長女が通勤に使うクルマを買うことになった。要望は「ぶつからないクルマ」。それは僕もそう思う。ぶつからない=自動ブレーキではスバルのアイサイトが一番だが、初心者が乗るにはコンパクトなインプレッサでも大きすぎる。それにインプレッサは年内に新型が出る。値引きが大きければ別だが、今買うことには抵抗がある。
スバルのアイサイト以外だと、驚いたことにスズキのデュアルカメラブレーキサポートが性能では次になるという。トヨタ、日産、ホンダの自動ブレーキよりも上というのがすごい。というか、大手は何をやってるんだか。
カメラは歩行者も認識するし、コストも安いので今後、カメラ式の自動ブレーキが増えてくるのだろう。軽自動車によく付いている赤外線レーザー式の自動ブレーキは時速30キロ以下でしか作動せず(実際には20~25キロらしい)、自動車評論家の国沢光宏さんは「なんちゃって自動ブレーキ」と書いていた。実用的ではないものを取り付けて、安全をアピールすることには疑問を持つ。
デュアルカメラが付けられるのは今のところ、スペーシア、ハスラー、イグニスの3車種。イグニスはAセグメントのコンパクトSUV風のクルマで、2月に発売されたばかりだ。大きさは軽自動車より一回り大きいぐらいだが、一応小型車なので92馬力ある。自主規制による66馬力止まりの軽よりいいだろう。ただ、後部座席が狭いらしい。軽より狭いのではあまり面白くない。
スペーシアとハスラーは一長一短ある。走りをどうこう言うレベルでもなく、どちらでもお好きな方をどうぞ、という感じ。ならば、一番安いスペーシアでいいんじゃないか、という気がしてくる。クルマというのは最終的にはデザインなので、乗る本人がどれがいいか選べばいいのだ。安全性能を基準にするなら、デュアルカメラの3車種から選んでおけば、大きな間違いはないと思う。
自動ブレーキはカメラとミリ波レーダーの組み合わせがベストと言われる。ミリ波レーダーは特に高速道路で前車の速度に追従するアダプティブ・クルーズコントロールが可能になることが大きなメリットだ。ゴルフ7のクルコンもこれで、高速走るのが本当に楽になった。ブレーキにもアクセルにも足を乗せている必要がなく、スピードをコントロールする時にはステアリングのスイッチを使っている。
ゴルフ7にはカメラが搭載されていて、白線を認識し、逸脱しそうになると、ステアリング操作に介入してくる。それならば、自動ブレーキにもカメラを使えそうなものだ。恐らく、次のゴルフはそうなるのだろう。
というわけでスズキのディーラーにクルマを見に行った。スペーシアは大きすぎるというので即却下。ハスラーとアルト(かわいいそうだ)の見積もりを取った。アルトなら100万円程度で買えるのでお得かなと思ったが、帰りに新古車(登録車)を見に行ったら、長女はホンダの赤いN ONEを一目で気に入った。軽自動車税が上がる前の昨年1月に登録されたクルマで走行距離7キロ。新車とほぼ変わらない状態。
グレードは一番下のGだが、「あんしんパッケージ」(シティブレーキアクティブシステム、前席用i-サイドエアバッグシステム+サイドカーテンエアバッグシステム)とバックモニター付きのカーナビも付属。調べてみると、価格は新車より30万円ほど安い。
諸費用が20万円ちょっとかかるが、これはボディのコーティングと6カ月点検で5回分のオイル交換無料と車検の費用を含んでいた。さらにサービスでユピテル製のドライブレコーダーまで付けてくれた。昨年の登録車なので再来年が車検だが、税金は上がる前の額が適用されるし、これならいいか、という感じで即決した。
会社の同僚に話したら、やはりスズキで見た後にホンダの新古車を買ったそうだ。「クルマの作りはホンダの方が、がっちりしていていいですよ。ドアを閉める音から違う」とのこと。それにしてもやはりユーザーの多くはデザインでクルマを選ぶんですね。僕は重要だと思うけど、安全装備はそんなに訴求力がないのかもしれない。