2008/05/28(水)「本と映画と『70年』を語ろう」
連合赤軍関係の本が読みたくなって書店を探したが、なかった。代わりに目に付いたのがこの新書。「70年」に反応したのである。映画・文芸評論家の川本三郎と新右翼の一水会顧問・鈴木邦男の対談集で、奥付は5月30日第1刷発行とあるが、13日に出た本らしい。
鈴木邦男は以前から川本三郎と会いたかったという。2人ともかつて新聞社に勤め、逮捕されたことで解雇されたという共通の過去があるからだ。川本三郎は朝日ジャーナルの記者時代の1971年、赤衛軍事件の犯人と接触、シンパシーを感じて証拠隠滅に手を貸した。それで逮捕されたそうだ。これは全然知らなかった。この事件について書いた「マイ・バック・ページ」は映画化されるという。
鈴木邦男は産経新聞時代に政治的事件を起こし、やはり逮捕されて解雇された。これはありそうだなと思えるのは右翼のイメージがあるからだ。しかし、鈴木邦男は一般的な右翼とはほど遠いのがこの本を読むとよく分かる。テレビに出始めたころから「変わった右翼だな」と思っていたが、今は右翼から「あいつは左翼だ」と言われるらしい。「実録・連合赤軍」について鈴木邦男はこう語っている。
「若松孝二監督の『実録・連合赤軍』という映画が公開されています。非常にいい映画なんです」 「『光の雨』も良かったけど、若松さんの映画は学生運動の歴史を忠実にずっと追っかけているんです。三時間以上ありますが、すごい映画です」
面白かったのは右翼の美学に関する説明。右翼はテロを肯定するが、やったことに対しては責任を取る。行ったことに対して決して逃げないのが右翼の美学なのだそうだ。だから朝日新聞阪神支局襲撃事件は右翼から評価がないという。川本三郎よりも鈴木邦男の考え方が面白い本で、他の本も読んでみようかという気になる。映画「靖国 YASUKUNI」の推薦文を書いたり、街宣車で押しかけるより対話の必要性を説いたりと、もはや右も左も超えた人なのである。
この本は2007年10月から2008年3月までに行った語りおろしの対談をまとめたもの。本来なら雑誌連載がぴったりだと思うが、掲載できる雑誌が朝日新聞社にはなかったのだろうか。
2006/01/27(金)映画興行対談
キネマ旬報映画総合研究所の中にある。第6回は「男たちの大和」を取り上げている。「大和」の興行収入は最終見込み50億円のセンもあるそうだ。未だに中高年が見に行っているので、ヒットしているのだなあと思う。
映画興行対談は大高宏雄と掛尾良夫が毎回、ヒットした日本映画を取り上げて、ヒットの要因を探る対談。興行的な価値から見る映画というのも面白いと思う。
大高宏雄はキネ旬2月上旬号で「キング・コング」の興行が目標を大きく下回ったとして76年のジョン・ギラーミン版と比較した文章を書いている。その年の正月興行は「キングコング」と「カサンドラ・クロス」の一騎打ちで、「キングコング」は出足で躓いたが、冬休みになって盛り返し、結局、30億円の興行収入を上げたという。
そうか、「カサンドラ・クロス」か。僕も当時、「キングコング」よりはこちらの方が面白かった記憶がある。監督はジョルジュ・パン・コスマトス(ジョージ・P・コスマトスと表記されることもある)。映画はオールスター・キャストで今となっては内容よりもジェリー・ゴールドスミスの音楽の方が印象に残っている。主演はリチャード・ハリスなので、「ジャガーノート」の延長で見に行ったのだった。コスマトスは当時、スピルバーグと比較されたりもしたが、その後はまったく目立たない監督になってしまったなあ。
2005/12/21(水)とにかく強烈で、壮絶な映画だった
最近巡回する日記はRSSのあるところばかりなので、見逃していた。「町山智浩アメリカ日記」よりスピルバーグの「ミュンヘン」に関するコメント。予告編を見てもどういう映画かよく分からないのだが、そういう映画だったのか。テロの恐怖を「宇宙戦争」で比喩として描いたスピルバーグが今度は本当のテロを取り上げたわけだ。
アメリカでは今週末公開。アカデミー賞の台風の目になるか?
2005/12/11(日)「映画一日一本 DVDで楽しむ見逃し映画365」
著者の芝山幹郎は評論家で翻訳家。以前、キネ旬で連載していたことがあり、愛読していた。この本は日本経済新聞土曜版などに掲載された文章(テレビ放映映画の紹介や短い批評)に書き下ろし25本を加えて365本の映画を取り上げている。
1日1本の映画を見るのは相当な暇がないと無理。著者自身も新作映画を見る本数は年間100本強だそうである。僕は今月1日からDVDを含めて1日1本映画を見ようと続けてみたが、1週間で挫折した。そんなに映画だけに時間は割けないものなのである。
1月1日「続・夕陽のガンマン」に始まって12月31日「ミリオンダラー・ベイビー」までの365本に論評が加えられている。クリント・イーストウッドで始まりクリント・イーストウッドで終わるのは著者がイーストウッド映画を好きなためか。日付は365本という趣向で付けたもので、あまり意味はない。
365本という数はシネマガイドとしては不足しているが、論評の方は的確。どれも400字詰め原稿用紙にして1枚半ぐらいの分量だが、その中でストーリーを紹介して批評まで行うというのはなかなか難しいものだ。取り上げた映画は邦画洋画、B級C級まで含めてあり、著者の好きな映画の傾向も分かる。著者のもっと長い批評が読みたくなってくる。
2005/02/08(火) 「電車男」映画化
気になるのは誰が監督するかということではなく、どういう風に脚色するか。まさか、電車男とエルメスだけの話にはしないだろうな。そうすると、どこにでもある話になって面白くない。「2ちゃんねる」の書き込みの雰囲気をどう出すかが腕の見せ所。工夫することを期待したい。脚本家は大変だな。
寒来光一の笑たらあかん
延岡出身で北九州在住の作家・寒来(さむらい)光一さんのホームページ。「『寒いギャグを飛ばしながらも、いつか一番光り輝く日が来る』ことを願って、このペンネームを名付けた」とのこと。日記があります。1月3日で中断してますが。
「そのようにしてLinuxが『当たり前』になった今、語られるべきはオープンソースで構築されるシステム全体であり、あるいはソリューション総体であり、OS単独にフォーカスした弊誌は、すでにその役割を果たし終えたと言うべきかもしれません」。むむ。残念。売れてなかったのかな。始まったばかりの連載もあったのに。
入門誌としてLinux Magazineは良かったと思う。僕は5年10カ月のうち4年ほど読んだか。いろいろ勉強させてもらいました。来月からは日経Linux買おう。といっても、新しいパソコンにはLinux入れていない。再起動してOS切り替えるのはだんだん面倒になってきたので、VMwareを買おうかと考慮中。