描いているのが強い皮肉になっていて、要するにこのダブルスタンダードはアフリカや中東に対する人種・民族差別が根底にあることが分かります。
ホランド監督はこう書いています。
「ポーランド当局は、難民は生きている人間であるということを都合よく忘れてハイブリッド・ミサイルとみなし、嫌悪や恐怖を呼び起こすプロパガンダを作り上げました。彼らはわが国に避難を求める人々ではなく、わが国の神聖な国境を攻撃するプーチンのミサイルであり、テロリスト、小児性愛者、動物虐待者なのだと。(中略)しかし、地元住民の大半や若い活動家たちは、罪のない人々の苦しみと恐怖を目の当たりにして、『この人たちを助けなければならない』という当然の反応を示しました」
意図的に大量に送り込まれる難民たちは人間兵器と言われますが、ホランド監督はその言い方にも異議を唱えているわけです。目の前で苦しむ人がいれば助けるのが普通の感覚。日本も移民や難民の受け入れを厳しく制限していますから、ポーランド政府の対応を他人事で批判することなどできません。人道主義に立って、苦しむ人たちを助けることが必要なのだと思います。
IMDb6.4、メタスコア83点、ロッテントマト89%。ヴェネチア国際映画祭審査員特別賞。
▼観客8人(公開6日目の午後)2時間32分。
人口47万人の杉並区の2022年区長選挙に住民グループの要請で立候補し、187票差で現職を破って当選したNGO職員・岸本聡子の選挙運動を描くドキュメンタリー。投票日のわずか2カ月前に立候補を決め、女性パワーが中心になって当選を果たすまでの過程はとても面白いのですが(基本的に選挙は面白いんです)、傑作「なぜ君は総理大臣になれないのか」(2020年、大島新監督)などと比べると、相手候補がほとんど描かれないこともあって選挙映画としてそれほど優れているとは思えませんでした。監督は同区在住の劇作家ペヤンヌマキ。
政治経験のない候補が接戦を制することができたのは、区が進める道路拡張計画によって児童館や高齢者向け施設が廃止になるほか、住宅・病院の移転や樹齢の長い木の伐採などが伴い、住民の間に反対運動が起こっていたことが大きいようです。3期12年務めた現職への反対派も少なくなかったのでしょう。
前回2018年の選挙に比べて、投票率が約5ポイント高くなったのは反対運動の成果で選挙に関心を持つ区民が増えたためだと思います。この映画が痛快なのは現状に反対した住民が立ち上がり、勝利を収める過程を描いているからで、行動が結実する過程、努力が報われる結果は人を惹きつけるものです。
翌年行われた区議会議員選挙では定数48のうち、女性が24人と過半数を占めました(男性23人、性別非公表1人)。女性パワーの躍進を感じさせますが、僕が見た時の観客は高齢男性ばかり。女性こそ見た方が良い映画だと思います。
▼観客10人(公開2日目の午後)1時間50分。
交通事故で死んだ両親の葬儀で田汲朝(早瀬憩)に叔母の高代槙生(新垣結衣)が言うセリフがとてもハードボイルドです。
「朝、わたしはあなたの母親が心底嫌いだった。死んでなお憎む気持ちが消えないことにもうんざりしている。わたしはだいたい不機嫌だし、あなたを愛せるかどうかはわからない。でも、わたしは決してあなたを踏みにじらない。もし、帰るところがないなら、うちに来たらいい。それでよければ、明日も明後日もずっとうちに帰ってきなさい。たらいまわしはなしだ」
槙生と姉は仲が悪く、朝とは赤ん坊の頃から会っていませんでした。それでも朝を引き取ろうと親戚の前で(勢いで)言ってしまったのは、親戚の面々が言い訳をするばかりで誰も朝を引き取ろうとせず、朝が盥回しのような状態にあったからです。
このセリフは原作(ヤマシタトモコのコミック)では葬儀の場面と槙生のマンションに帰ってきてからの場面で槙生が言うもので、映画は2つのセリフを組み合わせて葬儀の場面で槙生に言わせています。このセリフを聞いて、映画の出来には期待できると思い、それはほぼ間違っていませんでした。
氷の女が純粋な少女との出会いで氷を溶かしていくというようなありきたりの展開にならないのは原作の力なのでしょうが、それを新垣結衣、早瀬憩、夏帆、瀬戸康史らの出演者が的確に演じています。新垣結衣は昨年の「正欲」(岸義幸監督)に続いてほとんど笑顔を見せない役柄。2作続けたということは、こういう役をやりたいのでしょう。
脚本・監督・編集の瀬田なつきは映画「PARTS パークス」(2017年)、「ジオラマボーイ・パノラマガール」(2020年)などの監督で、現在放送中のNHK夜ドラ「柚木さんちの四兄弟。」の演出にも加わっています。
▼観客12人(公開7日目の午前)2時間19分。
哀川翔、香川照之主演の同名作品(1998年)を黒沢清監督がフランスに舞台を移してセルフリメイク。前作は85分、今回は113分と28分も長くなっています。エピソードは増えましたが、基本的には同じ話で、長くなった分、面白くなったかというと、むしろ冗長さを感じました。元の脚本(「リング」シリーズなどの高橋洋)に加えた脚色に難があったと言うべきでしょう。
8歳の娘を殺されたアルベール・バシュレ(ダミアン・ボナール)は偶然出会った精神科医・新島小夜子(柴咲コウ)の協力を得て犯人への復讐を計画。犯人の1人を突き止めて倉庫に拉致監禁し、実行犯を暴こうとする。やがて背後にはある闇の組織が関わっていることが分かる。
今回は主人公を柴咲コウが演じるのがポイント。フランス在住の日本人として話すフランス語に不自然さはありません。柴咲コウの冷たい持ち味は生かされていますが、魅力を十分に引き出したとは言えず、少しもったいない気がしました。
前作の評価はKINENOTE71.5点、映画.com3.1点、Filmarks3.9点。
▼観客12人(公開初日の午前)1時間53分。